イタリア共和国憲法
イタリア共和国憲法(イタリアきょうわこくけんぽう、La Costituzione della Repubblica italiana)は、イタリア共和国の憲法典である。1947年12月27日に公布、1948年1月1日に施行された。
構成
基本原則
第1条(国家の形体・国民主権)
1 イタリアは、労働に基礎を置く民主共和国である。
第2条(人権および基本的人権の保障)
第3条(市民の平等)
第4条(労働の権利・社会に対する寄与の義務)
1 共和国は、すべての市民に労働の権利を認め、この権利を実行あらしめる諸条件を推進する。
2 各市民は、その能力と選択に応じて、社会の物質的または精神的発展に寄与する活動または機能を遂行する義務を有する。
第5条(地方自治・分権の原則)
第6条(言語少数者の保護)
第7条(国家とカトリック教会の関係)
1 国家とカトリック教会は、おのおのその固有の秩序において、独立であり、最高である。
2 両者の関係はラテラーノ協定によって規律される。…
第8条(宗派の自由およびカトリック以外の宗教)
第9条(文化の推進および記念物の保護)
第11条(戦争の制限および国際平和の促進)
イタリアは、他人民の自由に対する攻撃の手段としての戦争及び国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄する。国家間の平和と正義を保障する体制に必要ならば、他の国々と同等の条件の下で、主権の制限に同意する。この目的を持つ国際組織を促進し支援する。
第12条
共和国の国旗は、イタリア三色旗、すなわち緑、白および赤の同じ幅の垂直な三つの帯の旗である。
第1編 市民の権利および義務
第1章 市民関係
第27条(刑罰) 4 死刑は、戦時軍法の規定する場合を除いては、これを認めない。
第2章 倫理・社会関係
第3章 経済関係
第4章 政治関係
第2編 共和国の機構
第1章 国会
第55条(国会の構成および合同会議)
1 国会は、衆議院(以下、下院)および共和国元老院(以下、上院)より成る。
第70条(立法機能)
立法機能は両議院が共同して行使する。
第74条 (大統領の法律再議権)
1 大統領は、法律を審署する前に、理由を付した教書を両議院に送り、再議を求めることができる。
2 両議院が重ねてその法律を可決したときには、それは必ず審署されなければならない。
第76条 (立法の委任) 立法機能の行使は、原則と指針が定められていなければ、しかも期間が限定され、対象が特定されていなければ、政府に委任することができない。
第80条 (条約の承認) 両議院は、・・・国際条約の批准を法律により承認する。
第81条 (予算および決算の承認)
1 両議院は、毎年、政府の提出する予算および決算を議決する。
2 暫定予算は、法律により、かつ通じて4ヶ月を超えない期間についてのみ、認められる。
3 予算を承認する法律をもって新たな租税およびあらたな支出を定めることはできない。
4 新たな支出または支出の増加を伴うすべての法律は、その財源を示さなければならない。
第2章 共和国大統領
詳細はイタリアの大統領を参照。
第88条 (両議院の解散)
1 大統領は、その議長の意見を聞いて、両議院または1議院のみを解散することができる。
2 大統領は、その任期の最後の6ヶ月間は、前項の機能を行使することができない。ただし、・・・
第3章 政府
第92条(政府の構成、任命)
第93条(大臣の宣誓)
第94条(政府に対する信任、不信任)
1 政府は両議院の信任を有しなければならない。
2 各議院は氏名点呼により可決され、理由を付した動議により信任を与え、またはこれを撤回する。
3 政府は成立後10日以内に、両議院に対して信任を求めなければならない。
4 政府の提案に対する1議院または両議院の反対表決は政府の辞職の義務を伴うものではない。
5 不信任の動議は、その議院の少なくとも10分の1の署名を必要とし、その提出後3日を経た後でなければ、討議に付すことはできない。
第95条 (首相の職権、各大臣の責任)
第96条 (首相および各大臣の訴追)
第4章 司法
第101条 (裁判、裁判官の独立)
第102条 (司法機能、参審制)
第103条 (国務院、会計検査院の裁判権、軍事裁判所)
第104条 (司法府の独立、最高司法会議)
第5章 州、県、市町村
第114条 (共和国の構成)
1 共和国は市町村、県、大都市圏、州および国により構成される。
第6章 憲法の保障
第134条 (憲法裁判所の権限)
第139条 (憲法改正の限界) 共和政体は憲法改正の対象となることはできない。
特色
- 敗戦後の連合軍占領下において、イタリア国民を主体として自主的に作成された。[1]
- カトリックの社会教説とマルクス主義の理論が根底にある[1]。これは憲法制定議会選挙で、キリスト教民主主義とイタリア社会党が多勢を占めたからである。
- 単なる「非ファシズム」的な性格ではなく、「反ファシズム」的な性格を持つ。よって、思想の自由はあるが、ファシスト党は再結成は禁止されている[1]。また君主制の復活を目的とする改憲を禁止するばかりか、2002年までは旧王家であるサヴォイア家の権利に厳しい制限を加えていた(選挙権・被選挙権の否認、ウンベルト2世の嫡男系のイタリア領内への入国禁止など)[2]。
- 刑罰は受刑者の再教育を目的としており、いわゆる死刑廃止を建前としている。
脚注
参考文献
- 井口文男・編「参憲資料第5号 イタリア共和国憲法概要」、参議院憲法調査会事務局、平成13年(2001年)6月