グレーマリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Panda 51 (会話 | 投稿記録) による 2015年12月13日 (日) 13:53個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ケーシング外見

グレーマリン英語: Gray Marine)は、ディーゼルエンジンのシリーズ。

1930年代末、ゼネラルモーターズ(GM)ディーゼル部門(後のデトロイトディーゼル社)の主力機として開発されたのがGMモデル6-71であった。これに舶用の減速機を組み合わせたのがグレーマリン6-71であった[1]

基本モデルは直列6気筒2ストローク機関で、圧縮比は18.7:1、ボア径/ストローク長は108mm/127mmであった。重量は991キログラム、寸法は、長さ137 cm×幅74 cm×高さ104 cmであった[2]。出力は、常用で165馬力(1,800 rpm)、最大で225馬力(2,100 rpm)を発揮できた[1]

本機は第二次世界大戦中のアメリカ海軍で愛用されており、60フィート以下の各種支援船や哨戒艇の主機関はほぼ全てこれに統一された。また特に上陸用舟艇では多用され、LCVPでは1基、LCMでは2基、そしてLSSLでは主機関として8基搭載したうえに発電機用としても2基が搭載された。これによって戦時中の生産総計は10万台以上に及び、量産効果や部品の確保などに多大な恩恵があった[1]

戦後も、各種交通艇や監視艇、検疫艇など、民生用も含めて世界的に広く活用された。海上保安庁15メートル型港内艇(のちに巡視艇と改称)アメリカ軍の放出品を再生して搭載したが、目立った故障もなく、予想以上の好成績であった[3]。また派生してV型エンジン版なども開発され、最大のものはV型16気筒で、2,380馬力の出力を確保していた。しかし4ストローク機関と比してターボチャージャーインタークーラーの効果が薄いことなどから陳腐化が指摘されるようになり[1]1995年夏に販売を終了した。

参考文献

  1. ^ a b c d 戸田孝昭「機関 (高速戦闘艇のハードウェア)」『世界の艦船』第502号、海人社、1995年10月、90-93頁。 
  2. ^ Barrington Diesel club. “Detroit Diesel 6-71 engine specs at Barrington Diesel Club”. 2012年4月11日閲覧。
  3. ^ 徳永陽一郎「海保船艇草創期の思い出」『世界の艦船』第538号、海人社、1998年5月、104-105頁。