ディゾット

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DiesOtto(ディゾット[1])エンジンは、「ディーゼルエンジンの利点を取り入れつつ、ガソリンで走ると言われている」[2]実験的自動車エンジンである。

名称は、「Diesel」と「Otto」のかばん語で、ドイツのエンジニア、ルドルフ・ディーゼルが最初に発表したディーゼルエンジンと、ニコラウス・オットーにちなんだオットーサイクル(ガソリンエンジンの発明者は、ニコラウス・オットーとアルフォンス・ボー・ド・ロシャの両名と様々に言われているが)を意味している。

エンジンの特性と動作原理[編集]

メルセデス・ベンツによるコンセプトエンジンは、直列4気筒排気量は1.8リットル。ピーク出力は175 kW (235 hp)以上、比出力は97 kW/L (130 hp/L)、ピークトルクは400 N⋅m、比トルクは220 N⋅m/Lとなっている。メルセデス・ベンツでは、これらの規定の最大値に到達する回転数を明示していない[3]

DiesOttoの特徴は以下の通りである。

また、スターター–オルタネーター(始動・発電機)を採用し、燃料消費量を削減している。スターター–オルタネーターは、エンジンのフライホイールの代わりとなるもので、エンジンを瞬時に始動させることができるため、信号待ちなどの不要時にはエンジンを停止させ、必要時には円滑に再始動させることができる。

低負荷時(低速から中速域)にはHCCIを使用する。一方、高負荷時には、通常のガソリンエンジン(混合気への火花点火)と同様に、直噴ガソリンエンジン、ターボチャージャー、可変バルブタイミングなどを駆使して効率を高める。この2つの動作モードは異なる圧縮比を必要とするが、これはランチェスターシャフトと同様のコンセプトで実現されており[4]]、そのためこのエンジンにも可変圧縮比が採用されている。

Sクラスのデモカーに搭載された際の燃費は6 L/100km (47 mpg‑imp; 39 mpg‑US)以下と報告されている。しかし、どのような条件でこの燃費が得られるのかは不明である。

試験と実物説明[編集]

試験および実物説明ン用の車両には、ロングホイールベースのメルセデス・ベンツ・Sクラスに、火花着火から圧縮着火への移行を隠すための19 bhp (14 kW)の電気モーターが搭載されているほか、2007年フランクフルトモーターショーに出展されたメルセデス・ベンツ・F700英語版コンセプトカーにも本エンジンが搭載されている[4]

脚注[編集]

  1. ^ 島下泰久 (2008年7月23日). “メルセデス・ベンツF700(FR/7AT)【海外試乗記】これが未来のSクラス!?”. WebCG. 2021年6月14日閲覧。
  2. ^ Diesel, without the diesel: Mercedes-Benz debuts DiesOtto - Autoblog
  3. ^ Mike Hanlon (2007年7月25日). “Mercedes-Benz unveils DiesOtto - the "future of the gasoline engine"”. NEW ATLAS. 2021年6月14日閲覧。
  4. ^ a b English, Andrew (2007年7月3日). “Mercedes- Benz F700 concept car: Mercedes cocktail mix”. London: The Telegraph. https://www.telegraph.co.uk/motoring/main.jhtml?xml=/motoring/2008/07/01/mfmerc101.xml 2008年7月27日閲覧。 

関連項目[編集]