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しかし似ている部分はそういった点でだけであり、実際には背びれを持つ、[[胸びれ]]や頭部が身体に比して比較的小さい、など外観でもセミクジラと異なる点は少なくない上に、骨格においても頭骨、[[耳骨]]などの形態においては、セミクジラと共通する要素は少ない。
しかし似ている部分はそういった点でだけであり、実際には背びれを持つ、[[胸びれ]]や頭部が身体に比して比較的小さい、など外観でもセミクジラと異なる点は少なくない上に、骨格においても頭骨、[[耳骨]]などの形態においては、セミクジラと共通する要素は少ない。


== 分布 ==
== 分布・生態 ==
[[南半球]]の[[温帯]]域(南緯30-52度)のみに分布するが、例外的に[[北半球]]の[[ガンビア]]に漂着した事例が存在する<ref>{{cite journal |first1=Cheng-Hsiu |last1=Tsai |first2=James G. |last2=Mead |year=2018 |doi=10.1186/s40851-018-0117-8 |title=Crossing the equator: a northern occurrence of the pygmy right whale |journal=Zoological Letters |volume=4 |issue=30|page=30 |pmid=30574356 |pmc=6296048 }}</ref>。[[オーストラリア]]・[[タスマニア州]]の沿岸や沖合には、定住群が存在すると見られる<ref name=Shirihai>{{cite book|title=Whales, Dolphins and Other Marine Mammals of the World|author1=Shirihai, H. |author2=Jarrett, B. |name-list-style=amp |publisher=Princeton Field Guides|year=2006|pages=43–45|isbn=978-0-69112757-6}}</ref>。
[[南半球]]の[[温帯]]域(南緯30-52度)のみで活動する。目撃されることが非常に少ないため、生態には不明な点が多い。


また、体が小さく、滅多に観られないあっ、ヒゲクジラ類中唯一[[捕鯨]]の対象から逃れる事が出来たが、それ故に他のクジラに比べて調べられていない事が多く、ヒゲクジラ類の中ではもっとも研究が進んでおらず、生息数や生息状況の調査も不明のままである。
体が小さく、目撃さることが非常に少ないため、[[回遊]]ふくめ生態には不明な点が多い。そのため、ヒゲクジラ類中では唯一[[捕鯨]]の対象から逃れる事が出来たが、それ故に他のクジラに比べて調べられていない事が多く、ヒゲクジラ類の中ではもっとも研究が進んでおらず、生息数や生息状況の調査も不明のままである。

同様に、[[ホエールウォッチング]]の対象になっていない稀有なヒゲクジラ類でもある。


==脚注==
==脚注==

2023年10月24日 (火) 11:48時点における版

コセミクジラ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 偶蹄目/鯨偶蹄目 Artiodactyla/Cetartiodactyla
小目 : ヒゲクジラ小目 Mysticeti
: コセミクジラ科/ケトテリウム科 Neobalaenidae/Cetotheriidae
: コセミクジラ属
Caperea Gray1864[3]
: コセミクジラ C. marginata
学名
Caperea marginata Gray, 1846[3]
シノニム[3]
Balaena marginata Gray, 1846
和名
コセミクジラ
英名
Pygmy right whale[3]
コセミクジラの分布図
コセミクジラの分布図

コセミクジラ(小背美鯨、Caperea marginata)は、偶蹄目(または鯨偶蹄目)コセミクジラ科(またはケトテリウム科)コセミクジラ属に属するヒゲクジラの一種である。

分類

コセミクジラ属は、現生種では1属1種のみで構成される[3]

コセミクジラ科では唯一の現生種とされており[3]、他の現生種のクジラとの分岐はセミクジラ科の次であるとされ、名前に反してコククジラナガスクジラに近縁である[4]。また、原始的な形質を残し生きた化石と呼ばれていたが、近年、絶滅した古代のヒゲクジラの系統とされていたケトテリウム科の唯一の生き残りとする説も提唱されている[5][6]

形態

ヒトと比較した大きさ

体長 4-6.5m(ただし雄の最大は6m[7])、体重 3-3.5 t とヒゲクジラ類の中では最も小さい。

和名の由来である、セミクジラに似た流線型の体型とアーチ状の上あごを持つ。

しかし似ている部分はそういった点でだけであり、実際には背びれを持つ、胸びれや頭部が身体に比して比較的小さい、など外観でもセミクジラと異なる点は少なくない上に、骨格においても頭骨、耳骨などの形態においては、セミクジラと共通する要素は少ない。

分布・生態

南半球温帯域(南緯30-52度)のみに分布するが、例外的に北半球ガンビアに漂着した事例が存在する[8]オーストラリアタスマニア州の沿岸や沖合には、定住群が存在すると見られる[9]

体が小さく、目撃されることが非常に少ないため、回遊もふくめて生態には不明な点が多い。そのため、ヒゲクジラ類中では唯一捕鯨の対象から逃れる事が出来たが、それ故に他のクジラに比べて調べられていない事が多く、ヒゲクジラ類の中ではもっとも研究が進んでおらず、生息数や生息状況の調査も不明のままである。

同様に、ホエールウォッチングの対象になっていない稀有なヒゲクジラ類でもある。

脚注

  1. ^ Cooke, J.G. 2018. Caperea marginata. The IUCN Red List of Threatened Species 2018: e.T3778A50351626. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2018-2.RLTS.T3778A50351626.en. Accessed on 14 December 2022.
  2. ^ CITES. Appendices I, II and III valid from 22 June 2022. Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora. Accessed on 14 December 2022.
  3. ^ a b c d e f Games G. Mead & Robert L. Brownell Jr., “Order Cetacea,” In: Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (eds.), Mammal Species of the World (3rd ed.), Volume 1, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 723-744.
  4. ^ 『鯨類学』 pp.42-43
  5. ^ Fordyce, R. E.; Marx, F. G. (2013). “The pygmy right whale Caperea marginata: the last of the cetotheres”. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 280 (1753): 1–6. doi:10.1098/rspb.2012.2645. PMC 3574355. PMID 23256199. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3574355/. 
  6. ^ 'Extinct' whale found: Odd-looking pygmy whale traced back 2 million years”. CSMonitor.com (2012年4月23日). 2017年3月4日閲覧。
  7. ^ 『鯨類学』 図鑑/世界の鯨類14
  8. ^ Tsai, Cheng-Hsiu; Mead, James G. (2018). “Crossing the equator: a northern occurrence of the pygmy right whale”. Zoological Letters 4 (30): 30. doi:10.1186/s40851-018-0117-8. PMC 6296048. PMID 30574356. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6296048/. 
  9. ^ Shirihai, H. & Jarrett, B. (2006). Whales, Dolphins and Other Marine Mammals of the World. Princeton Field Guides. pp. 43–45. ISBN 978-0-69112757-6 

参考文献