2A65 152mm榴弾砲

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2A65「ムスタ-B」 152mm榴弾砲

2A65「ムスタ-B」ロシア語:2А65 «Мста-Б»ドヴァー・アー・シヂスャート・ピャーチ・ムスター・ベー)は、ソビエト連邦製の152mm榴弾砲である。しばしば「МСТА」、あるいはラテン文字で「MSTA」と大文字書きされることがあるが何かの略号というわけではなく、「ムスタ」はロシア西部を流れる川の名前に由来している。

概要[編集]

この砲はD-20 152mm榴弾砲の後継として開発され、1986年に完成した。なお、2S19ムスタ-S 152mm自走榴弾砲の主砲もこの砲が採用されている。2A65では誘導砲弾「クラスノポリM2」の使用が可能である。自走式ではないため牽引車輌が必要とされるが、それには一般的な軍用トラックであるウラル-4320が想定されている。

開発時期が冷戦終結とソビエト連邦の崩壊の直前であったためD-20と比較して採用国は多くはないが、独立国家共同体諸国の陸軍あるいは海軍歩兵で運用されている。ロシア連邦軍の2A65は、チェチェン紛争で実戦に投入されている。ロシア陸軍で150 門、ロシア海軍歩兵で220 門の2A65が運用されている。また、ジョージアも11 門の2A65を保有している。ウクライナは、270 門程度の2A65を配備している。

スペック[編集]

  • 口径:152.4mm
  • 全長:11400 ~ 12700mm
  • 全幅:m
  • 重量:7,000kg
  • 砲身長:7200mm(47口径)
  • 仰俯角:-3.5°~+70°
  • 左右旋回角:27°
  • 運用要員:6-11名
  • 発射速度:8発/分(最大)、1発/分(連続射撃時)
  • 射程:24,700m(標準榴弾)/28,900m(ロケット補助推進弾)
同性能の牽引式榴弾砲の比較
イギリスの旗/西ドイツの旗/イタリアの旗FH70 フランスの旗TRF1 南アフリカ共和国の旗G5 ソビエト連邦の旗2A65 アメリカ合衆国の旗M198 アメリカ合衆国の旗M777
画像
主砲 39口径155mm 40口径155mm 45または52口径155mm 47口径152mm 39.3口径155mm 39口径155mm
全長 9.8 m(牽引時)
12.4 m(射撃時)
10 m(牽引時) 9.1 m(牽引時) 11.4 m - 12.7 m(射撃時) 7.09 m(牽引時)
11.3 m(射撃時)
9.5 m(牽引時)
10.7 m(射撃時)
全幅 2.56 m(牽引時) 3.09 m(牽引時) 3.3 m(牽引時) 不明 2.79 m(牽引時)
8.53 m(射撃時)
3.3 m(牽引時)
全高 2.56 m(牽引時) 1.79 m(射撃時) 2.1 m(牽引時) 2.12 m(牽引時)
1.8 m(射撃時)
不明
重量 7.8 t - 9.6 t 10.52 t 13.75 t 7 t 7.162 t 4.218 t
砲員数 8名 7名 8名 6 - 11名 11名 5名
最大射程 24 km(通常弾)
30 km(RAP弾)
30 km(通常弾)
50km(RAP弾)
24.7 km(通常弾)
28.9 km(RAP弾)
22.4 km(M107弾
26.5 km(M795弾
30km(RAP弾)
24 km(M107弾)
30 km(ERFB弾)
40 km(M982弾
発射速度 3発/15秒(最大)
3-6発/分(持続射撃)
3発/分(最大)
1発/分(連続射撃時)
8発/分(最大)
1発/分(連続射撃時)
4発/分(最大)
2発/分(持続射撃)
5発/分(最大)
2発/分(持続射撃)
採用国 10 3 6 7 10 4

関連項目[編集]

外部リンク[編集]