バビルサ

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バビルサ
Hirscheber1a.jpg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
: 偶蹄目 Artiodactyla
亜目 : 猪豚亜目 Suina
: イノシシ科 Suidae
: バビルサ属 Babyrousa
: バビルサ B. babyrussa
学名
Babyrousa babyrussa
(Linnaeus, 1758)
和名
バビルサ
英名
Babiroussa
Babirusa
Deer hog

バビルサシカイノシシ鹿猪Babyrousa babyrussa)とは、インドネシアスラウェシ島と周辺の島々に生息するブタに似た動物である。マレー語インドネシア語で"babi"がブタを、"rusa(roesa)"がシカを意味する。1属1種で、一般的にイノシシ科に属する。

分布[編集]

  • B. b. babyrussa
インドネシアタリアブ島ブル島マンレゴ島
  • B. b. celebensis
インドネシア(スラウェシ島
  • B. b. togeanensis
インドネシア(タラタコ島トギアン島マレンゲ島

形態[編集]

体長85-105 cm。肩高65-85 cm。体毛は少ない。 バビルサはその2対の牙で有名である。上下の犬歯はとても発達し、頭の方に湾曲している。オスの上顎犬歯は肉を貫き鼻の天辺から突き出ている程である。この牙は何のためにあるのかはっきりとしたことはわかっていないが、牙が折れているオスよりも、牙が立派なオスのほうがよりメスと交尾できることが分かっている。時折オス同士で喧嘩をし相手の牙を折るのは、競争相手を減らすためだと考えられている。

亜種[編集]

  • Babyrousa babyrussa babyrussa (Linnaeus, 1758) ヘアリーバビルサ(ゴールデンバビルサ)
最も小さくなる亜種で、牙が発達しない代わりに体毛が比較的濃く、名前の由来となっている。
  • Babyrousa babyrussa celebensis セレベスバビルサ
牙が発達し、体毛は薄い。最も代表的な亜種で、動物園で見られるバビルサはこの亜種であることが多い。
  • Babyrousa babyrussa togeanensis トギアンバビルサ
最も大きくなる亜種だが、牙はあまり発達しない。

生態[編集]

生息地は熱帯雨林トウの茂みの下ばえ、川や湖の岸などで、これは体毛のほとんどない灰色と茶色の斑模様の皮膚にとっては擬態場所となる。

雑食性で、時々パンギノキなどの青酸化合物が含まれた有毒な新芽や葉を食べ、解毒作用のある特別な水たまり(温泉による湿地帯)の水を飲んだり、泥を食べることでこれを中和する。しばしば何kmも歩いてこれを行う。 パンギノキは有毒であるが栄養価が高く、1~2個で1日の栄養をまかなうことができる。

また湿地帯では泥を浴び、体についた寄生虫を取り除く。

Status[編集]

VULNERABLE (IUCN Red List Ver. 2.3 (1994))

Status iucn2.3 VU.svg

このような独特な外観を持ちながら、個体数は年々減少の一途を辿っており、現在数千頭程である。理由としては、他の多くの絶滅危惧種と同様に森林伐採や密猟の他、一回に産む子供の数が1,2頭と少ないこと、前述した条件を満たす生息地が人間の生活圏と重なってしまい、開発されて住処を奪われたり、害獣として駆除されたりというようなことが起こっていることが挙げられる。1931年よりインドネシアの国法によって保護されている。

人間との関係[編集]

ユダヤ教においての論争[編集]

肢が割れ、また3室のを持つことで(従って長い間反芻動物だと考えられていた)、ハラーハーユダヤ教の戒律)において、バビルサは実際は(カシュルートによって許可されている)カーシェールなのかどうかという論争があった。結局はバビルサは反芻動物ではないことが発見され、従って他のブタのように不浄な生き物扱いのままとなった。

余談[編集]

上に伸びる牙は、弧を描いて後ろに曲がり、目の前に来る。そのまま伸びると頭に突き刺さりそうな気がすることから、「最後には牙が頭に刺さって死に至る」とのうわさ話があり、そこから「自分の死を見つめる動物」という呼び名がある。事実、ジャワのスラバヤ動物園で飼育されていたセレベスバビルサのなかには、上顎の牙が前頭骨に突き刺さっているものがいた。今もそのバビルサの頭蓋骨が残されている。

メディアファイル[編集]

外部リンク[編集]