アマゾンカワイルカ
| アマゾンカワイルカ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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| 保全状況評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| DATA DEFICIENT(IUCN Red List Ver.3.1(2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| Inia geoffrensis (Blainville, 1817) |
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| 和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| アマゾンカワイルカ | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| Amazon river dolphin |
アマゾンカワイルカ (Inia geoffrensis) は、哺乳綱クジラ目アマゾンカワイルカ科アマゾンカワイルカ属に分類されるイルカ。現生群は本種および2008年(平成20年)に本種の亜種から新種と確認されたボリビアカワイルカ (Inia boliviensis)[1] の2種でアマゾンカワイルカ科アマゾンカワイルカ属を形成する。
南アメリカのアマゾン川水系(オリノコ川含む)に固有の種である。生息域はマイルカ科のコビトイルカとほぼ同じであるが、外観が全く異なるのでアマゾンカワイルカと混同するおそれはない。
別名が多く、IUCNが挙げているものとしては、Amazon Dolphin(アマゾンイルカ)、Boto Vermelho、 Boto Cor-de-Rosa、Bouto、Bufeo、Dauphin de l'Amazone、Inia、Pink Dolphin(ピンクイルカ)、 Pink Freshwater Dolphin(淡水ピンクイルカ)、Pink Porpoise(ピンクネズミイルカ)、Toninaがある。 また、3,500万年前に生きていた原始的なクジラと同じ特徴を備えていることから、“生きた化石”とも呼ばれている。
目次 |
[編集] 分類学
アマゾンカワイルカは、1817年(文化14年)、Blainville (w:Henri Marie Ducrotay de Blainville) によって新種として報告された。
Riceの1998年(平成10年)の分類[Rice98]ではアマゾンカワイルカ属は1種3亜種であったが、近年の研究によりマデイラ川流域に生息する亜種I. g. boliviensisが2008年(平成20年)に新種であると確認され、アマゾンカワイルカ属は2種となった[1]。なお、Rice以前の分類法では、一般的にI. g. boliviensisを別の種としていた。
アマゾンカワイルカ科 Iniidae
- アマゾンカワイルカ属 Inia
- アマゾンカワイルカ Amazon River Dolphin (Boto), Inia geoffrensis
- ボリビアカワイルカ Bolivia River Dolphin (Boto), Inia boliviensis
- I. b. boliviensis - アマゾン川水域のマデイラ川流域に棲息
[編集] 形態
成体の典型的な体長は雄約2.8m、雌で2.3mに達し[2]、体重は約100 - 160kgとなる[3]。現生のカワイルカとしては最も大きい種類である。口吻は細長く、上下の顎には25から35対の円錐形の歯がある。前方の歯は鋭く尖っており、食物を咀嚼よりも魚体などの捕捉に有用である[4]。奥のものは頂が平坦で鈍く、カニやカメなどを砕く役割を持つ。目は極端に小さい[3]が視力は良く、下方向を除いて(膨らんだ頬が視界を遮る)良く見渡すことができる。他の多くのイルカとは異なり頚椎の骨が互いに固定されていないため、頭部を広範囲に動かすことが可能である。胸びれは体長の割りには大きく、後方に湾曲し,後縁に凹凸が多い。背びれはなく、背中には進化の痕跡として三角形の瘤(こぶ)がある。尾びれは幅広い。[3]
ボリビアカワイルカにおいて、アマゾンカワイルカとの見かけ上の違いは特にメスで顕著で、アマゾンカワイルカよりも体長がやや短い、頭部がやや小さい、体型が丸みを帯びている、歯の本数が多い、ことが確認されている[1]。
アマゾンカワイルカの体色は様々である。明るいピンクを中心に、暗い茶色、クリーム色などがある。ボリビアカワイルカは対照的に淡いグレーを中心としている[1]。
[編集] 生態
川底に生息するカニや小魚を食べる。小さなカメを食べることもある。
通常は単独ないし2頭で行動することが多く、3頭以上の群を成して行動することは少ないが、極めて稀に20頭程度の群を成すこともある。
[編集] 保護
多くのカワイルカは、絶滅の危機に瀕している。その中で、アマゾンカワイルカはカワイルカとしては最も安定して棲息している種である。とはいえ、IUCNのレッドリスト(1994年(平成6年)版、2000年(平成12年)版、2006年(平成18年)版)では、「脆弱」 (VU:Vulnerable) に分類されている。ヨウスコウカワイルカやインドカワイルカの生息域が急速に縮小してしまったのとは対照的に、アマゾンカワイルカの生息域は長期間に渡って比較的安定している。したがって2008年(平成20年)版ではDDに分類されている。 生息域は熱帯雨林であって、近づき難いために完全な調査は行われてはいないが、全生息数は数万頭であると見積もられている。このうちボリビアカワイルカの個体数はアマゾンカワイルカ属のうちでもっとも多く、2,5000頭以上が生息しているとみられている[1]。
アマゾンカワイルカは直接的には漁(捕鯨)の対象となったことはない。 しかし漁師が漁具を保護することを目的として、アマゾンカワイルカを時々殺すことがあったことは知られている。 ただしこの行為が、群としてのアマゾンカワイルカの棲息を脅かすほどの影響があったかどうかは明確ではない。 この行為は、1988年(昭和63年)以降は、ブラジルとボリビアの全域、ペルー、ベネズエラ、コロンビアの保護区においては法律的に禁止されている。
[編集] 伝承
アマゾン川流域において、アマゾンカワイルカにまつわる次のような民間伝承が知られている。 夜中、アマゾンカワイルカはハンサムな若い人間の男性に化けて乙女に近づき、妊娠させて、朝になると元のイルカになって川へ戻っていく。 アマゾンカワイルカの雄の生殖器は人間の男性の生殖器に似ており、このことがこの伝説の基になっているという説もある。
[編集] 脚注
[編集] 参考文献・外部リンク
- Dale W. Rice, Marine mammals of the world: systematics and distribution, Society of Marine Mammalogy Special Publication Number 4, p. 231 (1998).
- Dolphins, Whales and Porpoises: 2002–2010 Conservation Action Plan for the World's Cetaceans. IUCN/SSC Cetacean Specialist Group 2003, Reeves et al. Report in PDF format (2Mb)
- Convention on Migratory Species page on the Amazon Dolphin
- Walker's Mammals of the World Online - Amazon Dolphins
- Animal Info page on the Boto
- Cetacea.org page on the Boto
- 海棲哺乳類図鑑「アマゾンカワイルカ」 国立科学博物館 動物研究部
- Cetacean Specialist Group 1996. Inia geoffrensis. In: IUCN 2006. 2006 IUCN Red List of Threatened Species.
- 村山司 『鯨類学』 東海大学出版会〈東海大学自然科学叢書〉、2008年、図鑑/世界の鯨類61。ISBN 978-4-486-01733-2。
- 遠藤秀紀 『哺乳類の進化』 東京大学出版会、2002年、218頁。ISBN 978-4-13-060182-5。
- ジュリエット・クラットン・ブロック 『世界哺乳類図鑑』 渡辺健太郎訳、新樹社〈ネイチャー・ハンドブック〉、2005年、184頁。ISBN 4-7875-8533-9。