ファズ (音響機器)
ファズ (Fuzz) とは1960年代中頃に一般化したエフェクターの一種。
目次 |
[編集] 概要
基本的にはエレクトリックギター用のエフェクターである、1960年代当時の楽曲に於いてはエレクトリックベースやボーカルなどにも使用された。効果は、倍音が著しく強調され、調整によって耳に刺激的、あるいは濁った音色で、ファズ(fuzz、毛羽立った)という名前もそれに由来する(特にジミ・ヘンドリックスが利用した「FUZZ FACE」は、この時期のファズを代表する機種である)。
[編集] 歴史
登場当時のロック音楽には多く用いられている。レコードのギター・ソロで初めてファズを使ったのはリップ・コーズで1957年の事であった。イギリスでは1960年にバーニー・ワトソンがスクリーミング・ロード・サッチのグループにおいてJack The Ripperという曲で初めて使用している[1][2]。その後は上記のジミ・ヘンドリックスやリッチー・ブラックモア、ジェフ・ベックなど多くのギタリストが使用した。
1980年代に入った頃にはファズは主流エフェクターから外れており、エレキギターに歪みを加える機材は、オーバードライブやディストーションといった機材が主流となった[3]。これらの機材はファズに比べて滑らかな変化を持ち、扱いが容易である。
このようにファズは一旦、主流エフェクターではなくなったが、1990年代になってZ.VEX社 (Z.Vex Effects) がファズペダル「FUZZ FACTORY (Z.Vex Fuzz Factory) 」を発表し、複数のミュージシャン (Z.Vex EffectsのFuzz Factory Usersを参照の事) が使用し始めた事で状況に変化が生じた。この機種は、従来のファズに似たシンプルな回路構成ながら、回路の要所要所に制御用ツマミが設けられており、回路への供給電圧までもが操作できる仕掛けとなっていた。これにより、セッティング次第では、全くギターを弾いていない状態にも関わらず、常に発振音が鳴っている状況を作り出すことが可能であった。
本来、このような発振音は電子回路の設計上はあってはならないとされる[4]が、そのアナログ的な振る舞いがいかにも「壊れ掛かった」独特の雰囲気を持つものであり、ゲルマニウムトランジスタがもつ「古ラジオ」の音とも相俟って、特徴的な効果を生み出すに至った。こうした効果は、「飛び道具」として見られることが多かったが、ギタリストによっては、こうした発振音を巧みに演奏と組み合わせて、印象的な表現を行った。
このような状況により、ファズは再びギタリスト達の関心を集めるようになった。今日では、以前にも増して多種多様なファズが製作・販売されている[5]。こうした新時代のファズペダルにとって、もはやペダル単独で発振音を出せるセルフオシレート機能は必須となっている。またファズは回路構成が単純であることから、昨今のハンドメイドブームの中、自作されることが多い。国内外のハンドメイドエフェクターのブランドが台頭してきた事情にも、こうしたファズを巡る一連の動きが影響していると考えられる。
[編集] 脚注
- ^ 山本安見著「ロック・ギタリスト」(1975年)に掲載されたリッチー・ブラックモアの発言より。
- ^ なお、日本においては、かまやつひろしが最初に持ちこんだギブソン社製のファズが初めてであるといわれているが、これには諸説ある。
- ^ 例=「だれにもわかるエフェクター自作&操作術'81」ではファズの項目は存在せず、ディストーションの項目の中で「以前に使われていた機材」として名前が挙げられている。
- ^ 山本安見著「ロック・ギタリスト」によれば、ファズが市販化される以前に置いても、リッチー・ブラックモアがファズとサスティンのコントローラの設計を知人の電気技師に依頼したところ、音を汚すような回路を作るわけにはいかないという理由で断られたという事例がある。
- ^ 例として「アグリーフェイス」など
- Screaming Lord Sutch - Jack The Ripperの発売(リリース)は1963年
[編集] 参考文献
- 財団法人ヤマハ音楽振興会刊・山本安見著「ロック・ギタリスト」 (1975年・0073-208030-8528)
- 立東社刊「ロッキンf別冊・だれにもわかるエフェクター自作&操作術'81」 (1981年・雑誌コード09750-5)