交響曲第6番 (スタンフォード)

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交響曲第6番 変ホ長調 「G.F.ワッツの想い出に」 Op.94は、チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォードが作曲した交響曲。演奏時間は約36分[1]

概要[編集]

1904年、"イギリスミケランジェロ"とまで称されたヴィクトリア朝時代の代表的な画家彫刻家ジョージ・フレデリック・ワッツがこの世を去った。そこでスタンフォードはワッツの作品になぞらえて交響曲を作曲することにした。1905年5月に開始された作曲は急ピッチで進められ、7月19日に完成、翌1906年1月18日に作曲者の指揮ロンドンクイーンズ・ホール英語版での初演を迎えた。曲は1907年ボーンマスで再演された後、顧みられなくなった[2]

スタンフォードが念頭においていた作品は、以下に示すものと絵画「愛と生 Love and Life」「愛と死 Love and Death」である[2]

楽曲構成[編集]

第1楽章 アレグロコン・ブリオ
ソナタ形式。快活な主題が提示される。第2主題はチェロによって出される、やはり活発なもの。展開部の途中で「死」のテーマが現れるが[2]、楽章は明るい調子をもって閉じられる。
第2楽章 アダージョ・エ・モルトエスプレッシーヴォ
ハープを伴奏に置き、叙情的な旋律が奏でられる。「愛」のテーマである[2]コーラングレが効果的に用いられる。最後には「死」のテーマと一緒になり、静かに終わる[2]
第3楽章 スケルツォトリオプレスト) -
劇的な主題によって開始される。長調のトリオも同じ素材を使用する[2]。また、これがギャロップ様のリズム乗って、そのまま終楽章に繋がる[2]
第4楽章 モデラート・エ・マエストーソ
前楽章から途切れずなだれ込み、勇壮な主題を奏する。複雑に展開する中で「愛」のテーマは再び「死」のテーマと一体となり[2]、最後は安らぎの中に静かに全曲を結ぶ。

出典[編集]

  1. ^ Stanford Complete Symphonies CHANDOS”. 2013年1月3日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h Standorf complete symphonies ブックレット” (PDF). 2013年1月3日閲覧。

参考文献[編集]