ノットナウケイト

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ノットナウケイト
欧字表記 Notnowcato
品種 サラブレッド
性別
毛色 栗毛
生誕 2002年3月25日
死没 2019年
Inchinor
Rambling Rose
母の父 Cadeaux Genereux
生国 イギリスの旗 イギリスイギリス
生産者 Southcourt Stud
馬主 Anthony and David de Rothschild
調教師 Michael Stoute
競走成績
生涯成績 20戦7勝
獲得賞金 97万1688ポンド
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ノットナウケイト(Notnowcato, 2002年3月25日 - 2019年)は、イギリスで生産・調教されたサラブレッド競走馬・種牡馬である。

出自[編集]

ノットナウケイトはイギリスのベッドフォードシャー州レイトンバザードの近郊にロスチャイルド家が保有するサウスコートスタッドにおいて生産され、ニューマーケットに厩舎を構えるマイケル・スタウトの管理馬となった。

父のインチナー[1]ハンガーフォードステークスの勝ち馬で、バイアリーターク[2]の代表的な種牡馬であった。クイーンエリザベス2世ステークスを勝ったサモナー、ディアヌ賞を勝ったラティス、短距離で活躍したケープオブグッドホープを含む500頭以上の勝ち馬を出し、2003年に死亡した[3]。母のランブリングローズはリステッド競走のガルトレスステークスを勝った馬で、ノットナウケイトが初仔であった[4]

競走成績[編集]

2~3歳(2004~2005年)[編集]

ノットナウケイトは2004年に2歳でデビューし、ワーウィック競馬場とソールズベリー競馬場で1戦ずつしていずれも入着した[5]。 翌年は6戦し、ニューマーケット競馬場ハンデキャップ競走を2勝した[6]。この年の公式レーティングは101ポンドにすぎなかった[7]が、秋に入って急成長を見せ、翌年に期待をもたせた[8]

4歳(2006年)[編集]

4歳に入っても成長を続け、この年の初戦であるアールオブセフトンステークスを勝利した[9]。翌月のサンダウン競馬場のブリガディアジェラードステークスにおいてはチェスターヴァーズを勝ったハッタンやプリンセスオブウェールズステークスを勝ったバンダリといったグループ競走勝ち馬を破って勝利した[10]ロイヤルアスコット開催のプリンスオブウェールズステークスでは、勝ったウィジャボードエレクトロキューショニストマンデュロデビッドジュニアに続いて、ウィジャボードの2馬身差5着となった[11]。続くエクリプスステークスではデビッドジュニアの2着となり、レース中に進路を失って5着に敗れたウィジャボードに先着した[12]

インターナショナルステークスではライアン・ムーアが初めて騎乗し、残り2ハロン地点で先頭に立つと2着マラーヘルに短頭差をつけ勝利しGI初勝利を挙げた[13][14]

リフレッシュのための休養を経て[15]チャンピオンステークスに出走したが、プライドの8着最下位に敗れ、この年はその後レースに出走しなかった[16]。この年のワールド・サラブレッド・レースホース・ランキングでは121ポンドで20位となった。

5歳(2007年)[編集]

5歳初戦のゴードンリチャーズステークスではブリーダーズカップ・ターフの勝ち馬レッドロックスの4着となった。アイルランドに移動して出走したカラ競馬場タタソールズゴールドカップでは、ジョニー・ムルタがレース後にムチの使用回数超過で戒告されるほど激しい騎乗を見せ、2着ディラントーマスにアタマ差、3着ユームザインに4馬身差をつけて勝利した[17]

ロイヤルアスコット開催のプリンスオブウェールズステークスは6頭立ての少頭数ながら強力なメンバーが揃った。この年のワールド・サラブレッド・レースホース・ランキングで1位を獲得することになるマンデュロが勝ち、ノットナウケイトは同馬とディラントーマスに次ぐ3着、レッドロックスが4着、前年のダービーステークスを勝ったサーパーシーが最下位だった[18]

エクリプスステークスは、この年のダービーステークス優勝馬であるオーソライズドと、 2006年のワールド・サラブレッド・レースホース・ランキングにおいて欧州調教馬の最上位に入ったエイダン・オブライエン厩舎の4歳馬であるジョージワシントンの対決と見られていた。再コンビとなったライアン・ムーアは、芝のコースのペースが不揃いであることに気づき、これを利用することにした[19]。ムーアはノットナウケイトが直線に入ると大きく左に馬を動かし、他の7頭から完全に離れた観客席側に進路を取らせた。オーソライズドとジョージワシントンが叩き合っている間に、ノットナウケイトは外ラチ沿いを伸びて1馬身半差で両馬を差し切った[20]。 ムーアはノットナウケイトを「非常に優秀で、素晴らしい精神力を持っている」と言い、「ノットナウケイトは自身が10ハロン路線ではイギリス最強であると証明した」とした[21]。他方、インディペンデント紙のクリス・マクグラスがオーソライズドを「乱雑なレースによって盗み取られた」「戦術の犠牲者」であると主張した[22][23]ように、ノットナウケイトの勝利を否定的に見る向きもあった。

続けて連覇がかかるインターナショナルステークスに出走し、オーソライズドとディラントーマスに次ぐ3着となった[24]。チャンピオンステークスではフランス調教馬のリテラトから離れた6着に敗れ、2年連続で同競走がその年の最悪の着順となった[25]

ブリーダーズカップ・クラシック挑戦も囁かれていた[26]が実現せず、チャンピオンステークスを最後に種牡馬入りした。

この年のワールド・サラブレッド・レースホース・ランキングでは129ポンドを得たオーソライズドとディラントーマスの両方に先着した経験があるにもかかわらず、123ポンドで13位となった[27]タイムフォーム社のレーティングでは128ポンドを得た[28]

種牡馬成績[編集]

ニューマーケットのスタンリーハウススタッドで種牡馬入りし、最初の種付け料は8000ポンドに設定された[29]。初年度産駒は2011年にデビューした[30]。 2013年、アイルランド・キルケニーのノックハウススタッドに購入された[31]

産駒の中で成功したのは、2017~18年にニューマーケットハンデキャップブラックキャビアライトニングのGI2競走を連覇したレッドカークウォリアー、GII競走3勝を含むグループ競走7勝のカスタムカット、障害GIのロイヤルボンドノービスハードルとフューチャーチャンピオンズノービスハードルを勝利したロングドッグであった[32]

2019年の繁殖シーズン後半、種付け中の心臓発作により死亡した[33]

血統[編集]

ノットナウケイト血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 クラリオン系
[§ 2]

Inchinor
イギリス 栗毛 1990
父の父
Ahonoora
イギリス 栗毛 1975
Lorenzaccio Klairon
Phoenissa
Heren Nichols Martial
Quaker Girl
父の母
Inchmurrin
アイルランド 鹿毛 1985
Lomond Northern Dancer
My Charmer
On Show Welsh Pageant
African Dancer

Rambling Rose
イギリス 栗毛 1995
Cadeaux Genereux
イギリス 栗毛 1985
Young Generation Balidar
Brig O'Doon
Smarten Up Sharpen Up
L'Anguissola
母の母
Blush Rambler
アイルランド 栗毛 1988
Blushing Groom Red God
Runaway Bride
Nikitina Nijinsky
Vela
母系(F-No.) (FN:2-u) [§ 3]
5代内の近親交配 Northern Dancer 4×5, Nijinsky 5×4 [§ 4]
出典
  1. ^ [34]
  2. ^ [34]
  3. ^ [34]
  4. ^ [34]


出典[編集]

  1. ^ Notnowcato pedigree”. Racing Post. 2011年9月5日閲覧。
  2. ^ Byerley Turk Line”. Tbheritage.com. 2011年9月5日閲覧。
  3. ^ Inchinor”. Racing Post. 2011年9月10日閲覧。
  4. ^ Rambling Rose race record”. Racing Post (2011年6月2日). 2011年9月5日閲覧。
  5. ^ Portway Novices Stakes”. Racing Post. 2011年9月5日閲覧。
  6. ^ Curragh Handicap”. Racing Post. 2011年9月5日閲覧。
  7. ^ Notnowcato race record”. Racing Post. 2011年8月25日閲覧。
  8. ^ Value lies with Asset to collect Guineas”. The Independent (2006年4月14日). 2012年11月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年9月10日閲覧。
  9. ^ “Spectre of Stoute overshadows Bond ambition”. The Independent. (2006年4月20日). オリジナルの2012年11月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20121112034949/http://www.independent.co.uk/sport/general/racing-spectre-of-stoute-overshadows-bond-ambition-474823.html 2011年9月5日閲覧。 
  10. ^ Brigadier Gerard Stakes”. Racing Post. 2011年9月5日閲覧。
  11. ^ Magnificent seven set for Royal showdown”. Raidió Teilifís Éireann (2006年6月19日). 2011年9月5日閲覧。
  12. ^ Eclipse Stakes (2006)”. Racing Post. 2011年9月5日閲覧。
  13. ^ Schweitzer. “Notnowcato Surprises Foes in Juddmonte International”. BloodHorse. 2011年9月5日閲覧。
  14. ^ Moore grabs first Group One”. The Daily Telegraph (2006年8月23日). 2011年8月26日閲覧。
  15. ^ Moore joins élite with Notnowcato”. The Independent (2006年8月23日). 2011年9月10日閲覧。
  16. ^ Champion Stakes”. Racing Post. 2011年9月5日閲覧。
  17. ^ Tattersalls Gold Cup”. Racing Post. 2011年9月5日閲覧。
  18. ^ Prince of Wales's Stakes (2007)”. Racing Post. 2011年9月5日閲覧。
  19. ^ Notnowcato's Eclipse as Moore plan pays off”. The Guardian (2007年7月8日). 2011年8月25日閲覧。
  20. ^ Eclipse Stakes (2007)”. Racing Post. 2011年9月5日閲覧。
  21. ^ Deane. “Moore hails Eclipse hero Notnowcato”. The Scotsman. 2011年9月5日閲覧。
  22. ^ Moore's vigilance leaves Authorized a victim to tactics”. The Independent (2007年7月9日). 2011年9月10日閲覧。[リンク切れ]
  23. ^ Chris McGrath (2009年7月4日). “Chris McGrath: Winkle value to eclipse The Stars”. The Independent. 2011年9月10日閲覧。
  24. ^ International Stakes (2007)”. Racing Post. 2011年9月5日閲覧。
  25. ^ Champion Stakes (2007)”. Racing Post. 2011年9月5日閲覧。
  26. ^ Haskin. “Steve Haskin's BC Countdown: Law of the Land”. BloodHorse. 2011年9月5日閲覧。
  27. ^ The 2007 World Thoroughbred Racehorse Rankings”. International Federation of Horse Racing Authorities. 2011年9月5日閲覧。
  28. ^ Armytage (2011年7月1日). “Coral-Eclipse: The Top 10 winners of the past 40 years”. The Daily Telegraph. 2011年9月5日閲覧。
  29. ^ Dylan Thomas tops the price list for sires off to stud”. The Independent (2007年11月2日). 2011年9月10日閲覧。
  30. ^ Stanley House Stud Homepage”. Stanley House Stud. 2011年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月25日閲覧。
  31. ^ Notnowcato has sights switched to jumps scene”. Racing Post. 2013年12月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月13日閲覧。
  32. ^ Notnowcato – Stud Record”. Racing Post. 2021年10月13日閲覧。
  33. ^ Stevens (2019年12月10日). “Death of Notnowcato, three-time Group 1 winner and dual-purpose sire, at 17”. Racing Post. 2021年10月13日閲覧。
  34. ^ a b c d 血統情報:5代血統表|Notnowcato(GB)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. JBISサーチ(JBIS-Search). 日本軽種馬協会. 2021年10月13日閲覧。