The Game Awards

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The Game Awards
受賞対象コンピュータゲーム業界の際立った功績
会場マイクロソフト・シアター
アメリカ合衆国
司会ジェフ・キーリー
初回2014年12月5日 (9年前) (2014-12-05)
最新回2023年12月8日 (4か月前) (2023-12-08)
公式サイトthegameawards.com

The Game Awards(ザ・ゲームアワード、TGA)は、コンピュータゲーム業界の功績を讃える年次表彰式典。このショーの前身である「Spike Video Game Awards」に10年以上携わってきたカナダゲームジャーナリストジェフ・キーリーが制作・司会を担っている[1]。セレモニーではまた新作ゲームのプレミアや以前に発表された作品の詳細情報なども取り上げている。

歴史[編集]

1994年にジェフ・キーリーは初のテレビ放送されたコンピュータゲームの賞「Cybermania '94: The Ultimate Gamer Awards」に関わっており、当時10代だったキーリーはウィリアム・シャトナーレスリー・ニールセンなどの有名司会者用の資料の執筆補助として起用されていた。祝賀というよりコメディー志向のこのショーは成功したとは受け止められなかったが、キーリーが後に彼のキャリアにおいてアカデミー賞に似たコンピュータゲーム用の何かを開発する原動力となった[2]

キーリーはその後、2003年から2013年まで開催されていた「Spike Video Game Awards」(VGA)に携わった。毎年の年末にSpike TVで放送されたVGAはその年に発売されたコンピュータゲームを讃えることが目的としており、VGAのプロデューサーであったキーリーは度々VGAの司会も務めていた。2013年にSpikeは第8世代のゲーム機の登場により将来的に発売されるであろう次世代用ゲームに更に集中していきたいとの考えを反映させるために賞の名称をVGAから「VGX」(Next Generation of Video Game Awards[3])に変更し、同様にコメディアンのジョエル・マクヘイルをキーリーとの共同司会に起用した[4]。2013年のVGXはコンピュータゲームの功績を祝うのではなくより商業志向のショーとなっており、期待外れとみなされた[5]

キーリーはVGXが提供するトーンの変化に失望しており、同ショーへのさらなる関与をやめ、Spikeにショーの権利を保持させた。2014年11月、Spike TVはVGXを完全終了することを発表した。その代わりに、キーリーは家庭用ゲーム機メーカーのソニー、マイクロソフト、任天堂と一部の大手パブリッシャーを含む業界内の一部組織と協力して新たな授賞式のショー「The Game Awards」を制作するために財務的な支援を得てSpikeの賛同も得た[6]。放送局が無くてもSpike TVの時よりもはるかに多くの視聴者にリーチできるようにキーリーと事業者は家庭用ゲーム機のネットワーク及びValve CorporationSteamサービス上でショーのライブストリーミングを行う事で合意した[7]。それ以来、キーリーはショーのために世界の複数の配信サービスを確保し、ショーの開始以降のGame Awardsの一部パートナーから感謝されることになった。キーリーは放送ネットワークからショーを放送するオファーがあったが、彼はオファーを拒否しショーのプレゼン方法や内容に関して自由性を保った[8]

キーリーはThe Game Awardsがゲーマーと業界の関心を好意的に提示し、コンピュータゲームに関心を示している有名人などの歓迎を目的とすることを重視していた。Game Awardsは主に表彰のショーであるが、表彰のみのショーが視聴者不足が原因で失敗してきたのを見てきたキーリーはコンテンツを拡充することの重要性を認識していた。キーリーはアカデミー賞のエンターテイメント会場と「ゲーム・デベロッパーズ・チョイス・アワード」(GDCA)の様なスタンダードな授賞式の中間にThe Game Awardsを位置づけるべきだと考えており、題材のバランスを取ることを望んでいた[9]。Spike VGXからGame Awardsへと変わる際にキーリーは表彰式と並行してゲームのティザー映像、作品のプレビュー動画の持ち込み及びこれからのゲームの公開を行うためにデベロッパーとパブリッシャーと関わった。彼がこの手法の最高の瞬間だと考えたのは『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の最初のゲームプレイ映像の公開を2014年のGame Awardsで行えたことだった[10]。キーリーはデベロッパーとパブリッシャーに対し、例え開発の初期段階であったとしてもわくわくすると思われるまたは興味を惹きつけ得るあらゆるゲームコンテンツを提供するように促し、その後取り上げるゲーム及び映像を選定する。

賞の発表に併せて、Steam、Xbox Games Store及びPlayStation Storeなどの一部のオンラインストアはノミネートされたゲームのセールを授賞式の前から数日後まで行うことがある[11]。受賞作品に授与される小像はキーリーとWeta Workshopがコラボレーションによってデザインされたものであり、「デジタルの積み木を昇る天使によって、コンピュータゲームという媒体の進化」を表現している[12][13]

プロセス[編集]

The Game Awardsはハードウェアメーカーのマイクロソフト、ソニー、任天堂、AMDとソフトウェアパブリッシャーのエレクトロニック・アーツ、アクティビジョン、ロックスター・ゲームス、Ubisoft、Valve、Warner Bros.Interactive Entertainmentからの代表者を含む諮問委員会を設置している。この委員会はノミネートとその後のいくつかの部門におけるコンピュータゲームへの投票が可能な約30の影響力のあるコンピュータゲームのニュースメディアを選定する。諮問委員会自体はノミネーションや投票プロセスに参加しない。ノミネーション期間では各ニュースメディアはいくつかの部門におけるゲームのリストを提供する。eスポーツ関連部門のゲームはこれらのメディアの専門部門が選ぶ。委員会はノミネーションをまとめてこれらの同じメディアからの投票による最多ノミネーション作品を選定する[14]。2017年より前には受賞作品を選定する28人の業界の専門家と代表者がいたが、2017年以降の賞ではそのような専門家は50人以上いる[15]。2019年には非英語メディアが審査員に加えられた[16]。受賞作品は投票審査員(90%)とソーシャルメディアを介した一般投票(10%)の混合投票で決定する[17]

一般的に11月の特定日以前に発売された作品のみがその年のアワードにノミネートされる資格がある。しかし、審査員は特定日の数週間前にノミネートを行う必要があることから、特定日の直前に発売される予定の期待作は最終版ではなく発売前の評価用見本で判断しなければならないため、ノミネートにおいて過小評価される可能性がある[18]

式典と受賞作品[編集]

各回の式典の詳細とGame of the Year部門以外の受賞作品については式典欄のリンク先(英語版wikipedia)を参照のこと

式典 開催日 Game of the Year 開催地 視聴者数
(百万単位)
2014英語版 2014年12月5日 ドラゴンエイジ:インクイジション The AXISネバダ州ラスベガス 1.9[19]
2015英語版 2015年12月3日 ウィッチャー3 ワイルドハント マイクロソフト・シアターカリフォルニア州ロサンゼルス 2.3[19]
2016英語版 2016年12月1日 オーバーウォッチ 3.8[20]
2017英語版 2017年12月7日 ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド 11.5[21]
2018英語版 2018年12月6日 ゴッド・オブ・ウォー 26.2[22]
2019英語版 2019年12月12日 SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE 45.2[23]
2020英語版 2020年12月10日 The Last of Us Part II バーチャルイベント 83[24]
2021英語版 2021年12月9日 It Takes Two マイクロソフト・シアターカリフォルニア州ロサンゼルス 85[25]
2022英語版 2022年12月8日 ELDEN RING 103[26]
2023英語版 2023年12月8日 バルダーズ・ゲート3 118[27]

脚注[編集]

  1. ^ Geoff Keighley unveils The Game Awards 2014 to replace the VGAs”. Venture Beat. 2014年11月29日閲覧。
  2. ^ Martens, Todd (2017年12月6日). “Geoff Keighley's lifelong obsession to create a video game Oscars”. Los Angeles Times. 2017年12月6日閲覧。
  3. ^ doope!. ““VGA”から名称が変更された年末恒例のビデオゲームイベント「VGX」の概要が発表 « doope! 国内外のゲーム情報サイト”. 2021年12月29日閲覧。
  4. ^ Sarkar, Samit (2013年11月15日). “Spike Video Game Awards renamed VGX, set for Dec. 7”. Polygon. 2016年12月6日閲覧。
  5. ^ Good, Owen (2013年12月8日). “Gamers Care More About the VGX Than the Show Did. That's the Problem.”. Kotaku. 2016年12月6日閲覧。
  6. ^ Schreier, Jason (2014年11月10日). “There's A Big New Game Award Show Happening This December”. Kotaku. 2014年12月6日閲覧。
  7. ^ Graser, Marc (2014年11月10日). “Videogame Industry Rallies Around First ‘Game Awards’”. Variety. 2016年12月2日閲覧。
  8. ^ Valentine, Rebekah (2018年12月6日). “Seeing the past and future of gaming through The Game Awards”. GamesIndustry.biz. 2018年12月6日閲覧。
  9. ^ Takahashi, Dean (2017年12月6日). “The Game Awards balances revelations, gamer culture, and celebrities”. Venture Beat. 2017年12月6日閲覧。
  10. ^ Schreier, Jason (2017年11月30日). “How Video Games' Biggest Award Show Comes Together”. Kotaku. 2017年11月30日閲覧。
  11. ^ Saed, Sherif (2017年12月7日). “Xbox One stealth sale has great prices on FIFA 18, Call of Duty: WW2, Shadow of War, much more”. VG247. 2017年12月7日閲覧。
  12. ^ About the Game Awards”. The Game Awards. 2017年12月3日閲覧。
  13. ^ The Game Awards 2016 - Behind the Scenes at WETA!. The Game Awards. 20 November 2016. 2017年12月3日閲覧
  14. ^ The Game Awards – Rules and Voting”. The Game Awards. 2016年12月1日閲覧。
  15. ^ Spangler, Todd (2017年11月10日). “2017 Game Awards Expands Distribution, Adds Fan Voting via Google Search, Twitter, Facebook”. Variety. 2017年11月10日閲覧。
  16. ^ Voting Jury | The Game Awards”. Voting Jury | The Game Awards. 2019年11月23日閲覧。
  17. ^ FAQ | The Game Awards”. FAQ | The Game Awards. 2019年11月23日閲覧。
  18. ^ Carpenter, Nicole (2020年11月18日). “Why some of 2020's big games didn't get Game Awards nominations”. Polygon. 2020年11月19日閲覧。
  19. ^ a b Crecente, Brian (2016年12月6日). “The Game Awards audience up 65 percent to 3.8M”. Polygon. 2017年12月13日閲覧。
  20. ^ Crecente, Brian (2016年12月6日). “The Game Awards audience up 65 percent to 3.8M”. Polygon. 2016年12月6日閲覧。
  21. ^ Crecente, Brian (2017年12月12日). “The Game Awards Audience Triples to 11.5 Million Livestreams in 2017”. Glixel. 2017年12月12日閲覧。
  22. ^ Takahashi, Dean (2018年12月12日). “The Game Awards doubles viewership to 26 million livestreams”. Venture Beat. 2018年12月12日閲覧。
  23. ^ Game Awards 2019」の累計視聴者数が約4500万人を記録、昨年比で70%以上の増加。750万人以上が同時にリアルタイムで視聴し時間を共有した.電ファミニコゲーマー(2019年12月19日).2019年12月20日閲覧
  24. ^ 「The Game Awards 2020」の視聴者は8,300万人以上―昨年から83%増”. Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト. 2021年2月3日閲覧。
  25. ^ Inc, Aetas. “The Game Awards 2021,8500万件のライブストリーミングの記録を樹立”. jp.gamesindustry.biz. 2021年12月29日閲覧。
  26. ^ 2014年の開始時から約50倍に成長!「The Game Awards 2022」オンライン視聴者数なんと1億超え”. Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト. 2023年2月2日閲覧。
  27. ^ doope!. “「The Game Awards 2023」の累計視聴数が過去最大規模となる1億1,800万回を記録 « doope! 国内外のゲーム情報サイト”. 2023年12月21日閲覧。

外部リンク[編集]