リョーサンヴァトンのソルゲイル・ソルケルスソン

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リョーサンヴァトンのソルゲイル・ソルケルスソン(またはトルケルの子のトルゲイル[1]Þorgeirr Þorkelsson Ljósvetningagoði, 940年頃 - ?)は、985年から1001年にかけてアイスランドアルシングにおいて法の宣言者(古ノルド語: Lögsögumaðuren)を務めた人物である。

解説[編集]

999年1000年に、アイスランド立法府(Iceland's legislative)は、自分たちが北欧古来の宗教(Norse paganism)とキリスト教のいずれの宗教を遵守すべきかを討論していた。2派はそれぞれがそれぞれの法を宣言しようとするに至り、そうなればアイスランドが分裂しかねない。東地区の有力者であったシーダのハル(Síðu-Hallur)は、ソルゲイルに銀貨60枚[注釈 1]を贈って、2派それぞれが納得できる法を宣言してほしいと頼んだ。自身が古来の宗教の聖職者でありゴジ(族長)でもあったソルゲイルは、一昼夜、毛皮の毛布の下で無言の瞑想を続けた後、キリスト教に有利な決定を下した。 しかし古来の宗教の信者は、まだ非公式に自分たちの宗教を信仰できた[2]。 この出来事は、アリ・ソルギルスソンの『アイスランド人の書』に残されている。

彼の採決の後、ソルゲイルは自身もキリスト教徒になり、彼の神の偶像(en)を滝に放り込んだ。そのことに由来して、滝は今、ゴーザフォスGoðafoss。「神の滝」の意)という名でアイスランドの人々に知られている。 また、アイスランドのアークレイリにある教会の窓(ステンドグラス)にも彼のこのエピソードが描かれている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 『サガとエッダの世界』252頁の注釈によると、『キリスト教徒のサガ』では銀50枚とされているという。

出典[編集]

  1. ^ 『サガとエッダの世界』236頁。
  2. ^ 『サガとエッダの世界』89-90頁、239-241頁。

参考文献[編集]

  • 山室静『サガとエッダの世界 アイスランドの歴史と文化』社会思想社〈そしおぶっくす〉、1982年

外部リンク[編集]