ソルベー法
ソルベー法 (Solvay process) とは、ガラスの原料である炭酸ナトリウムの工業的製法。電気分解が必要ないため、低コストで生産できる方法である。副材料のアンモニアと二酸化炭素を回収し再利用できるといった特徴も持っている。1861年にベルギーの化学者エルネスト・ソルベーが考案し、1867年に実用化された。原料としてアンモニアを用いることから、アンモニアソーダ法とも呼ばれる。電離しにくい二酸化炭素をアンモニア水で電離させるのがこの方法の主要な部分である。
[編集] 化学的作用
原料として石灰石(炭酸カルシウム)・アンモニア・食塩(塩化ナトリウム)・水を用いる。
まず石灰石を加熱して二酸化炭素を発生させる。この方法は大量の二酸化炭素が必要な時に用いる。

次に食塩を水に飽和させ、そこへアンモニアを十分に溶かした後に二酸化炭素を通じると、溶解度の低い炭酸水素ナトリウムが沈殿する。

沈殿した炭酸水素ナトリウムを取り出し、熱分解して炭酸ナトリウムを得る。ここで発生した二酸化炭素は回収して先ほどの工程に戻すので、一部が再利用される。


消石灰と塩化アンモニウムを反応させるとアンモニアが回収され、2段目の工程に再利用できる。すなわち理論上、アンモニアは全て回収され消耗しない。

上記の反応を行わず、得た塩化アンモニウムを肥料として利用することもある。ただしこの場合アンモニアは回収されず、商品に含まれて出荷される。また塩化カルシウムは中性の乾燥剤・除湿剤としても使われる。
この反応を一つにまとめると

となる。 この反応は直接には起こらない(炭酸カルシウムは難溶であり沈殿するから、逆反応が極めて起こりやすい)。直接には起こらない反応をいくつかの段階を経て実現したのが、ソルベー法の最大の特徴である。
[編集] 工業的歴史
ソルベー法が実用化される前はルブラン法があったが、それに代わって主流となった。ルブラン法に比べて得られる生成物の純度が高く、廃棄物が少なく低コストに抑えられるなどの利点がある。
1938年にトロナの大規模な天然鉱床がアメリカ合衆国で発見され、炭酸ナトリウムを安価に得ることができる現在では、ソルベー法はかなり衰退した。また塩化ビニルなどの原料として多量の塩素が必要とされる現代では、食塩の電気分解により生じる水酸化ナトリウムが余剰になり、二酸化炭素による中和で製造される炭酸ナトリウムの量も無視できない。