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短周期彗星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
彗星
離心率と公転周期による分類
e < 1 周期彗星 短周期彗星 短周期彗星 P < 200
長周期彗星 長周期彗星 P ≧ 200
e ≧ 1 非周期彗星 非周期彗星  
特徴的な彗星 大彗星
サングレーザークロイツ群
成因上の関連 彗星・小惑星遷移天体
地球近傍天体
太陽系外縁天体
分類上の関連 太陽系小天体小惑星
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ハレー彗星 (1P)。公転周期77.6年の短周期彗星。

短周期彗星(たんしゅうきすいせい、short-period comet)は、公転周期が200未満の周期彗星である。これに対し、公転周期が200年以上の彗星を、長周期彗星という。国際天文学連合(IAU)に番号登録されているほとんどの周期彗星が短周期彗星である。

彗星の軌道は不安定で、その度合いは周期が長いほど強くなる。そこで、周期200年を恣意的な境界に定め、軌道が比較的安定している短周期彗星と、かなり不安定な長周期彗星を分けている。

公転周期200年は、軌道長半径34.20 AUにあたる。つまり、短周期彗星は軌道長半径34.20 AU未満の周期彗星であると言ってもいい。なお、公転周期200年、軌道長半径34.20 AUは、海王星(165年、30.11 AU)と冥王星(250年、39.54 AU)の間である。ただし、彗星は軌道離心率が大きいので、離心率が1に近かった場合、遠日点距離は最大68.40 AUになり、エッジワース・カイパーベルト (約30~50 AU) をかなり越える。

逆に、最も周期が短い短周期彗星は、エンケ彗星 (2P)(周期3.30年)である。

彗星の命名規則では、短周期彗星の符号はP/(または数字のついたnnP/)で始まる。たとえば、ハレー彗星 (1P)、シューメーカー・レヴィ第1彗星 (P/1990 V1)。それに対し、長周期彗星はC/で始まる。ただし、番号登録周期彗星、つまり、2回の回帰(またはケンタウルス族なら4回の)が観測された彗星は、長周期彗星であってもnnP/で始まる。それに当てはまるのは池谷・張彗星 (153P)(周期367年)の1つである。

2006年8月現在、番号登録された短周期彗星が177個(池谷・張彗星以外の全て)、それ以外の短周期彗星が約164個、計約341個の短周期彗星が発見されている。ただし、すでに消滅したり、行方不明になっているものがいくつかある。

短周期彗星は、エッジワース・カイパーベルトからやってくると推測されている。それに対して、長周期彗星は、オールトの雲からやってくると推測されている。

一般に、短周期彗星は発見前を含めれば何十回・何百回となく回帰しているため、大半の揮発成分が失われてしまい、大彗星は少ない。明るく輝く大彗星は、ほとんどが長周期彗星である。

短周期彗星の中には、遠日点が、木星土星天王星、海王星軌道のすぐ外側にあるものが、多数ある。これらは、それぞれの惑星の重力で、より周期が長い軌道から現在の軌道に変化したと思われる。それぞれ、木星族彗星、土星族彗星、天王星族彗星、海王星族彗星という。ただし、木星族彗星以外は、惑星からそれほど強い重力を受けるわけではなく、分類を疑問視する声もある。木星族彗星は、頻繁に木星に接近するため、軌道が不安定なことが多い。