ダイマクション・カー

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ダイマクション・カー
Dymaxion car photo.jpg
Dynamaxion 1933.jpg
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
販売期間 1933年
駆動方式 RF
-自動車のスペック表-

ダイマクション・カーDymaxion car)は、アメリカ合衆国発明家であり建築家でもあるバックミンスター・フラー1933年に設計したコンセプトカーである[1]。「ダイマクション」という語は、自身の発明品が人間味のある生活環境を改善するプロジェクトの一部を構成するということを強調するためにフラーが発明品の幾つかに与えたブランド名であった。この車は30 マイル/米ガロン (7.8 L/100 km; 36 mpg-imp)の燃料消費率で、11名を乗せることができた。フラーは最高速度が120マイル毎時 (190 km/h)に達すると主張したが、記録された最高速度は90マイル毎時 (140 km/h)であった。

ノグチの役割[編集]

イサム・ノグチは車体形状を決めるための要素となった石膏製の風洞モデルを作成してダイマクション・カーの開発に関わり、1934年にこれを運転してクレア・ブース・ルーチェ (Clare Boothe Luce) とドロシー・ヘイル (Dorothy Hale) を連れてコネチカット州への長距離ドライブに出かけた[2]

設計[編集]

ダイマクション・カーは1輪の後輪が転舵する三輪自動車であり、全長と同じ長さでUターンすることができた。しかしこの後輪転舵は運転にある程度の違和感を覚えさせるものであり、特に横風を受けるとこれが顕著であった。ボディはAurel Persuの設計手法に則った涙滴形で、自然と空気力学的に優れたものとなった。全長は20フィート (6.1 m)と通常の車の2倍の長さであった[3]。動力源は車体後部に搭載した出力85ブレーキ馬力 (63 kW; 86 PS)のフォードV型8気筒エンジンで前輪を駆動した(参照:RF →)。前車軸もフォード製の部品で、当時のフォード・ロードスターの物を逆さまにして使用していた。

ドイツの発明家でありヘリコプターの先駆者であるエンゲルベルト・ゼシカ (Engelbert Zaschka) が1929年に発表した自動車は、バックミンスター・フラーにとって重要な特徴を備えていた。ゼシカの三輪自動車は、フラーのダイマクション・ハウス (Dymaxion House) や多くのジオデシック・ドームと同様に簡単に折り畳み、分解/組み立てをすることも可能であった[4]

万国博覧会での事故[編集]

1933年シカゴ万国博覧会で起こった事故で試作1号車は酷い損傷を受け、運転者は死亡し2名の同乗者が重傷を負った。この負傷者の1人が航空の先駆者であり日本スパイであったウィリアム・フォーブス=センピルであった。ダイマクション・カーは転覆し、運転者はシートベルトを着用していたがこの試作車のキャンバス製の屋根は衝突の衝撃から守るような十分な強度は有していなかった。この事故の原因は特定されていないが、バックミンスター・フラーは事故原因は後ろから接近してきた別の車の挙動によるものであると発表した[5]。この事故は投資家にこの計画への投資を諦めさせ、事故でのこの車の操舵機構の不完全さが非難された。

1988年の書籍『The Age of Heretics』で著者のアート・クライナー (Art Kleiner) は、クライスラー社がこの車の量産を断った本当の理由は、この車が中古車や既に流通経路にのっている車の販売環境を破壊するであろうと考えた銀行家たちが融資を引き揚げると脅したからであると主張している。

影響を与えたデザイン[編集]

ダイマクション・カーは量産されることは無かったが、そのデザインは後世の幾つかのデザインに影響を与えた[要出典]。この影響を受けた最も知られる代表例は、フィアット・600 ムルティプラである。後ろ端に搭載されたエンジンと前車軸の上に置かれた前席という配置は、極度に小型の乗用車とバンの合いの子を実現するために使用された。この車は6名の乗員か嵩張る荷物の運搬に使用することができた[6]。Aurel Persuによる空力設計の最適な効果を取り入れ、最先端の材料を採用していたバックミンスター・フラーのダイマクション・コンセプトは、明らかにアプテラ・ハイブリッドカー (Aptera hybrid car) の様なダイマクションと同様の高燃費性能を持つ空力特製の優れた超軽量の三輪車の設計に大きな影響を与えている[要出典]かもしれない。

現状[編集]

製作されたオリジナルの3台は、1号車が酷く損傷し、2号車はリノ (ネバダ州)の国立自動車博物館 (National Automobile Museum) 内のハーラー・コレクション (Harrah Collection) に保管され、3号車は何度も所有者が変わったが現存せず1950年代に廃棄処分にされたと考えられる[7]2010年10月に建築家でありバックミンスター・フラーの教え子でもあるノーマン・フォスターは、4号車となるダイマクション・カーを再作製した[8]

オリジナルのダイマクション・カーの内装を再現しようと[9]、4号車の製作の過程で広範囲に及ぶ調査が実施された[10]。4号車の内装を完成させたO'Rourke Coachtrimmers社は、唯一現存するオリジナルの2号車の内装のレストアを任され[11]、2号車はレストア作業のためにルドウィック (Rudgwick) に送られた後に再びリノの国立自動車博物館に戻された。

ダイマクション・カーは映像作家でコメディアンであるノエル・マーフィー (Noel Murphy) の作品『The Last Dymaxion: Buckminster Fuller's Dream Restored』の題材となり[12][13]2011年10月にイェール大学で行われた上映会と講演を受けて映画は『ニューヨーク・タイムズ』紙に取り上げられた[14][15][16]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ US 2101057 
  2. ^ Michael John Gorman (Updated March 12, 2002), “Passenger Files: Isamo Noguchi, 1904-1988”, Towards a cultural history of Buckminster Fuller's Dymaxion Car (Stanford Humanities Lab), http://shl.stanford.edu/Bucky/dymaxion/noguchi.htm, "Later in 1934, Noguchi went on a road trip through Connecticut in the completed Dymaxion car with Clare Boothe Luce and Dorothy Hale - stopping to see Thornton Wilder in Hamden, Connecticut, before going onto Hartford for the out-of-town opening of Gertrude Stein’s and Virgil Thompson's Four Saints in Three Acts."  (Archive link)
  3. ^ WNET Article”. Thirteen.org. 2012年1月22日閲覧。
  4. ^ synchronofile.com: Dymaxion - Synergetics Stew January 2009
  5. ^ Dymaxion Passengers: Towards a cultural history of Buckminster Fuller's Dymaxion Car
  6. ^ Shimwell, Rod (1977). Fiat. Luscombe. pp. 112—113. ISBN 0-86002-140-8. 
  7. ^ Dymaxion Car Restored”. 2012年8月25日閲覧。
  8. ^ “Norman Foster's futuristic concept car”. CNN. http://edition.cnn.com/2010/TECH/innovation/10/15/norman.foster.dymaxion/index.html?hpt=C2 
  9. ^ Dymaxion - O'Rourke CoachTrimmers”. 2012年8月28日閲覧。
  10. ^ Dymaxion Car Restored”. Synchronofile.com (2009年9月19日). 2012年1月22日閲覧。
  11. ^ Dymaxion car 2 - O'Rourke CoachTrimmers”. 2012年8月28日閲覧。
  12. ^ Dymaxion Car”. Dymaxion Car. 2012年1月21日閲覧。
  13. ^ Buckminster Fuller's Dream Restored... The Last Dymaxion- A screening with Filmmaker Noel Murphy”. Brownpapertickets.com. 2012年1月21日閲覧。
  14. ^ Kahn, Eve M. (2011年1月13日). “Dymaxion Cars, Americana Auctions and French Gilded Art”. The New York Times. http://www.nytimes.com/2011/01/14/arts/design/14antiques.html 
  15. ^ "The Last Dymaxion: Buckminster Fuller’s Dream Restored"”. 38.127.130.132 (2011年10月27日). 2012年1月21日閲覧。
  16. ^ The Last Dymaxion: Buckminster Fuller's Dream Restored - Yale University - News-Times (Danbury)”. Events.newstimes.com (2011年10月27日). 2012年1月21日閲覧。

Further reading[編集]

  • Glancey, Jonathan; Chu, Hsiao-Yun; Jenkins, David; Fuller, Buckminster (2011). Buckminster Fuller: Dymaxion Car. Ivorypress. ISBN 978-0956433930. 

外部リンク[編集]