ライオンと魔女
『ライオンと魔女』(ライオンとまじょ、原題:The Lion, the Witch and the Wardrobe )は、C・S・ルイスによる児童文学「ナルニア国ものがたり」7部作のうち、最初に執筆・出版された作品。1950年に出版された。ナルニア年代記として時系列順にみると、『魔術師のおい』に続いて2番目にあたる。原題を直訳すれば「ライオンと魔女と衣装箪笥」である。岩波書店から出版されている日本語版の翻訳は瀬田貞二による。
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概要 [編集]
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
戦乱を避け田舎に疎開したペベンシー家の4人きょうだいは、疎開先の古い屋敷の空き部屋にあった衣装ダンスから別世界の国・ナルニアに引き込まれる。そこは魔法が生き、けものたちがしゃべり、神話的生き物や妖精の住む世界であった。子供たちは不思議なライオン、アスランに導かれてナルニアを支配する白い魔女から住人たちを解放しようと奮闘する。
『ライオンと魔女』をはじめとする「ナルニア国ものがたり」は聖書を下敷きとしており、ライオンはキリストの、きょうだいを裏切って魔女の手に渡そうとする弟エドマンドは“罪を犯す人間”のメタファーになっている。また物語では「予言」が大きな役割を果たす。魔女の支配が打ち破られる条件の予言、ナルニアの解放と救い主であるアスラン到来の予言、裏切りの贖いに関する予言など。しかし説教くささはなく、幻想的な冒険物語となっている。
ルイスは、当初『ライオンと魔女』の続編を書くつもりはなかったが、出版社や読者の要望を受けてシリーズ化したと言われている。『ライオンと魔女』は、友人の娘であるルーシィ・バーフィールドに捧げられている。
登場人物 [編集]
- ペベンシー家のこどもたち
- ピーター:「アダムのむすこ」長男。
- スーザン:「イブのむすめ」長女。
- エドマンド:「アダムのむすこ」二男。
- ルーシィ:「イブのむすめ」二女。
- 学者先生(ディゴリー・カーク):4人が疎開のために預けられた屋敷の主人。最初にナルニアに行った一人。
- タムナス:フォーン。ルーシィを見逃したために魔女ののろいを受けて石にされる。
- アスラン:ライオン、「海のかなたの大帝の息子」でナルニアの創造主、「王の王」。救い主としての登場、受難、復活はキリストのメタファ。
- 白い魔女(Jadis):ナルニアを冬に閉じ込めている支配者。
- サンタクロース:白い魔女が冬をもたらしたため、ナルニアのある世界から締め出されていた。
あらすじ [編集]
- 異世界ナルニアへ
時代は1940年、第二次世界大戦中のイギリス。ペベンシー家の4人きょうだいがロンドン大空襲を避けるために田舎の大きな屋敷に預けられる。屋敷には空き部屋がたくさんあり、その中の一つには大きな衣装箪笥があった。かくれんぼでこの衣装箪笥に飛び込んだルーシィは、衣装箪笥の奥から冬に閉じ込められたナルニアに迷い込み、フォーンのタムナスに出会う。ナルニアは魔女の呪いでずっと冬の日が続いていた。実はその箪笥は、ディゴリーが異世界への指輪を埋めて目印に植えた木から作られた、魔法の箪笥だった。
- 裏切り
「アダムのむすこ」と「イブのむすめ」、つまり「人間の子供たち」がケア・パラベルの王座に就くことが白い魔女の最期・冬の終焉となるという予言があった。魔女は子供たちを捕らえようと画策し、エドマンドを好物のターキッシュディライト(日本語翻訳ではプリン、魔法がかけてある)で誘惑、兄弟を騙して連れて来させようとする。エドマンドは兄弟を魔女のところに連れて行けず、一人で魔女のところに戻るが、魔女はアスランが来る事を知った為に態度を変え、エドマンドを縛らせる。サンタクロースがやって来て、ピーターに剣、スーザンに弓矢と角笛、ルーシィに薬酒入りの酒瓶をクリスマスのプレゼントとして贈る。
- 救い主の到来
一方、ピーター、スーザン、ルーシーはエドマンドを助けるためビーバー夫妻に導かれて救い主、ライオンのアスランの元へ行く。雪は解け始め、もの言う動物達や森の精霊たちがアスランのもとに集まり始める。アスランの仲間は、一度は魔女からエドマンドを救い出すが、魔女はこの世の始まりからの魔法で決まっていることだからと、魔女の側に寝返り仲間を裏切ったエドマンドを「裏切り者」として引き渡すよう要求する。しかし、魔女はアスランと二人で話し合った後、引き下がる。
- 受難 - 贖い
その夜、アスランは自陣をそっと抜け出す。ルーシーとスーザンは気づいて彼についていく。アスランはエドマンドを救うため、自分が身代わりになって処刑されることを魔女に約束していたのだった。隠れて見守るルーシーとスーザンの目の前で魔女軍はアスランを捕らえ、侮辱する。最後に魔女は石舞台の上、石のナイフでアスランに止めを刺し、勝利を確信して引きあげる。野ネズミの一団が駆けつけ、アスランを助けようと、縛っていた縄を噛み切る。
- 復活
次の朝、ルーシーとスーザンは轟音とともに石舞台が二つに割れ、アスランが復活したのを見つけて喜ぶ。アスランは彼女らに、魔女が知らなかった魔法、この世の始まりより前からの魔法には、裏切り者の身代わりに罪無き者が進んで犠牲となるとき、石舞台は砕け、死そのものもなかったことになると定められていたのだと告げる。
- 戦いと予言の成就
復活したアスランとその仲間達は魔女軍と戦ってこれを打ち破る。4人の子供たちは予言どおりケア・パラベルの玉座につき、4人は長年にわたってナルニアを治める。
- 帰還
ある日、4人は狩で白鹿を追って歩くうちに道に迷い、いつしか衣装箪笥に通じる道を通ってイギリスの同じ部屋に戻ってくる。ナルニアで何年も過ごしたのに、その間、イギリスの方ではほんの数分しか経っていなかったのだった。学者先生も4人がナルニアに行った事に気づいていたが、やたらに触れ回らないよう釘を刺す、“頭がおかしいと思われるのが関の山”と。
日本語版 [編集]
- 魔女とライオンと子どもたち (桜井誠(装画・挿絵)、前田三恵子(翻訳)、あかね書房「こども世界の文学」第8巻) 1966年
- ライオンと魔女 ナルニア国ものがたり (1) (ポーリン・ベインズ(イラスト)、瀬田貞二(翻訳)、岩波書店) ISBN 4001150212 (改版) 1966年
映画 [編集]
ラジオドラマ [編集]
ニッポン放送で、2005年12月26日から30日まで23:00-24:00に朗読劇の特別番組が放送された。ルーシー役は本仮屋ユイカが演じた。
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