スムース・トランスファー・フォーカス

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スムース・トランスファー・フォーカスSmooth Transfer Focus、略称:STF)は、中心部から周辺部に向けて透過光量がなだらかに変化する特殊なフィルタにより、ボケ像を滑らかにした写真レンズの方式である。

STF 135mmF2.8[T4.5]

概要[編集]

写真において、ピントの合っていないアウトフォーカス部の、いわゆる「ボケ」は、点像が絞りの形状を反映した形に広がったりするため、しばしば「2線ボケ」等の綺麗でない像となる。これを、絞りに相当する光学エレメントとして中心部から周辺部に向けて透過光量がなだらかに変化する特殊なフィルタを使用することで、そのような像とする。

2014年8月時点で、スムース・トランスファー・フォーカスレンズはミノルタが設計(現在ソニーが継承)の「STF 135mmF2.8[T4.5]」(現: Sony SAL135F28)のみである。当初はミノルタの一眼レフカメラ「α」シリーズ用のレンズとして同社が設計・発売したもので、2006年にコニカミノルタからソニーに同社カメラ事業が引き継がれた後も生産・販売は継続されている。

特徴[編集]

レンズユニット内の「アポダイゼーション光学エレメント(APDフィルター)」により滑らかなボケ像を得ている。ミノルタの「STF 135mmF2.8[T4.5]」はさらに、口径食がほぼ無い光学設計や、絞りをカメラ側制御用と手動制御用とを別々に搭載するなどボケ味に徹底的に拘ったレンズとなっている。写真家の中でも評価が高く、このレンズのボケ味に勝るレンズはないとされている。また、最大撮影倍率0.25倍・最短撮影距離0.87mと通常の135mmレンズよりも接写が効く。APDフィルターによる光量低下のため、AFカメラ用だがマニュアルフォーカスのみとなっている。

しかし一種のNDフィルターであるアポタイゼーション光学エレメントにより光量を損失し暗くなる、そのために露光計算ではT値[1]を、被写界深度計算ではF値を使い分ける必要がある、マニュアル・フォーカスのみであるなど特殊構造ゆえの短所も多くある。また、原理上ある程度絞りを開けた状態で使用しないと効果が出ない。

原理自体は古くから知られており、絞り、あるいは絞りを完全閉鎖→開口→完全閉鎖とすることでシャッターとするような方式のレンズシャッターなどをゆっくり動かすと同様の効果がある。たとえば、セイコーシャESFシャッターを搭載したレンズシャッターカメラ(ミノルタ ハイマチックE、リコー エルニカF、オリンパス 35ECR、など)などがそうで、通常のレンズの絞りを制御して実現するものでは、ミノルタα7の「STFモード」や、露光間絞り・アポタイゼ―ションといった名称を付けているカメラがある。

主要諸元[編集]

  • レンズ構成:6群8枚(うち1群2枚はAPDフィルター)
  • 絞り羽根:自動絞り9枚、手動絞り10枚(円形絞り)
  • 最小絞り:F31(T32)
  • 最短撮影距離:0.87m
  • 最大撮影倍率:0.25倍
  • フィルター径:72mm
  • フード:円形バヨネット式
  • 大きさ・質量:φ80×99mm、 730g
  • その他の機能:1.4x/2xテレコン(初期、II、Dタイプ)装着可能

脚注[編集]

  1. ^ ここでは、アポタイゼーション光学エレメントにより損失する分の光量をF値に加算した値。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]