コメナモミ

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コメナモミ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : キク亜綱 Asteridae
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : キク亜科 Asteroideae
: メナモミ属 Sigesbeckia
: コメナモミ S. glabrescens
学名
Sigesbeckia glabrescens (Makino) Makino (1917)[1]
シノニム
和名
コメナモミ

コメナモミ(小雌菜揉み[4]学名: Sigesbeckia glabrescens)は、キク科メナモミ属一年草和名の由来は、メナモミによく似ているが、全体が小さいことからこの名がある[5][6]

分布・生育地[編集]

日本の北海道本州四国九州琉球諸島奄美大島)の全国各地、および満州中国台湾東アジア地域に広く分布する[6][7]。低地に分布し、山野の道端や荒れ地などに生える[4][7]

特徴[編集]

一年生の草本[6]。メナモミに比べてほっそりした感じがある[5]。高さは35 - 100センチメートル (cm) ほどになり、は直立して紫褐色を帯びる[5][4]。茎と葉柄花柄には短くてあまり目立たない白い毛があるが、表面に沿っていて、開出毛やべとつく腺毛ではない[4]。茎の上部は対生状に枝を出す[5]

葉は柄がついて茎に対生し、卵形で不規則な鋸歯と翼がある[4]。葉の上面はざらつき3脈ある[5][6]

花期は秋(9 - 10月[7])で、茎頂や枝先に集散花序をつくり、黄色の頭状花(頭花)をまばらにつける[5][6]。頭花は3裂する舌状花と5裂する筒状花が集まって咲く[4]。頭花の外側には粘り気がある腺毛をつけた5個の総苞片が長く突き出ている[4]。総苞片は緑色で多肉[5]。花序の軸や花柄には密に毛があるが、花柄に腺毛はない[5]果実痩果で、長さ3ミリメートル (mm) ほどのやや湾曲した狭倒3角状菱形体で暗灰褐色、表面は光沢はなく、いぼ状突起が分布する[8]。腺毛があって粘る総苞に抱かれた痩果は、熟すと他物にくっついてすぐに外れる[6]

近縁種[編集]

近縁種のメナモミSigesbeckia pubescens)は、上部の茎などの柄にある腺毛が密につく[4]。またツクシメナモミSigesbeckia orientalis)は、九州以南に分布する近縁種で、コメナモミやメナモミが枝が3叉であるに対して、茎の上部で2叉に分かれるのが特徴である[4]

薬用[編集]

果実と若葉を薬用とする[9]。全草を4 - 8月ごろに採取し[9]、陰干し乾燥させて刻んで調製する[4]。有効成分にジテルペノイドなどを含んでおり[4]、血圧降下、できもの、腫れ物、虫刺されに効能があるといわれる[9]民間療法で、血圧降下には、1日量10グラムほどを600ミリリットル (ml) の水で半量になるまで煎じて服用するとよいといわれている[4]。若葉はおひたしにして食べてもよい[4]

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 川原勝征『食べる野草と薬草』南方新社、2015年11月10日、112頁。ISBN 978-4-86124-327-1 
  • 中山至大、井之口希秀、南谷忠志『日本植物種子図鑑』東北大学出版会、仙台市、2002年2月25日。ISBN 4-925085-29-8 
  • 堀田満ほか 編『世界有用植物事典』平凡社、1989年8月25日。ISBN 4-582-11505-5 
  • 宮脇昭ほか『日本植生便覧 改訂新版』至文堂、1994年10月10日。ISBN 9784784301478 
  • 邑田仁・米倉浩司 編『APG原色牧野植物大図鑑II 〔グミ科~セリ科〕』北隆館、2013年3月25日、674頁。ISBN 978-4-8326-0974-7