先天性胆道閉鎖症

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胆道閉鎖症たんどうへいさしょう: BA; biliary atresia)とは、肝臓十二指腸を結ぶ胆道が閉鎖している病気のことである。肝臓で作られた胆汁が十二指腸に流れないため、黄疸を引き起こし、放置すると胆汁性肝硬変に進行して死亡してしまう危険性が高い。出生9,000人から10,000人あたりに1人の割合で発症するとされており、女児の発症率は男児の発症率の約2倍。出産前に検査する方法は見つかっていない。 平成24年度より、全国の母子手帳に便色カードが収載される事が決まっており、便色カードによる早期発見の試みが行われている。[1]

この病気は完治することはない。葛西手術の術後黄疸消失率は平均70-80%とされているが、再燃しやすく、肝移植が一般的になる以前では、10年生存率は約50%、20年生存率は20%とも報告されている。また、葛西手術後に減黄しても、胆管炎・食道静脈瘤などの合併症を引き起こすことがある。 自己の肝臓での長期生存は難しく、現在ではほぼ半数の患者が肝移植を受ける。

症状[編集]

黄疸、灰白色便・淡黄色便(十二指腸に胆汁が流れないため)、尿の茶褐色化(胆汁の分解物が尿に混じるため)が見られる。

医学書の記述では、灰白色便と記される事が多いが、実際には白だけでなく、淡黄色・クリーム色・薄緑色も見受けられる。 これは腸壁より滲み出すビリルビンによって、少量ではあるが着色したものと考えられ、注意が必要である。 脂溶性ビタミンの吸収障害により、頭蓋骨内出血して発覚し、後遺症を残したり、死亡例も後を絶たないため、早期発見が望まれる。

原因[編集]

はっきりとした原因は判明していないが、以下のような説が存在する。

検査[編集]

治療節に記載の通り、生後60日以内の手術が望ましいため、早期の検査が重要とされている。新生児期から黄疸が続く場合は、類似症状の他の病気との切り分けのための検査を実施する。シュミットテストで便中のビリルビンが検出されなければ本症の疑いがある。超音波所見としては胆嚢の萎縮が特徴的。

治療[編集]

胆道の閉鎖を取り除く手術(葛西式)を行う治療法がある。但し、この治療法を実施するには生後60日以内が望ましく、生後60日を超えると肝臓の線維化が進むために、手術後の胆汁排泄効果が弱まってしまうとされている。

予後因子として肝内胆管の形成の程度、胆汁鬱滞の程度がある。術後合併症として胆管炎が予後に大きく影響するため、抗生剤利胆剤の投与、ステロイドパルス療法が行われる。

術後に脂溶性ビタミンの吸収障害に注意する必要がある。

手術をしても胆汁排泄が行われない場合や、既に肝機能障害が進行している場合は、さらに肝移植が有効とされる。今日の肝移植は目覚ましい進歩を遂げ、一般的な治療手段として位置づけられるようになった。 肝移植を受けたほぼ全ての患者は、生涯免疫抑制剤を服用する必要があり、免疫の抑制により感染性やリンパ増殖症などのリスクが残る治療方法である。

肝移植の有無に関わらず、一度起こった肝機能障害は改善までに時間が掛かる。

脚注[編集]

  1. ^ http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001u2ad.html

外部リンク[編集]

関連項目[編集]