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マウンダー極小期の400年間における太陽黒点数の減小

マウンダー極小期 は、おおよそ1645年から1715年の、太陽黒点数が著しく減少した期間の名称で、 太陽天文学の研究者で、黒点現象の消失について過去の記録を研究したエドワード・マウンダー(1851-1928)の名前に因む。 

マウンダー極小期にあたる間の、とある30年間に、天文学者らによる黒点観測事例はたった50を数えるだけであった。 通常であれば個体数として約4.0×104~5.0×104程度が観測によって数えられるであろう期間である。

太陽黒点の観測記録

マウンダー極小期の1645年1715年の間は、通常の観測期間であれば 4.0×104~5.0×104という黒点個体数の合計がある筈のところ実に、5.0×101個という観測合計数にまで減っている。 1610年1681年までのそれぞれ10年毎に区切った期間での最小の極小観測数は、下記の通りである。

年代 黒点数
1610年 9
1620年 6
1630年 9
1640年 2
1650年 3
1660年 1
1670年 0
1680年 1

マウンダー極小期中でも、太陽黒点数の11年周期の変化は、太陽黒点の固体数の変化から読み取ることが出来る。 極大は1674年1684年1695年1705年1716年に観測された。 この期間中、太陽黒点活動は、太陽面の南半球に集中していた。 マウンダー極小期の終わる最後の11年周期は、例外的に北半球面にも現れたことが記録されている。


小氷期

マウンダー極小期は、中世における小氷期中頃の - 寒冷期 - の遠因と目され、この時期のヨーロッパ北米大陸、そしてその他の世界で、冬季の酷寒に耐え忍んだ。太陽黒点の活動低下と、寒冷化現象を結び付けられるかは現在も議論されている。 (地球温暖化を参照)

他の観測記録

マウンダー極小期における太陽活動の低下は、地球への宇宙線輻射量に影響を及ぼした。これは炭素14の生成量の変動を引き起こし、考古学で発掘物の年代を同定するために用いられる放射性炭素年代測定の結果を修正させることになった。


太陽活動の相関関係グラフ:太陽黒点数と地球外起源の放射性同位体生成量の変化

太陽活動は、ベリリウム10の生成量にも影響する。加えて宇宙起源放射性同位体のバリエーションも、太陽活動との相関性を示す。


他の歴史的な太陽黒点極小期は、直接の観測もしくは氷床コア中の炭素14と木の年輪の解析作業により見出された。 これらには シュペーラー極小期(1450年1540年頃)や、多少顕著さを欠くダルトン極小期(1790年1820年)などが含まれる。 その結果、過去8000年間に18の極小期があり、現在の太陽活動は、極小期の1/4を過ぎた時期にあることがわかった。


近年ある論文によれば、ジョン・フラムスティードの観測記録を分析し、マウンダー極小期の真最中である1666年から1700年に掛けては、太陽の自転が遅くなっていると指摘した。.[1]


マウンダー極小期におけるオーロラは、普段と変わらず観測されたという。詳細な分析は、ウィルフリート・シュローダー (en:Wilfried Schröder)により提出されている(1992)[2] and J. P. Legrand et al. (1992).[3]

加えて、マウンダー極小期についての基礎的論文Case studies on the Spörer, Maunder and Dalton Minima. がある。 [4]

関連項目

外部リンク

  1. ^ Vaquero J.M., Sánchez-bajo F., Gallego M.C. (2002). “A Measure of the Solar Rotation During the Maunder Minimum”. Solar Physics 207 (2): 219. doi:10.1023/A:1016262813525. 
  2. ^ Schröder, Wilfried (1992). “On the existence of the 11-year cycle in solar and auroral activity before and during the so-called Maunder Minimum”. Journal of Geomagnetism and Geoelectricity 44 (2): 119–128. ISSN 00221392. 
  3. ^ Legrand, J. P.; Le Goff, M.; Mazaudier, C.; Schröder, W. (1992). “Solar and auroral activities during the seventeenth century”. Acata Geophysics and Geodetica Hungarica 27 (2–4): 251–282. 
  4. ^ Schröder, Wilfried (2005). Case studies on the Spörer, Maunder, and Dalton minima. Beiträge zur Geschichte der Geophysik und Kosmischen Physik. 6. Potsdam: AKGGP, Science Edition 

参考文献

  • Luterbach, J.; et al. (2001). “The Late Maunder Minimum (1675–1715) – A Key Period for Studying Decadal Scale Climatic Change in Europe”. Climatic Change 49 (4): 441–462. doi:10.1023/A:1010667524422. 
  • Willie Wei-Hock Soon; Yaskell, Steven H. (2003). The Maunder minimum and the variable sun-earth connection. River Edge, NJ: World Scientific. pp. 278. ISBN 9812382755