フィルモア・イースト 1969

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フィルモア・イースト・1969
ザ・ナイスライブ・アルバム
リリース
録音 1969年12月19日、20日
アメリカ合衆国の旗ニューヨーク、フィルモア・イースト
ジャンル サイケデリック・ロック
プログレッシブ・ロック
時間
レーベル カリスマ・レコード
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フィルモア・イースト 1969』 (Fillmore East 1969) は、イングランドロックバンドザ・ナイスが1969年12月にフィルモア・イーストで行なったコンサートを収録したCD。

彼等が1970年4月に解散した当時在籍していたカリスマ・レコードによって、録音後40年たった2009年に発表された。

解説[編集]

経緯[編集]

1969年11月下旬、ザ・ナイスは3度目のアメリカ・ツアーを開始し、12月11日から14日まで、サンフランシスコのフィルモア・ウエストザ・チャンバーズ・ブラザーズキング・クリムゾンと同じステージに立った[1]。メンバーのキース・エマーソン(キーボード)は、マネージャーのトニー・ストラットン・スミスの薦めで[注釈 1][2]キング・クリムゾンのグレッグ・レイク(ベース・ギター、ヴォーカル)と16日に秘密裏に話し会い、ザ・ナイスを脱退してレイクと新しいトリオを結成しようと決意した[3]

本作はその数日後の19日と20日にニューヨークのフィルモア・イーストで開かれたコンサートの模様を収録した。20日のコンサートはアメリカ・ツアーの最後のものだった。

内容[編集]

ザ・ナイスはサード・アルバム『ジャズ+クラシック/ロック=ナイス』(1969年)以後のアルバムにオーケストラとの共演を含むライブ音源の幾つかを収録したが、本作にはエマーソン、リー・ジャクソン(ベース・ギター、ヴォーカル)、ブライアン・デヴィソン(ドラムス)のトリオだけのコンサートのほぼ全編が収録されている[4]

カリスマ・レコード[注釈 2]は、本作の収録日と同じ1969年6月19日と20日にフィルモア・イーストで録音された音源として、'Country Pie'を彼等が解散した直後の1970年6月に発表した『ファイヴ・ブリッジズ』、'Hang On To A Dream'と'America'を1971年4月に発表した未発表音源集『エレジー』に、それぞれ収録した。本作に収録された3曲は、それらとは異なる演奏である[注釈 3]

'Little Arabella'の中間部のヴォーカルは、オリジナルのスタジオ録音版[注釈 4]と同様にエマーソンが担当している。'Hang On To A Dream'と’Intermezzo: Karelia Suite'では、ジャクソンがベース・ギターでボウイング奏法を披露している。

収録曲[編集]

  • Virgin Records Ltd. 693 1432
  • Recorded at the Fillmore East, New York City on 19th and 20th December, 1969.
Disc One
#タイトル作詞・作曲時間
1.「Rondo」Keith Emerson, Davy O'List, Brian Davison, Lee Jackson
2.「Ars Longa Vita Brevis」Emerson, O'List, Davison, Jackson
3.「Little Arabella」Emerson, Jackson
4.「She Belongs To Me」Bob Dylan
合計時間:
Disc Two
#タイトル作詞・作曲編曲時間
1.「Country Pie」Dylan 
2.「Five Bridges Suite」Emerson, Jackson 
3.「Hang On To A Dream」Tim Hardin 
4.「Intermezzo: Karelia Suite」John Julius Christian SibeliusEmerson, Joseph Eger
5.「America」Leonard Bernstein, Steven SondheimEmerson, Jackson, Davison
6.「War And Peace」Emerson, O'List, Davison, Jackson 
合計時間:

参加ミュージシャン[編集]

ザ・ナイス

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ エマーソンはスミスに、新しいヴォーカリストを見つけたいと伝えていた。
  2. ^ トニー・ストラットン・スミスが設立したレーベル。
  3. ^ 『ファイブ・ブリッジズ』に収録された'Country Pie'は6月19日の録音であるので、本作に収録された同曲は6月20日の演奏であろう。『エレジー』には収録された'Hang On To A Dream'と'America'の録音日が記載されていないので、本作の収録曲が6月19日の演奏が20日の演奏かは不明である。『エレジー』の'Hang On To A Dream'は『ジャズ+クラシック/ロック=ナイス』に収録されたスタジオ録音版と同様にピアノで演奏されていたが、本作の'Hang On To A Dream'はハモンド・オルガンで演奏されている。
  4. ^ 1968年発表のセカンド・アルバム『少年易老学難成』に収録。

出典[編集]

  1. ^ Hanson (2014), pp. 136–140.
  2. ^ Hanson (2014), pp. 138, 141.
  3. ^ Emerson (2003), p. 161.
  4. ^ Hanson (2014), p. 254.
参考文献
  • Emerson, Keith (2003), Pictures of an Exhibitionist, John Blake, ISBN 9-781904-034797 
  • Hanson, Martyn (2014), Hang on to a Dream: The Story of the Nice, Foruli Classics, ISBN 978-1-905792-61-0 

関連項目[編集]