コンテンツにスキップ

聖母子と聖人たち (ジョヴァンニ・ディ・パオロ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『聖母子と聖人たち』
イタリア語: Madonna col Bambino e santi
英語: Madonna and Child with Saints
作者ジョヴァンニ・ディ・パオロ
製作年1445年
種類板にテンペラ
寸法247 cm × 212 cm (97 in × 83 in)
所蔵ウフィツィ美術館フィレンツェ

聖母子と聖人たち』(せいぼしとせいじんたち、: Madonna col Bambino e santi: Madonna and Child with Saints)は、イタリアシエナ派の国際ゴシック様式の画家ジョヴァンニ・ディ・パオロが板上にテンペラで制作した祭壇画で、画家の署名と1445年の制作年が記されている[1][2]。作品は1904年にフィレンツェウフィツィ美術館に収蔵された後、1954年にはいったんパラティーナ美術館に移されたが、1955年にウフィツィ美術館に戻され[1]、現在も同美術館に展示されている[1][2][3]。なお、17世紀の記録文書によると、祭壇画には本来、「創世記」の物語と「最後の審判」を表した裾絵 (predella) があり、その裾絵の中では現在、ニューヨークメトロポリタン美術館にある『天地創造と楽園追放[4][5]と『楽園[6]が知られている[3]

作品[編集]

美術史家ジョン・ポープ=ヘネシー英語版は、この祭壇画をシエナのサン・ドメニコ教会英語版内のグエルフィ (Guelfi) 家礼拝堂のために制作された[3]祭壇画であると特定した[6]。しかし、2002年にドイツの美術史家インゲボルク・ベアが祭壇画は当初、聖ドミニクスと副次的に聖ペテロ聖パウロに献じられた礼拝堂に設置され、後にグエルフィ家礼拝堂に移動されたことを明らかにした[6]。祭壇画はおそらく教会財産の没収にいたるまで、グエルフィ家礼拝堂にあったと思われる。

この作品は、ジョヴァンニ・ディ・パオロの作品中フィレンツェにある唯一の作品である。伝統的な形式の大きな金地祭壇画の中央パネルには天使たちの間の聖母子が描かれ、左側の2枚の側面パネルには聖ドミニクスと聖ペテロが、右側の2枚の側面パネルには洗礼者ヨハネ聖トマス・アクィナスが描かれている[2]。衣服の優美な襞づけ、花の咲く草むら、引き伸ばされた身体像に加え、祭壇画の形式自体に国際ゴシック様式の影響が明らかである[3]

ジョヴァンニ・ディ・パオロは、彼より少し年長のサセッタジェンティーレ・ダ・ファブリアーノの作品に触発されている[3]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c Madonna col Bambino e santi”. ウフィツィ美術館非公式サイト (英語). 2024年6月19日閲覧。
  2. ^ a b c ルチャーノ・ベルティ、27頁。
  3. ^ a b c d e Madonna and Child Enthroned with Saints 1445, Giovanni di Paolo”. Friends of the Uffizi Galleryサイト (英語). 2024年6月19日閲覧。
  4. ^ メトロポリタン美術館ガイド 2012年、337頁。
  5. ^ The Creation of the World and the Expulsion from Paradise”. メトロポリタン美術館公式サイト (日本語). 2024年6月19日閲覧。
  6. ^ a b c メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年、2021年、40頁。

参考文献[編集]

  • ルチャーノ・ベルティ『ウフィツィ』、ベコッチ出版社 ISBN 88-8200-0230
  • マーク・ポリゾッティ発行人兼編集責任者『メトロポリタン美術館ガイド』、メトロポリタン美術館、2012年刊行 ISBN 978-4-904206-20-1
  • 『メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年』、国立新美術館メトロポリタン美術館日本経済新聞社テレビ東京BSテレビ東京、2021年刊行、ISBN 978-4-907243-20-3
  • Gloria Fossi, Uffizi, Giunti, Firenze 2004. ISBN 88-09-03675-1

外部リンク[編集]