アドラーフルーク

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アドラーフルーク
Adlerflug-Hengstparade 2017jpg bearbeitet-2
2017年
欧字表記 Adlerflug
品種 サラブレッド[1]
性別 [2]
毛色 栗毛[1]
生誕 2004年3月3日[1]
死没 2021年4月5日(17歳没)[3]
In the Wings[2]
Aiyana[2]
母の父 ラストタイクーン[2]
生国 ドイツの旗 ドイツ[2]
生産者 Gestut Schlenderhan[2]
馬主 Gestut Schlenderhan[2]
調教師 P.シールゲンドイツの旗 ドイツ
→J Hirschberger(ドイツの旗 ドイツ[4]
競走成績
生涯成績 11戦4勝[2]
獲得賞金 651,290€[5]
勝ち鞍
G1 独ダービー 2007年
G1 ドイツ賞 2008年
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アドラーフルークAdlerflug2004年3月3日 - 2021年4月5日[3])は、ドイツ競走馬種牡馬である[2][4]。主な勝ち鞍は2007年ドイチェスダービー2008年ドイツ賞[1]。種牡馬としてドイツ・リーディングサイアー(2020年 - 2021年)[6]凱旋門賞トルカータータッソなどの父。

戦績[編集]

デビュー前[編集]

シュレーダーハン牧場ドイツ語版のゲオルク・フォン・ウルマンによって生産および所有された。

2歳(2006年)[編集]

11月5日、ペーター・シールゲン調教師の厩舎でデビューし、EBF競走の2歳未勝利戦を5着に終えた[7]

3歳(2007年)[編集]

アドラーフルークは、2007年から新たにシュレーダーハン牧場の調教師となったイェンス・ヒルシュバーガー調教師[8]のもとに転厩した[9]

4月6日の3歳初戦を勝利し[9]、その後ミュルハイム競馬場のドイチェスダービートライアル(L)では6着に敗れた[10]ものの、5月28日のハノーヴァー空港大賞(L)を勝利[4]。なお、ハノーヴァー競馬場で施行されるドイチェスダービーの前哨戦からは、ニカロン(2005年)、スキャパレリ(2006年)と2年連続でドイチェスダービー馬が輩出されていた[11]

7月1日、ドイチェスダービー(G1)に出走。ヒルシュバーガー師は同レースに当馬に加えてバイエルンクラシック(G3)勝ち馬パージャンパンチ[12]、サマーストーム[13]の3頭出しを行っており、テリー・ヘリヤーは5月28日のバイエルンクラシックに続いてダービーでもパージャンパンチに騎乗した[14]。アドラーフルークの鞍上にはノルウェー人騎手フレデリク・ヨハンソンスウェーデン語版が迎えられた[15]。競走は、パージャンパンチが追われて逃げる重馬場(Weich)としては早い展開となった。直線に入ったアドラーフルークは1頭他馬と違うスピードを見せ、2着馬アンテクに7馬身差をつけて優勝した[16]。シュレーダーハン牧場の競走馬によるドイチェスダービー勝利としては、1976年のスタイヴアザント[注 1]以来のものであった[16]

続いて9月2日のバーデン大賞(G1)に出走。ヘリヤーは55kgの斤量で騎乗できないため、引き続きヨハンソンの手綱となった[18]。1番人気に支持されたが、キジャーノのクビ差2着に敗れた[19]。競走後、ヒルシュバーガー師は「もう少し軟らかい馬場であればより良かったでしょう」と語った[20]

4歳(2008年)[編集]

4月27日にガーリンク賞(G2)で始動して1番人気に支持されたが、2番人気オリエンタルタイガーの7着と大敗した[21]。陣営は、アドラーフルークが最終コーナーで体勢を崩し、突き放されてしまったことを指摘した[21]

6月29日のハンザ賞(G2)では、7戦無敗のバーデン経済大賞(G2)勝ち馬イッツジーノ[22]に次ぐ2番人気となり、直線では一時抜け出す勢いを見せたが、優勝馬エガートン、2着馬イッツジーノに先着されて3着に敗れた[23]

良馬場(Gut)で3連敗が続いたアドラーフルークだが、迎えた7月20日のドイツ賞(G1)は雨中の不良馬場(Schwer)での施行となった[4]。競走では初めてアドラーフルークが逃げを打つ形で走り、これに1番人気キジャーノとイッツジーノが続く展開となり、最終的にアドラーフルークがキジャーノに7馬身差をつける逃げ切りで圧勝した[24][25]

9月7日のバーデン大賞に出走したが、同年のドイチェスダービー馬カムジンの2着に敗れた[26]。ヒルシュバーガー師は勝ち馬が強かった旨を述べた[26]

5歳(2009年)[編集]

フランスガネー賞(G1)に出走してヴィジョンデタの3着となった[27][28]

5月、シャンティイ大賞(G2)のための調教中に骨折を発生し[29]、ニューマーケットの馬病院で医師イアン・ライト[注 2]の手術を受けたのちに競走馬を引退した[30]

競走成績[編集]

以下の内容は、Racing Post[2]、Deutscher Galopp[4]の情報に基づく。

競走日 競馬場 競走名 距離(馬場) 頭数 枠番 馬番 着順 タイム 着差 騎手 斤量 1着馬(2着馬)
2006.11.05 ハノーヴァー BMWハノーヴァー支店賞 EBF 芝1600m(重[注 3] 7 1 1 05着 - 5馬身 T.ヘリヤー 58.0 Waldliebe
2007.04.06 ブレーメン ブラックサムベラミーレネン 芝2200m(良[注 4] 8 6 2 01着 02:26.64 短アタマ T.ヘリヤー 56.5 (Belmundo)
0000.05.01 ミュルハイム 独ダービートライアル L 芝2200m(良[注 4] 8 8 1 06着 - 5馬身 J.パリク 57.0 First Stream
0000.05.28 ハノーヴァー ハノーヴァー空港大賞 L 芝2200m(重[注 3] 7 7 2 01着 02:23.21 5馬身 F.ヨハンソン 55.9 (Prinz)
0000.07.01 ハンブルク 独ダービー G1 芝2400m(重[注 3] 15 15 12 01着 02:36.57 7馬身 F.ヨハンソン 58.0 (Antek)
0000.09.02 バーデンバーデン バーデン大賞 G1 芝2400m(良[注 4] 9 9 7 02着 - クビ F.ヨハンソン 55.0 Quijano
2008.04.27 ケルン ガーリンク賞 G2 芝2400m(良[注 4] 10 6 1 07着 - 6馬身 3/4 T.クウィリー 59.0 Oriental Tiger
0000.06.29 ハンブルク ハンザ賞 G2 芝2400m(良[注 4] 9 6 1 03着 - 1馬身 3/4 T.ヘリヤー 60.0 Egerton
0000.07.20 デュッセルドルフ ドイツ賞 G1 芝2400m(不[注 5] 6 7 1 01着 02:37.58 7馬身 F.ヨハンソン 60.0 (Quijano)
0000.09.07 バーデンバーデン バーデン大賞 G1 芝2400m(重[注 3] 6 3 1 02着 - 2馬身 1/2 F.ヨハンソン 60.0 Kamsin
2009.04.26 ロンシャン ガネー賞 G1 芝2100m(良) 8 4 5 03着 - 3/4馬身 A.d.フリース 58.0 Vision D'Etat

種牡馬時代[編集]

種牡馬入り後はシュレーダーハン牧場で繋養された[31]

2020年のドイチェスダービーでは産駒によるワンツーフィニッシュがあり、そのダービー1着馬インスウープが2020年の凱旋門賞で2着に入り、さらにダービー2着馬トルカータータッソは後の2021年の凱旋門賞で優勝するという成績を果たした[31][32]

2021年には種付料が自己最高の1万6000ユーロ(約208万円)に達していたが、同年4月5日の種付け中に急死した[3]

種牡馬成績[編集]

主な産駒[編集]

血統表[編集]

アドラーフルーク血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 サドラーズウェルズ系
[§ 2]

In the Wings
1986
父の父
Sadler's Wells
1981
Northern Dancer Nearctic
Natalma
Fairy Bridge Bold Reason
Special
父の母
High Hawk
1980
Shirley Heights Mill Reef
Hardiemma
Sunbittern *シーホーク
Pantoufle

Aiyana
1993
*ラストタイクーン
1983
*トライマイベスト Northern Dancer
Sex Appeal
Mill Princess Mill Reef
Irish Lass
母の母
Alya
1984
Lombard Agio
Promised Lady
Anatevka Espresso
Almyra
母系(F-No.) (FN:F-9) [§ 3]
5代内の近親交配 Northern Dancer 3×4=18.75%、Mill Reef 4×4=12.5% [§ 4]
出典
  1. ^ [40]
  2. ^ [41]
  3. ^ [40]
  4. ^ [40]


脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ なお、新潟記念(GIII)勝ち馬ブラウンビートルなどを輩出した日本供用種牡馬でもある[17]
  2. ^ マンデュロの骨折なども担当した人物。
  3. ^ a b c d Weich
  4. ^ a b c d e gut
  5. ^ schwer

出典[編集]

  1. ^ a b c d Adlerflug(GER)”. JBISサーチ. 2022年4月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j Adlerflug | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2022年4月4日閲覧。
  3. ^ a b c WELT (2021年4月7日). “Reiten: Deutschlands teuerster Hengst „Adlerflug“ stirbt nach Deckarbeit” (ドイツ語). DIE WELT. https://www.welt.de/sport/article229881283/Reiten-Deutschlands-teuerster-Hengst-Adlerflug-stirbt-nach-Deckarbeit.html 2022年4月4日閲覧。 
  4. ^ a b c d e Adlerflug (2004, GER)” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. 2022年4月4日閲覧。
  5. ^ Willkommen auf der Seite www.galopp-sieger.de” (ドイツ語). www.galopp-sieger.de. 2022年4月4日閲覧。
  6. ^ Leading Sires”. www.arion.co.nz. 2022年5月23日閲覧。
  7. ^ Preis der BMW Niederlassung Hannover, Hannover 05.11.2006” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. 2022年4月14日閲覧。
  8. ^ Göbel, Guido (2007年4月1日). “Jens Hirschberger feiert Schlenderhan-Debut mit Sieg” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  9. ^ a b Göbel, Guido (2007年4月6日). “3jährige: Schlenderhaner Adlerflug siegt mit Riesenspeed” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  10. ^ Rennstall Gestüt Hachtsee Derby-Trial, Mülheim 01.05.2007” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. 2022年4月14日閲覧。
  11. ^ Hähn, Michael (2007年5月29日). “Nicaron, Schiaparelli, Adlerflug: Von Hannover nach Horn” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  12. ^ Persian Storm (2004, GER)” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. 2022年4月14日閲覧。
  13. ^ Sommersturm (2004, GER)” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. 2022年4月14日閲覧。
  14. ^ Hähn, Michael (2007年6月22日). “'Ziel ist der Sieg': Hirschbergers Großangriff aufs Derby” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  15. ^ Gast (2007年6月25日). “Neuer Jockey für Norweger und Alderflug-Reiter stürzt” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  16. ^ a b Hähn, Michael (2007年7月2日). “Nach 1976 wieder ein Schlenderhaner Derbysieger” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  17. ^ 種牡馬情報:種牡馬成績 |スタイヴアザント(GER)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2022年4月14日閲覧。
  18. ^ Hähn, Michael (2007年8月21日). “Mit Johansson: Adlerflug voll im Zeitplan für Iffezheim” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  19. ^ 135. Grosser Preis von Baden, Baden-Baden 02.09.2007” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. 2022年4月14日閲覧。
  20. ^ Hähn, Michael (2007年9月2日). “Schiergens 5. Sieg: Wüstenheld schlägt den Derbysieger!” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  21. ^ a b Göbel, Guido (2008年4月27日). “Adlerflug floppt bei Oriental Tigers toller Start-Ziel-Gala” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  22. ^ It's Gino (2003, GER)” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. 2022年4月14日閲覧。
  23. ^ Scheid, Peter (2008年6月29日). “Er zeigt es in Hamburg allen: Egerton ist der Hansa-König” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  24. ^ www.germantote.de - Deutschland-Preis, Düsseldorf 20.07.2008” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. 2022年4月14日閲覧。
  25. ^ Göbel, Guido (2008年7月20日). “Wieder da! 'Adler' fliegt im Deutschlandpreis allen davon” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  26. ^ a b Göbel, Guido (2008年9月7日). “2008 vor 2007 - Kamsin gewinnt das Duell der Derbysieger” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  27. ^ Full Result 2.50 Longchamp (FR) | 26 April 2009 | Racing Post”. www.racingpost.com. 2022年4月14日閲覧。
  28. ^ Göbel, Guido (2009年4月26日). “Schlenderhaner Adlerflug mit gutem Debüt im Prix Ganay” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  29. ^ Gast (2009年5月26日). “Ganz ganz bitter! Deutschland Nr.1 Adlerflug vor dem Aus?” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  30. ^ Gast (2009年5月27日). “Aufatmen im Adler-Lager! Um 17:00 Uhr stand er wieder” (ドイツ語). GaloppOnline. 2022年4月14日閲覧。
  31. ^ a b c ドイツの一流種牡馬アドラーフルークが急死(ドイツ)[生産]”. 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2022年4月14日閲覧。
  32. ^ ドイツはなぜミドルディスタンスの優良馬を生産するのか(ドイツ)【生産】”. 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2022年4月14日閲覧。
  33. ^ Ito | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2022年4月4日閲覧。
  34. ^ Iquitos | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2022年4月4日閲覧。
  35. ^ In Swoop | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2022年4月4日閲覧。
  36. ^ Torquator Tasso | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2022年4月4日閲覧。
  37. ^ Alenquer | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2022年4月4日閲覧。
  38. ^ Mendocino | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2022年9月4日閲覧。
  39. ^ India | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2023年9月25日閲覧。
  40. ^ a b c 血統情報:5代血統表|Adlerflug(GER)”. JBISサーチ. 2022年4月4日閲覧。
  41. ^ Adlerflugの血統表”. netkeiba.com. 2022年4月9日閲覧。

外部リンク[編集]