洗礼 (漫画)
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『週刊少女コミック』(小学館)に昭和49年50号より連載された。1996年に吉原健一監督が実写映画化した。
目次 |
[編集] 概要
恐怖漫画をメインに描いてきた楳図のキャリアの中で、へび女のような目に見える恐怖ではなく、人の心というものの怖さを描いているのが特徴といえる。少女漫画のキャリアもある楳図らしく、女性心理の描写も巧みで、母・娘関係を見事に描ききっている。作品の性質に応じて絵柄を変えてくる楳図の特徴がよく出ており、決め細やかで美しい絵に仕上がっている。
[編集] あらすじ
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
美貌を誇った往年の大女優・若草いずみは、子役時代からの厚化粧や撮影所の強いライトの影響などにより、やがて顔に深いしわや醜いあざが出来てしまう。幼い頃から人一倍「美醜」や「老い」といったものに敏感だったいずみは、そのあざのせいで精神の安定を欠くようになり、ついには、若さと美貌をとりもどすため、女児を出産し、その娘に自身の脳を移植をするという計画を企てる。
いずみは、無事出産した娘をさくらと名づけ、彼女の頭が十分大きくなるまで大事に育てあげた。周囲からは良き母・娘と見られ、さくらが書いた作文「わたしのやさしいおかあさん」は文部大臣賞を受賞するほどのものであった。
一見良好な母・娘関係の裏で、いずみの主治医は、家の2階で、来るべき脳移植手術にそなえ、動物実験を繰り返していた。さくらは不気味なものを感じ取ったのか、決して2階に行くことはなかった。ある日、さくらが思い切って2階に上がってみると、動物実験の痕跡である大量の死骸と、2台のベッドを発見。母親の真の意図に気づいて逃げ出そうとするが捕まってしまい、おぞましい脳移植手術は強行される。
生まれ変わったいずみ(さくら)は、普通の女としての幸せを手に入れると称して、担任である男性教師・谷川の愛をつかみ取ろうと決意。これまでのさくらのボーイフレンド(同級生)には、子供なんてもう相手にしない、自分が欲しいのは大人の愛だと言い放つ。しかし、独身だと思っていた谷川に実は妻子がいることが発覚。そこで、いずみは策を講じて谷川の家にうまく乗り込むと、谷川の妻を陰湿の限りを尽くしていじめぬき、谷川を小学生の体で不気味に色っぽく誘惑する。
いったんは、妻を病院送りにして谷川から離婚の約束をとりつけ、目的を達したかに思ったいずみ。だが、勝ち誇るのもつかの間、実は谷川夫妻そろっての芝居にだまされており、妻は実家に避難し、谷川は密かにさくら(いずみ)に病院でカウンセリングを受けさせようとしていたことを知って涙を落とす。
おりしも、手術前のいずみの顔にあったのと同じ、加齢や過度の化粧による醜いあざが、小学生であるさくら(いずみ)の顔にも出現。さらには、若草いずみの引退後を追跡調査するルポライターも現れ、いずみは徐々に追い詰められていく。いずみは最終手段として、さくらの親友である良子に全てを打ち明け、谷川の妻である和代への脳の再移植を強行しようとするのだが・・・
[編集] 登場人物
- 若草いずみ(女優名)
- 主人公さくらの母。本名は上原松子
- 上原さくら
- 小学生の少女
- 良子
- さくらの親友
- 谷川先生
- さくら、良子の小学校の教師
- 和代
- 谷川先生の妻
- 中島さん
- さくらといずみの秘密を暴きたてようとする小学校の同級生
- 波多あきみ
- 往年の大女優である若草いずみのその後を追跡調査しているフリーのルポライター
- 村上先生
- 若草いずみの主治医
[編集] 補足
- 漫画家の岡崎京子は『洗礼』を連載中にリアルタイムに読み、この作品を「"セックスしないエッチ"のチャンピオンみたいな漫画」と最大限に褒め称えている。参考文献「ウメカニズム 楳図かずお大解剖」(小学館)
- シンガーソングライターの柴田淳は楳図ファンを自称しているが、最初に知った楳図作品が『洗礼』だったと言う。
- 岩井志麻子が最も影響を受けた漫画としてこの作品を挙げている。
