「稲葉清右衛門」の版間の差分
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{{Infobox Engineer |
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'''稲葉 清右衛門'''(いなば せいうえもん、[[1925年]][[ 3月5日]]- )は、[[日本]]の[[技術者]]、[[実業家]]、[[工学博士]]。[[茨城県]][[筑西市]]出身。[[富士通]]から分離独立した[[ファナック]]の事実上の創業者であり<ref name=bj>{{cite news |title=事業リスクは露骨な世襲人事? あの世界のリーディングカンパニーに潜む懸念 |author= |agency=|publisher=ビジネスジャーナル |date=2013-7-10|url=http://biz-journal.jp/2013/07/post_2478.html|accessdate=2013-12-14}}</ref>、現[[相談役]][[名誉会長]]。 |
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|氏名=稲葉 清右衛門 |
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|画像の説明= |
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|別名= |
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|国籍={{JPN}} |
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|生年月日={{生年月日と年齢|1925|03|05|no}} |
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|生誕地= |
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|死没日=<!--{{死亡年月日と没年齢|1925|03|05|****|**|**}}--> |
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|死没地= |
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|最終学歴=[[東京帝国大学]][[第二工学部]]精密工学科卒業 |
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|職業=[[技術者]]、[[実業家]] |
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|配偶者= |
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|両親= |
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|子供=稲葉善治(ファナック社長) |
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|専門分野=[[機械工学]]、[[制御工学]] |
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|所属機関= |
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|勤務先=[[富士通]]⇒富士通ファナック⇒[[ファナック]] |
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|雇用者= |
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|プロジェクト=電気油圧パルスモーター、[[NC]]装置、[[産業用ロボット]] |
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|設計= |
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|成果= |
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|受賞歴=[[紫綬褒章]](1981年)<br>J.F.Engelberger賞(1987年)<br>[[藍綬褒章]](1990年)<br>勲二等[[瑞宝章]](1995年) |
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|署名= |
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|補足= |
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'''稲葉 清右衛門'''(いなば せいうえもん、[[1925年]][[ 3月5日]]- )は、[[日本]]の[[技術者]]、[[実業家]]。[[ファナック]][[相談役]][[名誉会長]]、[[工学博士]]。[[茨城県]][[筑西市]]出身。 |
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[[富士通]]において電気油圧パルスモーターや数値制御器の研究開発に従事し、[[NC工作機械]]の黎明期に大きな足跡を残す。富士通の計算制御部から分離独立した[[ファナック]]においては、経営者として同社を[[NC]]装置、[[産業用ロボット]]のトップメーカーとして育て上げた。[[社長]]退任後も[[代表取締役]][[会長]]、相談役名誉会長として、同社の研究開発部門をリードした。 |
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== 人物 == |
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やり手のワンマン経営者として知られる。[[高羅芳光]](富士通の当時の社長)により富士通の計算制御部から分離独立されたファナックを、一代で[[工作機械]]のトップメーカーとして育て上げた<ref>{{cite news |title=【時代のリーダー】稲葉清右衛門・ファナック社長 |author= |agency=|newspaper=|publisher=日経ビジネス|date=2009-2-18 |url=http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20090210/185664/?P=1|accessdate=2013-12-14}}</ref>。NC(数値制御)装置の世界シェアは50%、国内シェアは75%であり、世界トップシェアである<ref>{{cite news |title=ファナック、キーエンス……「利益率40%超」企業の秘密|author= |agency=|newspaper=|publisher=PRESIDENT|date=2012-8-1|url=http://president.jp/articles/-/6772|accessdate=2013-12-14}}</ref>。また、同社はメーカーとして驚異的な利益率の高さでも知られ、売上高経常利益率は44.83%(2008年3月期)にものぼる<ref>{{cite news |title=10年後も食える会社、消える会社【2】|author= |agency=|newspaper=|publisher=PRESIDENT|date=2013-5-21|url=http://president.jp/articles/-/9443|accessdate=2013-12-14}}</ref>。 |
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[[精密工学会]]会長、日本ロボット学会副会長、日本産業用ロボット工業会会長等を歴任し、NC関係の標準化活動にも実績がある。1987年エンゲルバーガー賞、[[紫綬褒章]]、[[藍綬褒章]]、勲二等[[瑞宝章]]。[[ブルガリア]]や[[ルクセンブルク大公国]]からも[[勲章]]を受けている。 |
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「研究開発と企業経営は不可分」という考えを持つ<ref>稲葉清右衛門: [https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jjspe1933&noVol=46&noIssue=1&kijiCd=46_1_60&screenID=AF06S010 (研究開発をどう考えるかI)]研究開発の狭い道, 精密機械, Vol.46, No.1, (1980-02), pp.60-62.</ref>。[[社長]]になってからも、研究員に目標を与え、月に一回の社長主催の技術会議で報告をさせ、指導していた<ref>稲葉清右衛門: [http://ci.nii.ac.jp/naid/110002441571 (小特集:社内教育)メカトロニクス技術教育の実情], 日本機械学会誌, Vol.90, No.820, (1987-03), pp.310-312.</ref>。名誉会長になってからも、2013年まで経営本部長や研究本部長に着いていた<ref name="toyokeizai2013">{{cite news |title= |
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==人物と業績== |
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やり手のワンマン経営者として知られる<ref name=bj>{{cite news |title=事業リスクは露骨な世襲人事? あの世界のリーディングカンパニーに潜む懸念 |author= |agency=|publisher=ビジネスジャーナル |date=2013-7-10|url=http://biz-journal.jp/2013/07/post_2478.html|accessdate=2013-12-14}}</ref>。高羅芳光(富士通の当時の社長)により富士通の計算制御部から分離独立されたファナックを、一代で[[工作機械]]のトップメーカーとして育て上げた<ref>{{cite news |title=【時代のリーダー】稲葉清右衛門・ファナック社長 |author= |agency=|newspaper=|publisher=日経ビジネス|date=2009-2-18 |url=http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20090210/185664/?P=1|accessdate=2013-12-14}}</ref>。NC(数値制御)装置の世界シェアは50%、国内シェアは75%であり、世界トップシェアである<ref>{{cite news |title=ファナック、キーエンス……「利益率40%超」企業の秘密|author= |agency=|newspaper=|publisher=PRESIDENT|date=2012-8-1|url=http://president.jp/articles/-/6772|accessdate=2013-12-14}}</ref>。また、同社はメーカーとして驚異的な利益率の高さでも知られ、売上高経常利益率は44.83%(2008年3月期)にものぼる<ref>{{cite news |title=10年後も食える会社、消える会社【2】|author= |agency=|newspaper=|publisher=PRESIDENT|date=2013-5-21|url=http://president.jp/articles/-/9443|accessdate=2013-12-14}}</ref>。 |
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「研究開発と企業経営は不可分」という考えを持つ<ref>{{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門|url=https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jjspe1933&noVol=46&noIssue=1&kijiCd=46_1_60&screenID=AF06S010|title=(研究開発をどう考えるかI)研究開発の狭い道|journal=精密機械|volume=46|number=1|year=1980|month=2|pages=pp.60-62}}</ref>。[[社長]]になってからも、研究員に目標を与え、月に一回の社長主催の技術会議で報告をさせ、指導していた<ref>{{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門|url=http://ci.nii.ac.jp/naid/110002441571|title=(小特集:社内教育)メカトロニクス技術教育の実情|journal=日本機械学会誌|volume=90|number=820|year=1987|month=3|pages=pp.310-312}}</ref>。名誉会長になってからも、2013年まで経営本部長や研究本部長に着いていた<ref name="toyokeizai2013">{{cite news |title= |
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ファナック“大異変”カリスマついに引退 ベールに包まれた超優良企業で、創業以来の変化|author= |agency=|publisher=東洋経済オンライン|date=2013-12-22|url=http://toyokeizai.net/articles/-/26736|accessdate=2013-12-23}}</ref>。直近の報道では、本社の相談役名誉会長の座からは退いてはいないものの、[[連結子会社]]を含めて、ファナックと名がつく国内7社の代表を退いたため、経営の第一線からは身を引いたのではないかと報じられている<ref name="toyokeizai2013"/>。 |
ファナック“大異変”カリスマついに引退 ベールに包まれた超優良企業で、創業以来の変化|author= |agency=|publisher=東洋経済オンライン|date=2013-12-22|url=http://toyokeizai.net/articles/-/26736|accessdate=2013-12-23}}</ref>。直近の報道では、本社の相談役名誉会長の座からは退いてはいないものの、[[連結子会社]]を含めて、ファナックと名がつく国内7社の代表を退いたため、経営の第一線からは身を引いたのではないかと報じられている<ref name="toyokeizai2013"/>。 |
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[[技術者]]としては[[NC工作機械]]の[[数値制御]]<ref>稲葉清右衛門 |
[[技術者]]としては[[NC工作機械]]の[[数値制御]]<ref>{{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門|url=http://ci.nii.ac.jp/naid/110002444340|title=パンチプレスの数値制御|journal=日本機械学会誌|volume=61|number=473|year=1958|month=6|pages=pp.651-658}}</ref> |
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<ref>{{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門、吉武智士、橋本至弘、小林堅吾|url=https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=sicejl1954&noVol=8&noIssue=2&kijiCd=8_2_100&screenID=AF06S010|title=三次元フライス盤計算数値制御装置について|journal=自動制御|volume=8|number=2|year=1961|pages=pp.100-109}}</ref>、電気油圧パルスモータ<ref>{{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門、伊藤康平、白藤良孝|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl1954/8/3/8_3_194/_article/-char/ja/|title=電気-油圧式パルスモータ|journal=自動制御|volume=8|number=3|year=1961|pages=pp.194-197}}</ref>、これらを活用した数値制御による連続切削<ref>{{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門、浜辺久米男、内田芳郎|url=http://ci.nii.ac.jp/naid/110002457538|title=数値制御によるタービン羽根の切削|journal=日本機械学会誌|volume=62|number=491|year=1959|month=12|pages=pp.1746-1752}}</ref>等に実績があり<ref>{{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl1962/5/3/5_3_161/_article/-char/ja/|title=電気・油圧パルスモータを主体とする連続切削数値制御系の研究|journal=計測と制御|volume=5|number=3|year=1966|pages=pp.161-173}}</ref>、この分野の著書や記事も多い。日本ロボット学会副会長、[[精密工学会]]会長等を歴任。[[東京大学]][[工学部]]において精密工学科(旧造兵学科)図書室の蔵書1万冊が処分されかけた際には、ファナック本社の書庫でそれを引き受けている<ref>{{Cite journal|和書|author=高橋雄造|title=電気技術史研究の動向|journal=電気学会論文集|volume=118A|number=7/8|year=1998|pages=pp.753-758}}</ref>。 |
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パンチプレスの数値制御], 日本機械学会誌, Vol.61, No.473, (1958-06), pp.651-658.</ref> |
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==略歴== |
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<ref>稲葉清右衛門, 吉武智士, 橋本至弘, 小林堅吾: [https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=sicejl1954&noVol=8&noIssue=2&kijiCd=8_2_100&screenID=AF06S010 三次元フライス盤計算数値制御装置について], 自動制御, Vol.8, No.2, (1961), pp.100-109.</ref>、電気油圧パルスモータ<ref>稲葉清右衛門, 伊藤康平, 白藤良孝: [https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl1954/8/3/8_3_194/_article/-char/ja/ 電気-油圧式パルスモータ], 自動制御, Vol.8, No.3, (1961), pp.194-197.</ref>、これらを活用した数値制御による連続切削<ref>稲葉清右衛門, 浜辺久米男, 内田芳郎: [http://ci.nii.ac.jp/naid/110002457538 数値制御によるタービン羽根の切削], 日本機械学会誌, Vol.62, No.491, (1959-12), pp.1746-1752.</ref>等に実績があり<ref>稲葉清右衛門: [https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl1962/5/3/5_3_161/_article/-char/ja/ 電気・油圧パルスモータを主体とする連続切削数値制御系の研究], 計測と制御, Vol.5, No.3, (1966), pp.161-173.</ref>、この分野の著書や記事も多い。[[日本ロボット学会]]副会長、[[精密工学会]]会長等を歴任。[[東京大学]][[工学部]]において精密工学科(旧造兵学科)図書室の蔵書1万冊が処分されかけた際には、ファナック本社の書庫でそれを引き受けている<ref>高橋雄造: 電気技術史研究の動向, 電気学会論文集, Vol.118A, No.7/8, (1998), pp.753-758.</ref>。 |
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*[[1946年]]:[[東京帝国大学]][[第二工学部]]精密工学科(旧造兵学科)を卒業。 |
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*1946年:富士通信機製造(現[[富士通]])入社、千葉県下館工場配属。 |
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== 年譜 == |
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*[[1965年]]7月:[[東京工業大学]]において、[[論文博士]]で[[工学博士]]号を取得。 |
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=== 略歴 === |
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*[[1972年]]5月:[[富士通]]の計算制御部から、富士通の[[子会社]]として独立した富士通ファナック(現ファナック)設立。同社[[専務]]取締役に就任(富士通株式会社非常勤取締役兼任、1997年まで)。 |
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*[[1946年]] - [[東京帝国大学]][[第二工学部]]精密工学科(旧造兵学科)を卒業。富士通信機製造(現[[富士通]])入社。 |
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*[[1974年]]:同[[副社長]]就任。 |
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*[[1965年]]7月 - [[東京工業大学]]において、[[論文博士]]で[[工学博士]]号を取得。 |
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*[[1975年]]5月:同[[代表取締役]]社長就任。 |
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*[[1972年]]5月 - [[富士通]]の計算制御部から、富士通の[[子会社]]として独立した富士通ファナック(現ファナック)設立。同社[[専務]]取締役に就任(富士通株式会社非常勤取締役兼任、1997年まで)。 |
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*[[ |
*[[1995年]]6月:同代表取締役[[会長]]。 |
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*[[2000年]]6月:同相談役名誉会長<ref name="rsj_honorary">{{Cite journal|和書|url=http://www.rsj.or.jp/databox/journal/kaikoku/20/KAI2004.pdf|title=学会からのお知らせ 日本ロボット学会名誉会員のお知らせ|journal=日本ロボット学会誌|volume=20|number=4|year=2002|pages=お知らせp.2}}</ref>。 |
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*[[1975年]]5月 - 同[[代表取締役]]社長就任。 |
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*[[2013年]]:同社経営本部長、研究本部長、及び子会社の取締役からはずれる<ref name="toyokeizai2013"/>。 |
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*[[1995年]]6月 - 同代表取締役[[会長]]。 |
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==受賞・栄典== |
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*[[2000年]]6月 - 同相談役名誉会長<ref name="rsj_honorary">[http://www.rsj.or.jp/databox/journal/kaikoku/20/KAI2004.pdf 学会からのお知らせ 日本ロボット学会名誉会員のお知らせ], 日本ロボット学会誌, Vol.20, No.4, (2002), お知らせ, p.2</ref>。 |
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;受賞 |
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*[[2013年]] - 同社経営本部長、研究本部長、及び子会社の取締役からはずれる<ref name="toyokeizai2013"/>。 |
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*[[1974年]]:ジョセフマリージャカード賞 |
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=== 表彰 === |
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*[[ |
*[[1977年]]:SMEエンジニアリングサイテーション賞、 |
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*[[1987年]]:J.F.エンゲルバーガー賞 技術開発賞<ref group="注">ロボティクスに関する有名な賞。世界初の産業用ロボット「ユニメート」の商業化を実現させたJoseph F. Engelberger 博士の名前を冠している。4つの部門がある。</ref> |
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*[[1977年]] - SMEエンジニアリングサイテーション賞、[[ブルガリア]]政府より第一級勲章 |
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*1987年:M.ユージン・マーチャント・マニファクチャリングメダル |
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*[[1981年]] - [[紫綬褒章]] |
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*[[1992年]]:米国アカデミー外国会員に選任 |
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*[[1981年]] - [[ルクセンブルク大公国]]よりロン・ド・シェーヌ勲章 |
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*[[2002年]]:日本ロボット学会 名誉顧問に選任<ref name="rsj_honorary"/><ref>[http://www.rsj.or.jp/about/honorary 日本ロボット学会名誉員], 2014年1月5日閲覧</ref> |
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*[[1987年]] - J.F.エンゲルバーガー賞<ref>ロボティクスに関する有名な賞。世界初の産業用ロボット「ユニメート」の商業化を実現させたJoseph F. Engelberger 博士の名前を冠している。</ref>技術開発賞、M.ユージン・マーチャント・マニファクチャリングメダル |
|||
*[[2012年]]:[[忍野村]]名誉村民<ref>{{Cite journal|和書|title=ファナック株式会社 創業者 工学博士 稲葉清右衛門名誉会長 忍野村名誉村民顕彰式典を開催いたしました|url=http://www.vill.oshino.lg.jp/docs/2013021100084/files/20120702-085054.pdf|journal=広報おしの(2012年7月号)|year=2012|month=7|pages=p.2}}</ref> |
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*[[1989年]] - ルクセンブルク大公国より勲二等メリット章 |
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;栄典 |
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*[[1990年]] - [[藍綬褒章]] |
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*[[1977年]]:[[ブルガリア]]政府より第一級勲章 |
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*[[1992年]] - 米国アカデミー外国会員に選任 |
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*[[ |
*[[1981年]]:[[紫綬褒章]] |
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*[[1981年]]:[[ルクセンブルク大公国]]よりロン・ド・シェーヌ勲章 |
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*[[2002年]] - 日本ロボット学会 名誉顧問に選任<ref name="rsj_honorary"/><ref>[http://www.rsj.or.jp/about/honorary 日本ロボット学会名誉員], 2014年1月5日閲覧</ref> |
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*[[1989年]]:ルクセンブルク大公国より勲二等メリット章 |
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*[[2012年]] - [[忍野村]]名誉村民<ref>ファナック株式会社 創業者 工学博士 稲葉清右衛門名誉会長 忍野村名誉村民顕彰式典を開催いたしました, [http://www.vill.oshino.lg.jp/docs/2013021100084/files/20120702-085054.pdf 広報おしの, 2012年7月号], p.2.</ref> |
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*[[1990年]]:[[藍綬褒章]] |
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*[[1995年]]:勲二等[[瑞宝章]] |
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== 社会的活動 == |
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==社会的活動== |
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* [[日本機械学会]] において、NC工作機械の標準化に関する分科会で委員を歴任。 |
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*[[日本機械学会]](以下のようなNC工作機械の標準化に関する分科会で委員を歴任した。) |
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** JIS数値制御工作機械の標準仕様に関する調査分科会(昭和43年4月~45年5月)<ref>JIS数値制御工作機械の標準仕様に関する調査文科会: [http://ci.nii.ac.jp/naid/110002468061 JIS数値制御工作機械の標準仕様に関する調査報告書], 日本機械学会誌, Vol.73, No.613, (1970-02), pp.213-215.</ref><ref>JIS数値制御工作機械の標準仕様に関する調査文科会: [http://ci.nii.ac.jp/naid/110002443126 JIS数値制御工作機械の標準仕様に関する調査報告書], 日本機械学会誌, Vol.74, No.627, (1971-04), pp.418-421.</ref> |
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**JIS数値制御工作機械の標準仕様に関する調査分科会(昭和43年4月~45年5月)<ref>{{Cite journal|和書|author=JIS数値制御工作機械の標準仕様に関する調査文科会|url=http://ci.nii.ac.jp/naid/110002468061|title=JIS数値制御工作機械の標準仕様に関する調査報告書|journal=日本機械学会誌|volume=73|number=613|year=1970|month=2|pages=pp.213-215}}</ref><ref>{{Cite journal|和書|author=JIS数値制御工作機械の標準仕様に関する調査文科会|url=http://ci.nii.ac.jp/naid/110002443126|title=JIS数値制御工作機械の標準仕様に関する調査報告書|journal=日本機械学会誌|volume=74|number=627|year=1971|month=4|pages=pp.418-421}}</ref> |
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** JIS NC用語分科会(昭和46年度)<ref>JIS NC用語分科会: [http://ci.nii.ac.jp/naid/110002471321 数値制御工作機械用語], 日本機械学会誌, Vol.75, No.648, (1972-12), pp.1823-1824.</ref> |
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** |
**JIS NC用語分科会(昭和46年度)<ref>{{Cite journal|和書|author=JIS NC用語分科会|url=http://ci.nii.ac.jp/naid/110002471321|title=数値制御工作機械用語|journal=日本機械学会誌|volume=75|number=648|year=1972|month=12|pages=pp.1823-1824}}</ref> |
||
**JIS NC旋盤分科会(昭和46年6月~47年2月)<ref>{{Cite journal|和書|author=JIS NC旋盤分科会|url=http://ci.nii.ac.jp/naid/110002443373|title=日本工業規格(案)数値制御旋盤の試験および検査|journal=日本機械学会誌|volume=76|number=650|year=1973|month=2|pages=pp.192-193}}</ref> |
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* 日本ロボット学会 副会長(初代:1983~1984年度)<ref>日本ロボット学会: HOME> 学会案内> 組織> [http://www.rsj.or.jp/about/organ/directors 歴代理事会一覧], 2014年1月5日閲覧</ref> |
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* |
*日本ロボット学会(初代 副会長:1983~1984年度)<ref>{{Cite web|和書|publisher=日本ロボット学会|title=学会案内>組織>歴代理事会一覧|url=http://www.rsj.or.jp/about/organ/directors|accessdate=2014年1月5日}}</ref> |
||
*[[精密工学会]](第27代 会長:1996~1997年度)<ref>{{Cite web|和書|publisher=精密工学会|title=学会について>学会概要>歴代会長・副会長|url=http://www.jspe.or.jp/about_us/outline/president/|accessdate=2014年1月5日}}</ref> |
|||
* [[日本ロボット工業会]]<ref>稲葉清右衛門: [https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=sicejl1962&noVol=13&noIssue=11&kijiCd=13_11_836&screenID=AF06S010 産業用ロボットの現状と将来], 計測と制御, Vol.13, No.11, (1974)</ref> |
|||
*日本ロボット工業会<ref>{{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門|url=https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=sicejl1962&noVol=13&noIssue=11&kijiCd=13_11_836&screenID=AF06S010|title=産業用ロボットの現状と将来|journal=計測と制御|volume=13|number=11|year=1974}}</ref>(旧 日本産業用ロボット工業会 会長<ref>貫井健『黄色いロボット』</ref>) |
|||
* [[FA財団]] 評議員<ref>財団法人 FA財団: [http://www.faf.or.jp/profile.html 財団の概要], 2014年1月5日閲覧</ref> |
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* |
*FA財団(評議員<ref>{{Cite web|和書|publisher=財団法人 FA財団|url=http://www.faf.or.jp/profile.html|title=財団の概要|accessdate=2014年1月5日}}</ref>) |
||
*機械振興協会(技術研究所 運営委員会 委員<ref>{{Cite web|和書|publisher=(財)機械振興協会|title=事業概要・組織>技術研究所運営委員会委員名簿|url=http://www.tri.jspmi.or.jp/commitee/administration.html|accessdate=2014年1月5日}}</ref>) |
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== |
==家族== |
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*妻:望 - 清右衛門が富士通下館工場時代の昭和22年に結婚<ref>「私の歩んできた道 第1回」『精密工学会誌』</ref>。 |
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*[[稲葉善治]] - 清右衛門の息子(長男)で、ファナック現社長。[[いすゞ自動車]]出身<ref name=bj />。工学博士(東京大学)。 |
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*長男:稲葉善治 - ファナック現社長。[[いすゞ自動車]]出身<ref name=bj />。工学博士(東京大学)。 |
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*[[稲葉清典]] - 清右衛門の孫で、稲葉善治の息子(長男)で、ファナック現取締役<ref name=bj />。[[2013年]]6月に35歳と最年少で同社取締役に就任した<ref>{{cite news |title=ファナック、35歳取締役を起用 名誉会長の孫 |author= |agency=|publisher=日本経済新聞 |date=2013-6-7|url=http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD07089_X00C13A6TJ1000/|accessdate=2013-12-14}}</ref>。 |
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*孫:稲葉清典 - 稲葉善治の長男で、ファナック現取締役<ref name=bj />。[[2013年]]6月に35歳と最年少で同社取締役に就任した<ref>{{cite news|title=ファナック、35歳取締役を起用 名誉会長の孫 |author= |agency=|publisher=日本経済新聞 |date=2013-6-7|url=http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD07089_X00C13A6TJ1000/|accessdate=2013-12-14}}</ref>。 |
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==著作== |
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;学位 |
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*{{Cite book|和書|title=代数演算式、補間装置と電気油圧パルスモータを主体とする工作機械の連続切削数値制御系の研究|publisher=東京工業大学|series=博士論文(乙第96号)|year=1965|month=7|url=http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009261259-00}}授与年月日:昭和40年7月14日、学位:工学博士。 |
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;主著 |
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*{{Cite book|和書|title=数値制御入門|publisher=[[日刊工業新聞社]]|year=1967|ASIN B000JA8U30}} |
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'''主著''' |
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*{{Cite book|和書|title=やさしいNC読本|publisher=[[日本能率協会]]|year=1970|ASIN B000JA395E}} |
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* 数値制御入門, [[日刊工業新聞社]], (1967), ASIN B000JA8U30 |
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*{{Cite book|和書|title=新版 数値制御入門|publisher=日刊工業新聞社|year=1971|ASIN B000JA28ME}} |
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* やさしいNC読本, [[日本能率協会]], (1970), ASIN B000JA395E |
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*{{Cite book|和書|title=ロボット時代を拓く―「黄色い城」からの挑戦|publisher=[[PHP研究所]]|year=1982|month=7|ASIN B000J7N5GA}} |
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* 新版 数値制御入門, 日刊工業新聞社, (1971), ASIN B000JA28ME |
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*{{Cite book|和書|title=黄色いロボット|series=大手町ブックス|publisher=日本工業新聞社|year=1991|month=5|isbn=978-4819106108}} |
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* ロボット時代を拓く―「黄色い城」からの挑戦, [[PHP研究所]], (1982-07), ASIN B000J7N5GA |
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;共著・編著 |
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* 黄色いロボット (大手町ブックス), 日本工業新聞社 (1991/05), ISBN 978-4819106108 |
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*{{Cite book|和書|author=海輪利正、稲葉清右衛門 共著|title=工作機械の数値制御|publisher=[[日刊工業新聞社]]|year=1960}} |
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*{{Cite book|和書|author=研野和人、稲葉清右衛門 共著|series=機械工学全書106|title=数値制御工作機械|publisher=[[ラジオ技術社]]|year=1967}} |
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'''共著・編著''' |
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*{{Cite book|和書|author=研野和人、稲葉清右衛門 共著|series=機械工学全書106|title=数値制御工作機械(増補版)|publisher=大河出版|year=1969|ASIN B000JA388M}} |
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*{{Cite book|和書|author=稲葉清右衛門 編著|series=電子工学進歩シリーズ1|title=産業計算制御|publisher=[[コロナ社]]|year=1970}} |
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;解説 |
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* 研野和人, 稲葉清右衛門 共著: 機械工学全書106 数値制御工作機械(増補版), [[大河出版]], (1969), ASIN B000JA388M |
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*{{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門|title=電子計算機による工作機械群の管理システム|journal=精密機械|volume=35|number=410|year=1969|pages=pp.195-198|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1933/35/410/35_410_195/_article/-char/ja/}} |
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* 稲葉清右衛門 編著: 電子工学進歩シリーズ1 産業計算制御, [[コロナ社]], (1970) |
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*{{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門|title=産業用ロボットの現状と将来|journal=計測と制御|volume=13|number=11|year=1974|url=https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=sicejl1962&noVol=13&noIssue=11&kijiCd=13_11_836&screenID=AF06S010}} |
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*{{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門|title= (研究開発をどう考えるかI)研究開発の狭い道|journal=精密機械|volume=46|number=1|year=1980|month=2|pages=pp.60-62|url=https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jjspe1933&noVol=46&noIssue=1&kijiCd=46_1_60&screenID=AF06S010}} |
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'''解説''' |
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*{{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門|title= (トップの視点)国際的競争力ファクトリーオートメーション|journal=オペレーションズ・リサーチ:経営の科学|volume=33|number=10|year=1988|pages=pp.492-493|url=http://ci.nii.ac.jp/naid/110001185751}} |
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* 稲葉清右衛門: [https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1933/35/410/35_410_195/_article/-char/ja/ 電子計算機による工作機械群の管理システム], 精密機械, Vol.35, No.410, (1969), pp.195-198. |
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==脚注== |
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* 稲葉清右衛門: [https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=sicejl1962&noVol=13&noIssue=11&kijiCd=13_11_836&screenID=AF06S010 産業用ロボットの現状と将来], 計測と制御, Vol.13, No.11, (1974) |
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;注釈 |
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* 稲葉清右衛門: [https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jjspe1933&noVol=46&noIssue=1&kijiCd=46_1_60&screenID=AF06S010 (研究開発をどう考えるかI)]研究開発の狭い道, 精密機械, Vol.46, No.1, (1980-02), pp.60-62. |
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{{Reflist|group="注"}} |
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* 稲葉清右衛門: [http://ci.nii.ac.jp/naid/110001185751 (トップの視点)国際的競争力ファクトリーオートメーション], オペレーションズ・リサーチ:経営の科学, Vol.33, No.10, (1988), pp.492-493. |
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;出典 |
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'''自伝''' |
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* [https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/70/3/70_3_303/_article/-char/ja/ 私の歩んできた道 第1回 『社会人として』], 精密工学会誌, Vol.70 , No.3, (2004), pp.303. |
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* [https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/70/4/70_4_483/_article/-char/ja/ 私が歩んできた道 第2回 『NCの開発』], 精密工学会誌, Vol.70, No.4, (2004), pp.483. |
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* [https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/70/4/70_4_483/_article/-char/ja/ 私が歩んできた道 第2回 『ファナックの創業』], 精密工学会誌, Vol.70, No.5, (2004), pp.618. |
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== 脚注 == |
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==参考文献== |
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*{{Cite book|和書|author=貫井健|title=黄色いロボット-富士通ファナックの軌跡-|publisher=読売新聞社|year=1982}} |
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== 関連項目 == |
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* {{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門|title=社会人として|series=私の歩んできた道 第1回|journal=精密工学会誌|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/70/3/70_3_303/_article/-char/ja/|volume=70|number=3|year=2004|pages=pp.303.}} |
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[[ファナック]]、[[数値制御]]、[[CNC]]、[[NC工作機械]]、[[産業用ロボット]]、[[ファクトリーオートメーション]] |
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*{{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門|title=NCの開発|series=私が歩んできた道 第2回|journal=精密工学会誌|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/70/4/70_4_483/_article/-char/ja/|volume=70|number=4|year=2004|pages=pp.483.}} |
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*{{Cite journal|和書|author=稲葉清右衛門|title=ファナックの創業|series=私が歩んできた道 第3回|journal=精密工学会誌|volume=70|number=5|year=2004|pages=pp.618.|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/70/5/70_5_618/_article/-char/ja/}} |
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== 外部リンク == |
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==関連項目== |
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:[[ファナック]]、[[数値制御]]、[[CNC]]、[[NC工作機械]]、[[産業用ロボット]]、[[ファクトリーオートメーション]] |
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==外部リンク== |
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*[http://kotobank.jp/word/%E7%A8%B2%E8%91%89%E6%B8%85%E5%8F%B3%E8%A1%9B%E9%96%80 稲葉清右衛門とは] - コトバンク |
*[http://kotobank.jp/word/%E7%A8%B2%E8%91%89%E6%B8%85%E5%8F%B3%E8%A1%9B%E9%96%80 稲葉清右衛門とは] - コトバンク |
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*[http://www.fanuc.co.jp/ ファナック株式会社] |
*[http://www.fanuc.co.jp/ ファナック株式会社] |
2014年2月26日 (水) 23:51時点における版
稲葉 清右衛門 | |
---|---|
生誕 | 1925年3月5日 |
国籍 | 日本 |
教育 | 東京帝国大学第二工学部精密工学科卒業 |
子供 | 稲葉善治(ファナック社長) |
業績 | |
専門分野 | 機械工学、制御工学 |
勤務先 | 富士通⇒富士通ファナック⇒ファナック |
プロジェクト | 電気油圧パルスモーター、NC装置、産業用ロボット |
受賞歴 |
紫綬褒章(1981年) J.F.Engelberger賞(1987年) 藍綬褒章(1990年) 勲二等瑞宝章(1995年) |
稲葉 清右衛門(いなば せいうえもん、1925年3月5日- )は、日本の技術者、実業家。ファナック相談役名誉会長、工学博士。茨城県筑西市出身。
富士通において電気油圧パルスモーターや数値制御器の研究開発に従事し、NC工作機械の黎明期に大きな足跡を残す。富士通の計算制御部から分離独立したファナックにおいては、経営者として同社をNC装置、産業用ロボットのトップメーカーとして育て上げた。社長退任後も代表取締役会長、相談役名誉会長として、同社の研究開発部門をリードした。
精密工学会会長、日本ロボット学会副会長、日本産業用ロボット工業会会長等を歴任し、NC関係の標準化活動にも実績がある。1987年エンゲルバーガー賞、紫綬褒章、藍綬褒章、勲二等瑞宝章。ブルガリアやルクセンブルク大公国からも勲章を受けている。
人物と業績
やり手のワンマン経営者として知られる[1]。高羅芳光(富士通の当時の社長)により富士通の計算制御部から分離独立されたファナックを、一代で工作機械のトップメーカーとして育て上げた[2]。NC(数値制御)装置の世界シェアは50%、国内シェアは75%であり、世界トップシェアである[3]。また、同社はメーカーとして驚異的な利益率の高さでも知られ、売上高経常利益率は44.83%(2008年3月期)にものぼる[4]。
「研究開発と企業経営は不可分」という考えを持つ[5]。社長になってからも、研究員に目標を与え、月に一回の社長主催の技術会議で報告をさせ、指導していた[6]。名誉会長になってからも、2013年まで経営本部長や研究本部長に着いていた[7]。直近の報道では、本社の相談役名誉会長の座からは退いてはいないものの、連結子会社を含めて、ファナックと名がつく国内7社の代表を退いたため、経営の第一線からは身を引いたのではないかと報じられている[7]。
技術者としてはNC工作機械の数値制御[8] [9]、電気油圧パルスモータ[10]、これらを活用した数値制御による連続切削[11]等に実績があり[12]、この分野の著書や記事も多い。日本ロボット学会副会長、精密工学会会長等を歴任。東京大学工学部において精密工学科(旧造兵学科)図書室の蔵書1万冊が処分されかけた際には、ファナック本社の書庫でそれを引き受けている[13]。
略歴
- 1946年:東京帝国大学第二工学部精密工学科(旧造兵学科)を卒業。
- 1946年:富士通信機製造(現富士通)入社、千葉県下館工場配属。
- 1965年7月:東京工業大学において、論文博士で工学博士号を取得。
- 1972年5月:富士通の計算制御部から、富士通の子会社として独立した富士通ファナック(現ファナック)設立。同社専務取締役に就任(富士通株式会社非常勤取締役兼任、1997年まで)。
- 1974年:同副社長就任。
- 1975年5月:同代表取締役社長就任。
- 1995年6月:同代表取締役会長。
- 2000年6月:同相談役名誉会長[14]。
- 2013年:同社経営本部長、研究本部長、及び子会社の取締役からはずれる[7]。
受賞・栄典
- 受賞
- 1974年:ジョセフマリージャカード賞
- 1977年:SMEエンジニアリングサイテーション賞、
- 1987年:J.F.エンゲルバーガー賞 技術開発賞[注 1]
- 1987年:M.ユージン・マーチャント・マニファクチャリングメダル
- 1992年:米国アカデミー外国会員に選任
- 2002年:日本ロボット学会 名誉顧問に選任[14][15]
- 2012年:忍野村名誉村民[16]
- 栄典
- 1977年:ブルガリア政府より第一級勲章
- 1981年:紫綬褒章
- 1981年:ルクセンブルク大公国よりロン・ド・シェーヌ勲章
- 1989年:ルクセンブルク大公国より勲二等メリット章
- 1990年:藍綬褒章
- 1995年:勲二等瑞宝章
社会的活動
- 日本機械学会(以下のようなNC工作機械の標準化に関する分科会で委員を歴任した。)
- 日本ロボット学会(初代 副会長:1983~1984年度)[21]
- 精密工学会(第27代 会長:1996~1997年度)[22]
- 日本ロボット工業会[23](旧 日本産業用ロボット工業会 会長[24])
- FA財団(評議員[25])
- 機械振興協会(技術研究所 運営委員会 委員[26])
家族
- 妻:望 - 清右衛門が富士通下館工場時代の昭和22年に結婚[27]。
- 長男:稲葉善治 - ファナック現社長。いすゞ自動車出身[1]。工学博士(東京大学)。
- 孫:稲葉清典 - 稲葉善治の長男で、ファナック現取締役[1]。2013年6月に35歳と最年少で同社取締役に就任した[28]。
著作
- 学位
- 『代数演算式、補間装置と電気油圧パルスモータを主体とする工作機械の連続切削数値制御系の研究』東京工業大学〈博士論文(乙第96号)〉、1965年7月 。授与年月日:昭和40年7月14日、学位:工学博士。
- 主著
- 『数値制御入門』日刊工業新聞社、1967年。
- 『やさしいNC読本』日本能率協会、1970年。
- 『新版 数値制御入門』日刊工業新聞社、1971年。
- 『ロボット時代を拓く―「黄色い城」からの挑戦』PHP研究所、1982年7月。
- 『黄色いロボット』日本工業新聞社〈大手町ブックス〉、1991年5月。ISBN 978-4819106108。
- 共著・編著
- 海輪利正、稲葉清右衛門 共著『工作機械の数値制御』日刊工業新聞社、1960年。
- 研野和人、稲葉清右衛門 共著『数値制御工作機械』ラジオ技術社〈機械工学全書106〉、1967年。
- 研野和人、稲葉清右衛門 共著『数値制御工作機械(増補版)』大河出版〈機械工学全書106〉、1969年。
- 稲葉清右衛門 編著『産業計算制御』コロナ社〈電子工学進歩シリーズ1〉、1970年。
- 解説
- 稲葉清右衛門「電子計算機による工作機械群の管理システム」『精密機械』第35巻第410号、1969年、pp.195-198。
- 稲葉清右衛門「産業用ロボットの現状と将来」『計測と制御』第13巻第11号、1974年。
- 稲葉清右衛門「(研究開発をどう考えるかI)研究開発の狭い道」『精密機械』第46巻第1号、1980年2月、pp.60-62。
- 稲葉清右衛門「(トップの視点)国際的競争力ファクトリーオートメーション」『オペレーションズ・リサーチ:経営の科学』第33巻第10号、1988年、pp.492-493。
脚注
- 注釈
- ^ ロボティクスに関する有名な賞。世界初の産業用ロボット「ユニメート」の商業化を実現させたJoseph F. Engelberger 博士の名前を冠している。4つの部門がある。
- 出典
- ^ a b c “事業リスクは露骨な世襲人事? あの世界のリーディングカンパニーに潜む懸念”. ビジネスジャーナル. (2013年7月10日) 2013年12月14日閲覧。
- ^ “【時代のリーダー】稲葉清右衛門・ファナック社長”. 日経ビジネス. (2009年2月18日) 2013年12月14日閲覧。
- ^ “ファナック、キーエンス……「利益率40%超」企業の秘密”. PRESIDENT. (2012年8月1日) 2013年12月14日閲覧。
- ^ “10年後も食える会社、消える会社【2】”. PRESIDENT. (2013年5月21日) 2013年12月14日閲覧。
- ^ 稲葉清右衛門「(研究開発をどう考えるかI)研究開発の狭い道」『精密機械』第46巻第1号、1980年2月、pp.60-62。
- ^ 稲葉清右衛門「(小特集:社内教育)メカトロニクス技術教育の実情」『日本機械学会誌』第90巻第820号、1987年3月、pp.310-312。
- ^ a b c “ファナック“大異変”カリスマついに引退 ベールに包まれた超優良企業で、創業以来の変化”. 東洋経済オンライン. (2013年12月22日) 2013年12月23日閲覧。
- ^ 稲葉清右衛門「パンチプレスの数値制御」『日本機械学会誌』第61巻第473号、1958年6月、pp.651-658。
- ^ 稲葉清右衛門、吉武智士、橋本至弘、小林堅吾「三次元フライス盤計算数値制御装置について」『自動制御』第8巻第2号、1961年、pp.100-109。
- ^ 稲葉清右衛門、伊藤康平、白藤良孝「電気-油圧式パルスモータ」『自動制御』第8巻第3号、1961年、pp.194-197。
- ^ 稲葉清右衛門、浜辺久米男、内田芳郎「数値制御によるタービン羽根の切削」『日本機械学会誌』第62巻第491号、1959年12月、pp.1746-1752。
- ^ 稲葉清右衛門「電気・油圧パルスモータを主体とする連続切削数値制御系の研究」『計測と制御』第5巻第3号、1966年、pp.161-173。
- ^ 高橋雄造「電気技術史研究の動向」『電気学会論文集』118A第7/8号、1998年、pp.753-758。
- ^ a b 「学会からのお知らせ 日本ロボット学会名誉会員のお知らせ」『日本ロボット学会誌』第20巻第4号、2002年、お知らせp.2。
- ^ 日本ロボット学会名誉員, 2014年1月5日閲覧
- ^ 「ファナック株式会社 創業者 工学博士 稲葉清右衛門名誉会長 忍野村名誉村民顕彰式典を開催いたしました」『広報おしの(2012年7月号)』2012年7月、p.2。
- ^ JIS数値制御工作機械の標準仕様に関する調査文科会「JIS数値制御工作機械の標準仕様に関する調査報告書」『日本機械学会誌』第73巻第613号、1970年2月、pp.213-215。
- ^ JIS数値制御工作機械の標準仕様に関する調査文科会「JIS数値制御工作機械の標準仕様に関する調査報告書」『日本機械学会誌』第74巻第627号、1971年4月、pp.418-421。
- ^ JIS NC用語分科会「数値制御工作機械用語」『日本機械学会誌』第75巻第648号、1972年12月、pp.1823-1824。
- ^ JIS NC旋盤分科会「日本工業規格(案)数値制御旋盤の試験および検査」『日本機械学会誌』第76巻第650号、1973年2月、pp.192-193。
- ^ “学会案内>組織>歴代理事会一覧”. 日本ロボット学会. 2014年1月5日閲覧。
- ^ “学会について>学会概要>歴代会長・副会長”. 精密工学会. 2014年1月5日閲覧。
- ^ 稲葉清右衛門「産業用ロボットの現状と将来」『計測と制御』第13巻第11号、1974年。
- ^ 貫井健『黄色いロボット』
- ^ “財団の概要”. 財団法人 FA財団. 2014年1月5日閲覧。
- ^ “事業概要・組織>技術研究所運営委員会委員名簿”. (財)機械振興協会. 2014年1月5日閲覧。
- ^ 「私の歩んできた道 第1回」『精密工学会誌』
- ^ “ファナック、35歳取締役を起用 名誉会長の孫”. 日本経済新聞. (2013年6月7日) 2013年12月14日閲覧。
参考文献
- 貫井健『黄色いロボット-富士通ファナックの軌跡-』読売新聞社、1982年。
- 稲葉清右衛門「社会人として」『精密工学会誌』第70巻第3号、2004年、pp.303.。
- 稲葉清右衛門「NCの開発」『精密工学会誌』第70巻第4号、2004年、pp.483.。
- 稲葉清右衛門「ファナックの創業」『精密工学会誌』第70巻第5号、2004年、pp.618.。