死と乙女

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

死と乙女(しとおとめ)


死と乙女』(しとおとめ、Der Tod und Das Mädchen)作品7-3、D531は、フランツ・シューベルトによる歌曲(リート)。詩はマティアス・クラウディウスによる。病の床に伏す乙女と、死神の対話を描いた作品。

乙女は「死」を拒否し、死神に去ってくれと懇願するが、死神は、乙女に「私はおまえを苦しめるために来たのではない。お前に安息を与えに来たのだ」と語りかける。ここでの「死」は、恐ろしい苦痛ではなく、永遠の安息として描かれている。ドイツでは、昔から「死は眠りの兄弟である」とよく言われており、ここでの「死」もひとつの永遠の安息として描かれている。

[編集] 楽曲

シューベルトの作品は、ニ短調、2分の2拍子で書かれている。最初に、「死」を描くコラールがピアノで奏され、続いて「Das Mädchen」と書かれた部分に進む。ここの音楽は非常に切迫感があり、乙女の拒否を巧みに描いている。続いて「Der Tod」とされている部分に入る。冒頭のコラールが再帰し、「死」が「お前に安息を与えるためにきた」と優しく語りかける。後半部分でニ長調に転調し、長調の響きの中で全曲を閉じる。
1824年にはピアノ伴奏部が、弦楽四重奏曲第14番第2楽章の変奏曲主題に引用された。

[編集] 解釈

この曲は、従来はロシアのバス歌手、フョードル・シャリアピンに代表されるように、「死」を恐るべき死神ととらえ、死神の語る慰めの言葉は誘惑である、とする解釈が一般的であったが、名伴奏者ジェラルド・ムーアなどは、最後の美しいコラールは決して脅しではなく、真の安息であると主張している。

他の言語