OTRS (作業分析・業務最適化ソフトウェア)

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OTRS
開発元 株式会社ブロードリーフ
最新版
Ver.10 / 2016年6月 (7年前) (2016-06)
対応OS

Windows 7  Windows 8  Windows 8.1

Windows 10
種別 パッケージソフトウェア
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト OTRSサイト
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eOTRS株式会社ブロードリーフが開発している動作分析ソフトウェア(作業分析/業務最適化ソフトウェア)である。

概要[編集]

OTRSとは、製造業などにおいて行われている改善に用いられるソフトウェアである。各種のデバイスで撮影した動画データを取り込んで微細な動作分析を行う機能を持ち、分析結果を比較して再生する機能を持つ。なお、OTRSはOperation Time Research Softwareの頭文字である。 OTRSで行う分析は経営工学(IE)における分析手法の一つであるビデオ分析法ならびにストップウォッチ法(ST法)に含まれる。

IEと同じく製造業などで取り組まれているQC活動(小集団活動)でも、利用されている。

認証・認可など[編集]

OTRSは産業競争力強化法(経済産業省関係)施行規則第5条第1項ロに掲げられた指定設備の要件を満たしており、生産性向上設備投資促進税制対象製品(ソフトウェア)に認可されています。(登録番号:261-1505-339) [1]

運用事例[編集]

製造業での事例[編集]

製造業においてOTRSは現場改善のツールとして使われている。動画から価値を持たない動作を省いたシミュレーションを行うことでコスト削減、作業標準化の実施に用いられている。

1)「OTRS」を活用して、製造工程の作業分析と作業の最適化シミュレーションを実施。徹底した工数削減に役立てた。この結果、1年間で31人の要員と15%の人件費を削減した。《株式会社半谷製作所》 [2]

2)作業実測の位置付け IEの基本的なアプローチを忠実に実行 (動作分析をOTRSで行い正確な要素作業分解を行う)《YKKAP株式会社》 [3]

3)大手電機メーカーでは、本ソフトを活用して作業分析時間を10時間から5時間に半減、しかも組立現場の人員を2ラインで29名から19名に削減!!作業分析作業そのもの はもちろん、現場コストダウンでも大きな成果が出せます《株式会社エイティック》 [4]

4)自動車メーカー(国内:混流生産組み立てライン)での作業改善 結果:1時間当たり、7分30秒(450秒)短縮。 [5]

5)先行導入したトヨタ自動車で好評だったため、本格販売を始める。《トヨタ自動車株式会社》[6]

非製造業での事例[編集]

製造業での改善実績を非製造業で取り組んでいる例も多く見られる。製造業と同様のムダどり、コスト削減と合わせて、技術伝承や教育の面でのツールとしての活用もある。

1)いままでなんとなく違和感があった包装紙折り畳み作業の一部にムダやムラが多いことが、OTRSではっきりしました。包装紙の取り出し位置と手順を少し変えたら、作業時間も短縮でき、ミスも減りました 《ベルメゾン 株式会社千趣会》[7]

2)構内物流の調査・解析方法について 製品組立・包装や倉庫での業務を調査し、その内容とデータ(取扱量など)をもとにムダ・ロスを抽出することができます。取り込んだ映像をもとにOTRS(解析ツール)を使用し各 作業のサイクルタイムを算出《三菱化学物流株式会社》[8]

3)、複数パソコンでのデータ共有化・作業工程表の作成など新たな機能が追加され、解析時間の短縮及び、今以上に詳細な検討が可能になりました。バージョンアップしたOTRSを活用し、今後も提案内容の向上に努めてまいります。《三菱化学物流株式会社》[9]

教育・研究機関での事例[編集]

1)作業実験については、実際に様々な組み立て作業を行い、それをビデオカメラで撮影し、微細動作分析ソフトOTRSを用いてこれを分析し、データを収集するという方法をとった。《名古屋大学》 [10]

2)授業では、『ムリ、ムダ、ムラ』の定義とそれらを見つけるためのチェックポイント、安全を前提に置きながらIEを活用しての「ムリ、ムダ、ムラ」を排除するまでの手法など実社会における作業効率、業務改善への基本的なプロセスを教えていただきました。 《日本自動車大学校》[11]

3)学生に組み立ててもらい、その様子をビデオ撮影し、映像をソフトウェア「OTRS」を使いながら「ムダはこの辺にあるね」「右手より左手のほうが良いのではないか」などを学生が分析し、改善していきます。《慶應義塾大学》[12]

トヨタ生産方式での事例(製造業)[編集]

1).NPSとOTRSを活用した改善活動はNTCだけにとどめておくつもりはない。《株式会社NTC》[13]

2).動作分析ソフトウェアOTRSを使いこなす (特集 マンネリを打破!現場を変えたTPSの応用展開)[14]

脚注[編集]

  1. ^ 社団法人情報サービス産業協会 (2015年5月13日). “産業競争力強化法に基づく先端設備(ソフトウェア)事前登録一覧”. 2014年4月14日閲覧。
  2. ^ 山田 俊浩 (2011年10月20日). “<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>49.半谷製作所(下) データの活用で利益創出”. 2014年4月14日閲覧。
  3. ^ YKKAP株式会社 (2005年8月20日). “作業実測の位置付け”. 2016年6月20日閲覧。
  4. ^ 菅野 美穂 (2012年6月6日). “ふくしま生産技術ニュース”. 2016年6月20日閲覧。
  5. ^ 大岡 明 (2016年3月23日). “ERPnaviビジネスコラム第4回 改善現場で行われている5つのステップ(ムダとり改善事例)”. 2016年6月1日閲覧。
  6. ^ 大岡 明 (2016年7月27日). “ERPnaviビジネスコラム第7回 ムダ取りに役立つ改善ツール「OTRS」の最新情報”. 2017年7月1日閲覧。
  7. ^ 株式会社千趣会 (2009年8月4日). “人・機械・モノの動きと時間を”見える化”して分析。作業現場の改善を促す《作業工程可視化分析ソフトウェア》。”. 2015年12月20日閲覧。
  8. ^ 中島 英男 (2008年11月1日). “LIFE TIMES LIFE TIMES 78号”. 2015年12月20日閲覧。
  9. ^ 中島 英男 (2009年7月1日). “LIFE TIMES LIFE TIMES 82号”. 2015年12月20日閲覧。
  10. ^ 小沢 浩 (2009年4月30日). “ライン=セルの生産形態決定モデルの定量化と生産形態の移行に関する事例研究”. 2014年4月14日閲覧。
  11. ^ 日本自動車大学校自動車研究科 (2015年7月6日). “経営戦略 作業効率向上と改善!”. 2015年8月1日閲覧。
  12. ^ 日刊工業新聞 (2016年11月). “工場管理2016年11月号”. 2017年7月1日閲覧。
  13. ^ 日高 俊明 (2015年7月20日). “NPS(New Production System)とOTRSを活用し、安全、品質、生産性の改善と多能工化をチームで取り組む”. 2014年4月14日閲覧。
  14. ^ 木村 啓輔 (2008年10月). “動作分析ソフトウェアOTRSを使いこなす (特集 マンネリを打破!現場を変えたTPSの応用展開)<”. 2015年8月17日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]