タングラム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

タングラムの片の構成

タングラムは、正方形をいくつかに切りわけたものを使って、問題として提示された形を作るパズルである。

日本には切り分け方が違う「清少納言知恵の板」と呼ばれる同種のパズルがある。

目次

[編集] 片の構成

タングラムは、以下の図形で構成されている。

[編集] 歴史

タングラムは中国で生まれたと考えられているが、詳しくは分かっていない。

中国では、の時代に黄伯思という人物が著した「燕几図」というの並べ方に関する書物が元になったと考えられている。これは、7個の長方形の机を並べる物である。これを基にの厳澄が、三角形や台形を用いた「蝶翅几」を考案し、それらを更に発展させたのがタングラムであるという説である。

日本では1742年享保2年)に清少納言智恵の板に関する本が発行されているが、それ以前については不明である。

[編集] 文献資料

中国で現在分かっているタングラムに関する最も古い文献は1803年発行の「七巧八分図」(七巧は中国語でタングラムの意味)である。その後1813年に「七巧図合壁」が発行されている。

日本ではそれよりも前の1742年に「清少納言智恵の板」という本が発行されている。この出版時期の差から、タングラムは日本で生まれて中国に渡ったと考える人も多い。

[編集] ヨーロッパ

ヨーロッパでは、1805年に発行された書籍に紹介されている。その後、「七巧図合壁」がヨーロッパでも出版され欧米中に広まり、セント・ヘレナ島に流されたナポレオンが遊んでいたという記録も残っている。

その後ドイツのリヒター社が製造を開始し、20ペニヒで販売している。この商品はヒットし、ピースの形を変えた多くのシルエットパズルが発売されるようになる。

20世紀に入ってから、サム・ロイドは「タンの8番目の本」を出版した。この本には数百題の絵柄と共に、今日までよく知られているタングラムの名称の由来の話が掲載されている。

現在では、単なる遊びとしてだけではなく幾何学の教材などにも利用されている。

[編集] 名称の由来

タングラムの名称の由来には諸説ある。

  1. 古い英語で「がらくた」を意味する"Trangram"から。
  2. 「グラム」はギリシア語で「作品」を意味する"gram"から。「タン」の意味に関しては以下のような説がある。
    1. 中国のタンという人物(又は神)が考案した。
      • アメリカのサム・ロイドが問題集を発行したときに、冒頭に書いたとされている説である。
    2. 中国から来た。
  3. 元々は蛋民の遊びであり、"Tanka Game"からきている。

現在では、2-2.の説(唐+gram)が最も広く信じられている。

中国においては「七巧」と呼ばれる。この言葉は七夕の習慣に由来しているといわれる。

[編集] 造形

タングラムによって作られた「走る人」

タングラムの7片を使用して、人間・動物・物・文字など様々な形を作ることができる。右の人の絵もその一例である。

現在までに多くの国で多くの人によりタングラムの作品集(問題集)が出版されており、実際に作られた絵の数は1万種類以上だともいわれている。

歴史的な有名な作品集としては、歴史の項に登場した「七巧図合壁」や「タンの8番目の書」がある。

[編集] タングラム・パラドックス

デュードニーによるタングラム・パラドックスの例

左の図の2つの人物は同じ大きさのタングラムのセットを並べた物であるが、下の方が三角が一つ多い。このように、よく似ているのに明らかに違う(必然的に並べ方も異なってくる)ような図を、タングラム・パラドックスと呼ぶ。

同じ片を使用している以上全体の面積は同じである。実際に作ってみると分かるが、上の方が三角以外の部分の面積が若干大きくなっている。

[編集] 文字

タングラムで作った漢字の例

タングラムは、図形や絵のほかに文字を造ることもできる。

アルファベットの大文字小文字や数字には多くの作例があり、それらを用いたフォントを作成する人もいる。

ひらがな・カタカナも作例はあるが、すべての文字を作った人はほとんどいない。清少納言智恵の板においては、いろは48文字すべてに作例がある。

漢字はアルファベットやかなに比べ複雑な物が多いが、多くの文字が作られている。厳笠舫は1876年に『七巧書譜』を出版しているが、この中にはタングラムで作った文字が500以上収録されている。

[編集] 関連記事

[編集] 参考文献

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ