パリの調香師 しあわせの香りを探して

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パリの調香師 しあわせの香りを探して
Les Parfums
監督 グレゴリー・マーニュフランス語版
脚本 グレゴリー・マーニュ
製作 フレデリック・ジューヴ
出演者 エマニュエル・ドゥヴォス
グレゴリー・モンテル
音楽 ガエタン・ルーセルフランス語版
撮影 トマ・ラメ
編集 ベアトリス・エルミニ
グウェン・マラウラン
製作会社 Les Films Velvet
配給 フランスの旗 ピラミッドフィルム
日本の旗 アット エンタテインメント
公開 フランスの旗 2020年7月1日
日本の旗 2021年1月15日
上映時間 100分
製作国 フランスの旗 フランス
言語 フランス語
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パリの調香師 しあわせの香りを探して』(パリのちょうこうし しあわせのかおりをさがして、Les Parfums)は、2019年フランスコメディ映画。監督はグレゴリー・マーニュフランス語版、出演はエマニュエル・ドゥヴォスグレゴリー・モンテルなど。パリの香水業界きっての天才女性調香師が、善良な運転手に支えられながら人生の再起に励むさまを描いている[1]

2019年10月に開催されたサン=ジャン=ド=リュズ国際映画祭フランス語版で初上映された[2]

ストーリー[編集]

離婚調停中の職業運転手のギヨームは、共同親権を持ち隔週で娘のレアと暮らすことを望んだが、調停委員と相手の弁護士からワンルームで娘と暮らすことは難しいと指摘される。交通違反の点数が重なり、運転手の仕事を続けることも危うくなった。上司のアルセーヌに頼みこむと、ヴァルベルグという顧客の仕事を振り分けてもらうことができた。

調香師のアンヌ・ヴァルベルグは、ギヨームの運転で仕事先へ向かう車内の匂いで彼が吸っているたばこの銘柄を言い当て、「私を乗せているときは禁煙よ」とギヨームのたばこを投げ捨てた。ホテルに着くと、洗剤の匂いが気になるからとシーツの張り替えを指示。「それは運転手の業務外だ」と断ると、経費のごまかしをばらすと脅し、張り替えを手伝わせた。観光用洞窟の匂いの再現に関する仕事を終え、アンヌのアパルトマンに着き、ギヨームが荷物を下しているとアンヌのハンドバッグがひったくりに狙われた。ギヨームは犯人に飛びかかってバッグを取り返したが、アンヌは「飛びかかるなんてどうかしてる」と非難。ギヨームは憤慨して、「あなたは『お願いします』も『ありがとう』もなく、命令ばかりだ」と言い捨てて荷物を置いて立ち去った。

アルセーヌに仕事がうまくいかなかった言い訳を切り出そうとすると、再びアンヌから指名が入ったと告げられる。いぶかしんでアパルトマンに向かうと、アンヌはギヨームの車ではなくタクシーに荷物を積むよう指示し、「仲直りの仕事よ」と言う。列車に乗り継いでアルザスの仕事先に行くと、皮革のなめし方の不備で不快な匂いのする高級バッグを何とかしてほしいという依頼であった。依頼主の高飛車な態度から相手が切羽詰まっていると感じたギヨームは「倍額なら引き受ける」と交渉を買って出た。調合を行う場でエッセンスを試嗅させたところ、ギヨームにも匂いを嗅ぎわける力があることがわかってきた。アンヌは心を開き、レストランのウェイトレスがつけているディオールの香水『ジャドールフランス語版』は自分が調合したと明かした[注釈 1]

ギヨームは、娘の10歳の誕生日のプレゼントをアンヌに相談したが、娘の希望通りにして機嫌を取るのではなく、自分が娘に知ってほしいところに連れて行ってはどうかとアドバイス。誕生日当日には元妻には内緒で海へ行き、楽しい一日を過ごした。アンヌとの仕事が順調なことから、会社からの推薦状を得て娘と暮らす部屋を借りるよう準備を進めていた。

ある日、アンヌはエージェントのジャンヌのホームパーティーに招かれた。気後れするアンヌは、車で待機する予定だったギヨームを誘うが、人の多さに気疲れして会場を出てしまう。4年前に、有名ブランドのプロモーションで忙殺されるうちに嗅覚を失い、そのことを隠して仕事を続けたことにより第一線から退いたことをギヨームに打ち明けたのだった。

再び香水を作りたいと願うアンヌであったが、ジャンヌが紹介する次の仕事は工場の排気の悪臭対策だった。現地へ赴いたアンヌは、前夜に飲んだモヒートのせいか再び嗅覚を失っていた。ギヨームに匂いの詳細を聞き、原因が硫化水素ベンズアルデヒドであることを突き止める。帰り道、薬を飲んで助手席で休んでいたアンヌの様子がおかしいことに気付いたギヨームは、時速180Km/hで病院へ向かうが、スピード違反で免許取り消しとなり、運転手の職を失ってしまう。

一方、病院に担ぎ込まれたアンヌは命に別状はなかったものの、しばらく入院することになる。そこに、かねてより治療を依頼していたものの、アンヌが意識的に治療を避けていた嗅覚の専門医バリェステルがギヨームからの連絡でかけつける。こうしてアンヌはようやく自分の病に真正面から向き合い、本格的な治療を受けることを決める。そして調香師として復帰するとの決意を新たにしたアンヌは、ギヨームの助けを得ようと、彼のアルバイト先に現れる。はじめは自分に調香師としての才能はないと断っていたギヨームはアンヌの説得でようやくともに働くことを決める。こうしてギヨームは調香師としての実力を発揮するようになると、ついに2人はディオールに売り込みに行く。

キャスト[編集]

製作[編集]

本作にはディオールが撮影協力し、エルメスの専属調香師クリスティン・ナーゲル英語版が監修に就いた[4]

評価[編集]

フランスでは2020年6月まで新型コロナウイルス対策のため映画館が閉鎖されており、再開初日の先行プレミア上映では好評を博した[5]。7月1日の上映開始時には、フランスでの興行成績1位を記録した[6]

アロシネによれば、27のメディアによる評価の平均点は5点満点中3.3点である[7]Rotten Tomatoesによれば、24件の評論の全てが高評価で、平均点は10点満点中7点となっている[8]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 実際のジャドールはカリス・ベッカー英語版により調合された[3]

出典[編集]

  1. ^ パリの調香師 しあわせの香りを探して”. WOWOW. 2022年7月30日閲覧。
  2. ^ Festival International du Film : la programmation révélée !” (フランス語). Saint-Jean-de-Luz (2019年9月23日). 2022年7月30日閲覧。
  3. ^ Burr, Chandler (2007年12月20日). “Scent Notes | J’adore by Dior” (英語). The New York Times. https://archive.nytimes.com/tmagazine.blogs.nytimes.com/2007/12/20/scent-notes-jadore-by-dior/ 2022年8月5日閲覧。 
  4. ^ “ディオール&エルメスが協力! 天才調香師と崖っぷち運転手の再起を描く「パリの調香師」予告編完成”. 映画.com. (2020年11月27日). https://eiga.com/news/20201127/5/ 2021年2月8日閲覧。 
  5. ^ 八雲ふみね (2021年1月16日). “Tokyo cinema cloud 第969回 『パリの調香師』『43年後のアイ・ラヴ・ユー』……いくつになっても人生は輝き始める!”. ニッポン放送. 2021年2月8日閲覧。
  6. ^ 映画『パリの調香師 しあわせの香りを探して』”. 映画ログプラス (2021年1月14日). 2021年2月8日閲覧。
  7. ^ Critiques Presse pour le film Les Parfums” (フランス語). AlloCiné. 2022年7月30日閲覧。
  8. ^ "Perfumes". Rotten Tomatoes (英語). 2022年7月30日閲覧

参考文献[編集]

  • 『パリの調香師_しあわせの香りを探して』劇場パンフレット

外部リンク[編集]