「霊歌」の版間の差分
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[[Image:Methodist camp meeting (1819 engraving).jpg|thumb|right|250px|[[メソジスト]]の野外礼拝(1819年)]] |
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霊歌は、西洋の[[賛美歌]]より広い意味で使われており<ref name="桜井">[https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/10970/1/ronso1090300010.pdf 黒人霊歌とその起源論争] 桜井雅人</ref>、霊歌を賛美歌に含める考えと、賛美歌としては取り扱わない考えとがある。黒人霊歌は「[[ゴスペル (音楽)|ゴスペル]]」よりも歴史が古く、南部在住者と、南部から[[シカゴ]]などの北部へ移住した者によって歌われた<ref>[https://kotobank.jp/word/%E9%BB%92%E4%BA%BA%E9%9C%8A%E6%AD%8C-64065 黒人霊歌 こくじんれいか black spirituals - コトバンク・ブリタニカ] および [https://kotobank.jp/word/%E3%82%B4%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%82%B0-64919#E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.E3.83.9E.E3.82.A4.E3.83.9A.E3.83.87.E3.82.A3.E3.82.A2 ゴスペル・ソング gospel song の(2)-コトバンク・ブリタニカ]。</ref> |
霊歌は、西洋の[[賛美歌]]より広い意味で使われており<ref name="桜井">[https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/10970/1/ronso1090300010.pdf 黒人霊歌とその起源論争] 桜井雅人</ref>、霊歌を賛美歌に含める考えと、賛美歌としては取り扱わない考えとがある。黒人霊歌は「[[ゴスペル (音楽)|ゴスペル]]」よりも歴史が古い。作曲者としては、古くはイギリスの白人聖職者、ドクター・アイザック・ワッツ<ref>「R&B・ソウルの世界」p.278</ref>や、後には「スウィング・ロウ・スウィート・チャリオット」を作曲したWallis Willisらが知られている<ref>http://www.loc.gov/item/ihas.200197495/</ref>。黒人霊歌は南部在住者と、南部から[[シカゴ]]などの北部の都市部へ移住した者によって歌われた<ref>[https://kotobank.jp/word/%E9%BB%92%E4%BA%BA%E9%9C%8A%E6%AD%8C-64065 黒人霊歌 こくじんれいか black spirituals - コトバンク・ブリタニカ] および [https://kotobank.jp/word/%E3%82%B4%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%82%B0-64919#E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.E3.83.9E.E3.82.A4.E3.83.9A.E3.83.87.E3.82.A3.E3.82.A2 ゴスペル・ソング gospel song の(2)-コトバンク・ブリタニカ]。</ref> |
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霊歌は、新約聖書の「[[エフェソの信徒への手紙]]」(エペソ人への手紙)、「[[コロサイの信徒への手紙]]」(コロサイ人への手紙)にある「霊の歌」(spiritual song)に由来する。 |
霊歌は、新約聖書の「[[エフェソの信徒への手紙]]」(エペソ人への手紙)、「[[コロサイの信徒への手紙]]」(コロサイ人への手紙)にある「霊の歌」(spiritual song)に由来する。 |
2019年7月26日 (金) 04:03時点における版
霊歌(れいか)、スピリチュアル(英: spiritual)は、アメリカの黒人奴隷にキリスト教が広まり、白人の讃美歌などの宗教歌、協会音楽、クラシック音楽と、アフリカ黒人の音楽的感性が融合して生まれた黒人霊歌を指す場合が多い。黒人霊歌よりもゴスペル音楽の方が、よりアフリカ黒人の音楽性が強く表現されている。黒人霊歌は黒人が関与した(と考えられる)宗教的な歌を指している。アメリカの霊歌には黒人霊歌以外に、プロテスタントの宗教歌を起源とする白人霊歌(ホワイト・スピリチュアル)があり[1]、黒人霊歌・白人霊歌は英語の歌である。もう一つペンシルヴェニア・ダッチ(ドイツ語方言)などがある[2]。
概要:由来
霊歌は、西洋の賛美歌より広い意味で使われており[2]、霊歌を賛美歌に含める考えと、賛美歌としては取り扱わない考えとがある。黒人霊歌は「ゴスペル」よりも歴史が古い。作曲者としては、古くはイギリスの白人聖職者、ドクター・アイザック・ワッツ[3]や、後には「スウィング・ロウ・スウィート・チャリオット」を作曲したWallis Willisらが知られている[4]。黒人霊歌は南部在住者と、南部からシカゴなどの北部の都市部へ移住した者によって歌われた[5]
霊歌は、新約聖書の「エフェソの信徒への手紙」(エペソ人への手紙)、「コロサイの信徒への手紙」(コロサイ人への手紙)にある「霊の歌」(spiritual song)に由来する。
そこで、あなたがたの歩きかたによく注意して、賢くない者のようにではなく、賢い者のように歩き、今の時を生かして用いなさい。今は悪い時代なのである。だから、愚かな者にならないで、主の御旨がなんであるかを悟りなさい。酒に酔ってはいけない。それは乱行のもとである。むしろ御霊に満たされて、詩とさんびと霊の歌とをもって語り合い、主にむかって心からさんびの歌をうたいなさい。 — エペソ人への手紙(口語訳)
キリストの平和が、あなたがたの心を支配するようにしなさい。あなたがたが召されて一体となったのは、このためでもある。いつも感謝していなさい。キリストの言葉を、あなたがたのうちに豊かに宿らせなさい。そして、知恵をつくして互に教えまた訓戒し、詩とさんびと霊の歌とによって、感謝して心から神をほめたたえなさい。 — コロサイ人への手紙(口語訳)
「spiritual song」は、伝統的に教会で使われた詩編歌や賛美歌のテキストと区別するために、18~19世紀半ばの讃美歌集で使われた[2]。これらは民謡ではなく、白人・黒人の区別もしていない[2]。また19世紀初頭には、野外礼拝用讃美歌も「spiritual song」と呼ばれるようになった[2]。
現在のように「spiritual」が、賛歌、黒人霊歌を指すようになったのは、明確にはわからないが南北戦争後のことであり、それまでは(それ以降もしばしば)、アンセム、賛美歌、霊の歌、ジュビリー・ソング、奴隷の歌、奴隷小屋・プランテーションの歌、ゴスペル、ニグロ・メロディー、プランテーション讃美歌など様々に呼ばれた[2]。1960年代には、黒人霊歌を指す言葉として、spiritualが一般的になった[2]。歌集の標題にspiritual songではなくspiritualを用いた本は、ジョンソン兄弟の『アメリカ黒人霊歌集』(1925年)が最初である[2]。
詳細
フィールドハラー・ミュージックは、Levee Camp Holler・ミュージックとも呼ばれ、19世紀に記述された、初期のアフリカ系アメリカ人音楽である。 野外奉仕者たちはブルース、スピリチュアル、そして後にリズムとブルースの基礎を築いた。 フィールドホルダー、叫び声と奴隷の所有者、そして後には綿花畑の農作業者、刑務所のチェーン・ギャング、鉄道労働者、ターペンタイン・キャンプなどで働くクロッパーは、アフリカ人が多かった。
黒人霊歌
黒人霊歌は、アフリカ大陸からアメリカ大陸に強制連行され、奴隷状態に置かれた黒人たちから生まれた。生活の中で育まれ口頭で伝えられる歌、すなわち民謡であった[2]。
現在黒人霊歌と呼ばれるものはそれほど均質ではなく、黒人霊歌とそれ以外の歌の区別は明瞭ではない[2]。
歌集やアルバムには、奴隷制以後の芸術歌謡やゴスペルと重複する歌もあり、「黒人が関与した(と考えられる)宗教的な歌」という共通点が読みとれる[2]。名称が規定している民族性(アフロ・アメリカン)と宗教性(キリスト教)が共通する特徴として挙げられる。成立の時期・条件として奴隷制度を重視するなら、「奴隷の歌」または「プランテーション・ソング」の一種とされ、そのように呼ばれてきた[2]。
黒人霊歌の起源は、アフリカ民謡を起源のひとつとする説、白人の民間宗教歌が黒人に影響を与えて発生したという白人音楽起源論などが、激しい論争を繰り広げてきたが、アフリカとアメリカ南部白人文化両方の影響があると考えられている[6]。
黒人霊歌はかつて「Negro Spirituals(ニグロ・スピリチュアル)」と呼ばれていたが、黒人を指す「Negro(ニグロ)」という言葉に差別的な意味を持つようになった現在では、単に「Spirituals」あるいは、「African-American Spirituals」と呼ばれる。
主なシンガー/グループ
- ポール・ロブソン
- ロジェ・ワーグナー合唱団
著名な霊歌
「黒人霊歌」
- 「スウィング・ロー、スウィート・チャリオット」(Swing Low, Sweet Chariot)
- 「行け、モーセ」(Go Down Moses)
- 「アメイジング・グレイス」(Amazing Grace)
- 「漕げよマイケル」(Michael Row the Boat Ashore)
- 「ザット・オーフル・デイ・ウィル・シュアリー・カム」
- 「深き河」(Deep River)
- 「聖者の行進」(When the Saints Go Marching In)
- 「ジェリコの戦い」(Joshua Fit The Battle Of Jericho)
- 「Tone duh bell easy(鐘の音よ安らかに)」(In My Time of Dying)
「白人霊歌」
出典/脚注
- ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 スピリチュアル
- ^ a b c d e f g h i j k l 黒人霊歌とその起源論争 桜井雅人
- ^ 「R&B・ソウルの世界」p.278
- ^ http://www.loc.gov/item/ihas.200197495/
- ^ 黒人霊歌 こくじんれいか black spirituals - コトバンク・ブリタニカ および ゴスペル・ソング gospel song の(2)-コトバンク・ブリタニカ。
- ^ 歌はどこから - 黒人霊歌資料にアメリカの意識を追う - ウェルズ恵子
参考文献
- 東理夫『アメリカは歌う。――歌に秘められた、アメリカの謎』作品社、2010年。
関連項目
- スピリチュアル
- 聖歌 / ゴスペル (音楽) / 讃美歌
- 労働歌
- ブラックミュージック / ブルース / ジャズ
- アメリカ合衆国の奴隷制度の歴史
外部リンク
- 黒人霊歌とその起源論争 桜井雅人
- 歌はどこから - 黒人霊歌資料にアメリカの意識を追う - ウェルズ恵子