フォックスハンティング

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フォックスハンティングFox hunting)とは、直訳すれば狐狩りの事だが、カタカナ語としてのこれは、一定個所に設置・または特定ルートで移動する無線送信機を、電波受信機の反応を頼りに追跡・発見する遊び、または技術的な手法である。特に自動車に乗って移動しながら追跡するものをモービル・フォックスハンティングという。

原義の狐狩りについては狩猟を参照。

概要[編集]

遊びもしくは競技としてのフォックスハンティングは、一定の周波数帯域で電波信号を発信する無線機を所定の場所に設置するか、役(発見される側)の者が幾つかのルールを定めて運搬している同様の無線送信機を、無線発信機の場所や狐役の位置を知らされていない参加者達が、所持した無線受信機(ワイドバンドレシーバーや小型携帯用のアマチュア無線機)の受信感度や測定電波強度の強弱で方角・距離を推測、捜索または追跡する。初心者向けにFMラジオを受信機として用いることもある。

イメージとしては、電波発信機を使った鬼ごっこではあるが、使用する発信機や受信機の性能如何では、一都道府県といった広域を捜索範囲とした、非常にスケールの大きい物となるのが通例である。パソコン通信普及以前より、アマチュア無線家の間では、普段顔も合わせたことの無い同好の士が集まってのイベントとして親しまれ、今日でも日本各地や世界各国で、定期的に開催されている。

特に無線受信技術や電波受信状況から移動形態や状況による誤差の判断、更には予想されるルートを地図上から素早く見つけ出す能力といった物が、発見の迅速化に繋がるため、一種の腕試しのようになっている模様である。また優れた機材の自慢にもなり、中には独自に工夫したり開発した機材(指向性の極端に鋭いアンテナ、電波の到来方向をランプで表す表示器など)を持ち込む「ヘビーハンター」も居るとの事で、技能を競う競技として開催されている場合もある。受信機については、送信機と受信機が近接した場合、入力信号の飽和や混変調により受信機が正常に機能しなくなることがあるため、アンテナの指向性や、減衰器(アッテネーター)の性能が重要である。

よく定められる狐役のルールとしては、以下のような物が挙げられる。

  • お互いに目視確認が可能な距離に参加者が到達した時点で「捕まえた」とする
  • 所定の町や区・市・県といった範囲から出てしまわない
  • 電波が妨害される地下道や大型ビル等には入らない
  • 高速道路・特急列車などの、追跡者が追い付けない移動手段を用いない(一定速度以下で移動)
  • 目視確認が可能なように、それと判る目印を付ける(または捕獲を確認する合言葉を決めておく)

特に大人数で行う、難易度の高い(狐役が自動車や公共交通を利用するなど、比較的速い速度で移動する・捜索範囲が広い・都市部などで電波障害が多いといった要素を持つ)物では、参加者同士がチームを組んで広範囲に散らばりながら連絡を取り合い、三角測定定位置観測による移動経路の推測、観測班と追跡班の役割分担などを行う物もある。

技術手法としてのフォックスハンティングは、上記手法で電波発信機付きの対象を追跡したり発見する行為である。主に以下のような用途に利用される。

  • 野生動物保護活動や海洋資源調査の一環として、動物に取り付けた電波発信機を利用しての生態調査
  • 山岳遭難者の捜索(古くより遭難の危険性が高い冬山登山者は、電波発信機を所持して登山する)
  • 墜落事故・沈没事故などの生存者等による漂流者の洋上捜索
  • 航空機・船舶等の墜落機や遭難船の捜索
  • 四散した航空機に搭載されていたブラックボックスの捜索
  • 犯罪者等の追跡
  • 盗難品等の発見
  • 無線盗聴器の発見
  • 違法無線の取り締まり

関連項目[編集]

  • キツネ
  • ARDF(アマチュア無線方向探知):フォックスハンティングをルール化し、競技として発展させたもの。