クラウス・リーゼンフーバー

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クラウス・リーゼンフーバー(Klaus Riesenhuber, 1938年 -2022年3月31日[1])は、ドイツ出身の哲学者思想史研究者。ローマ・カトリック司祭イエズス会士。上智大学文学部哲学科名誉教授、同大学中世思想研究所 元 所長。1991年から1999年まで放送大学客員講師も務めた。

人物[編集]

1938年、ドイツのフランクフルトの名門家庭に生まれる。ザンクト・ゲオルゲン哲学・神学大学 (Philosophisch-Theologische Hochschule Sankt Georgen) で哲学を学ぶが、1958年にイエズス会に入会し中退。その後ベルヒマンスコレー大学で哲学を学び始めた。1962 年から 1967 年まで、ミュンヘン大学で哲学(専攻)のほか、副専攻として心理学や基礎神学をマックス・ミューラーやカール・ラーナーのもとで学んだ。1967 年にトーマス・アクィナスに関する論文で博士号を取得。1969年から2009年まで上智大学で教鞭をとり、1989年に同大学で神学博士号を取得した[2]

日本語は話すが、著述はもっぱらドイツ語で行い、村井則夫らの翻訳を介して著作を発表している。『中世思想原典集成』の編者として日本におけるヨーロッパ中世思想の紹介に大きな貢献をなした。

専門は西洋中世の哲学・神学、初期ドイツ観念論現象学。また、上智大学内での指導をするなど、日本文化キリスト教の融合を図る。哲学者として生涯を人生の意味の問題に費やした。

兄はドイツキリスト教民主同盟所属のドイツ連邦議会議員であり、研究技術大臣もつとめたハインツ・リーゼンフーバー (Heinz Riesenhuber) で、「私は頭が悪いから政治家になったが、弟(クラウス)はずば抜けて頭が良かったので神に仕えることになった」と語っている。

2022年3月31日、肺炎により帰天[1]

著作[編集]

  • 『中世における自由と超越 人間論と形而上学の接点を求めて』(上智大学中世思想研究所中世研究叢書) 創文社, 1988.2
  • 『西洋古代中世哲学史』矢玉俊彦訳、放送大学教育振興会, 1991.3/新編・平凡社ライブラリー, 2000
  • 『中世哲学の源流』(上智大学中世思想研究所中世研究叢書) 村井則夫 他訳. 創文社, 1995.2
  • 『内なる生命 霊的生活への導き』聖母の騎士社「聖母文庫」, 1995.4
  • 『われらの父よ 「主の祈り」を生きるために』教文館, 1996.7
  • 『中世思想史』村井則夫訳、「中世思想原典集成 別巻」平凡社, 2002.11/新編・平凡社ライブラリー, 2003.12
  • 『超越に貫かれた人間 宗教哲学の基礎づけ』(長崎純心レクチャーズ) 創文社, 2004.3
  • 『知解を求める信仰』ドン・ボスコ社, 2004.6/聖母文庫, 2016
  • 『中世における理性と霊性』(上智大学中世思想研究所中世研究叢書) 村井則夫訳、知泉書館, 2008.2
  • 『近代哲学の根本問題』 (上智大学中世思想研究所中世研究叢書) 村井則夫監訳、知泉書館, 2014.7
  • 『クラウス・リーゼンフーバー小著作』釘宮明美編、知泉書館, 2015.
1、超越体験 宗教論
2、真理と神秘 聖書の黙想
3、信仰と幸い キリスト教の本質
4、思惟の歴史 哲学・神学的小論
5、自己の解明 根源への問いと坐禅による実践
6、キリストの現存の経験 2021
  • 『禅とキリスト教 クラウス・リーゼンフーバー提唱集』知泉書館, 2022.5
  • 『中世哲学の射程 ラテン教父からフィチーノまで』村井則夫編訳、平凡社ライブラリー, 2024
  • 『存在と思惟 中世哲学論集』講談社学術文庫, 2024 - トマス・アクィナス論集
山本芳久編・解説、村井則夫・矢玉俊彦訳

共編[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 上智大名誉教授・哲学者のクラウス・リーゼンフーバーさん死去:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2022年4月2日閲覧。
  2. ^ 国立国会図書館. “博士論文『中世における自由と超越 : 人間論と形而上学の接点を求めて』”. 2023年5月8日閲覧。

外部リンク[編集]