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'''残響室'''(ざんきょうしつ)は、壁面などの音の吸収を抑え、長い残響が生じるように設計された室音響実験室<ref name="kb1">{{kotobank|残響室|世界大百科事典 第2版}}</ref>
'''残響室'''(ざんきょうしつ)は、音場 (sound field) の拡散、ないし、ラダムな発生を生み出すようにすなわち、短時間のうちに画一的な音響エネギーが与えられ、ランダムな方向への音の発生が生じるように、設計された部屋。残響室は比較的大きな部屋にながちであるが、これによって音場は広がり音波の経路は長くり、また露出した壁面の表面は大変硬くできている。硬い壁面によって生じる、[[インピーダンス整合#音響インピーダンス|音響インピーダンス]]の空気に対しての変化が大きいため、壁面に達する音響エネルギーのほとんど全てが室内に跳ね返される。室内の壁面を天井も含めて調整し平行な面を作らないようにすることで、[[定常波]]が生じないよう工夫されており、さらに、より反響を生じやす壁面を生み出すために、音響を拡散させる仕掛け ([[:en:Diffusion (acoustics)|diffusers]]) が施されたり、さらに特定の音場が強調されることもある。


残響室は、音場 (sound field) の拡散、ないし、ランダムな発生を生み出すように、すなわち、短時間のうちに画一的な音響エネルギーが与えられ、ランダムな方向への音の発生が生じるように、設計された部屋であり、比較的大きな部屋になりがちであるが、これによって音場は広がり音波の経路は長くなる。また、露出した壁面の表面は
残響室は、音響に用いられるだけでなく、[[古典電磁気学|電気力学]]でも用いられ、例えば、{{仮リンク|マイクのキャリブレーション|en|Measurement microphone calibration}}、音源の{{仮リンク|音響出力|en|Suond power}}の計測、素材の[[吸収係数]]の計測などに使われる。こうした様々な技術的試験において、残響室の音場は拡散的なものであることが想定されており、通常は広帯域の音源である[[ホワイトノイズ]]や[[ピンクノイズ]]が用いられ、[[聴覚#可聴域|可聴域]]の全体にわたって音響エネルギーが存在する音場が得られる。
[[コクリート]]や[[タイ]]貼りなど<ref name="kb1" />、大変硬くできている。硬い壁面によって生じる、[[インピーダンス整合#音響インピーダンス|音響インピーダンス]]の空気に対しての変化が大きいため、壁面に達する音響エネルギーのほとんど全てが室内に跳ね返される。室内の壁面を天井も含めて調整し平行な面を作らないようにすることで、[[定常波]]が生じないよう工夫されており、さらに、より反響を生じやす壁面を生み出すために、音響を拡散させる仕掛け ([[:en:Diffusion (acoustics)|diffusers]]) が施されたり、さらに特定の音場が強調されることもある。

残響室はおもに、建築物の内装用素材などの[[吸収係数]]や、スピーカーの音の放射効率の計測といった[[音響学]]的実験に用いられる<ref name="kb1" />。また、自動車などの遮音性能を調べたり<ref>{{kotobank|残響室|デジタル大辞泉}}</ref>、二つの残響室を開口部でつないでそこに遮音物を設置してその遮音特性を計測することもある<ref name="kb1" />。

また、音響に用いられるだけでなく、[[古典電磁気学|電気力学]]でも用いられ、例えば、{{仮リンク|マイクのキャリブレーション|en|Measurement microphone calibration}}、音源の{{仮リンク|音響出力|en|Suond power}}の計測などに使われる。こうした様々な技術的試験において、残響室の音場は拡散的なものであることが想定されており、通常は広帯域の音源である[[ホワイトノイズ]]や[[ピンクノイズ]]が用いられ、[[聴覚#可聴域|可聴域]]の全体にわたって音響エネルギーが存在する音場が得られる。


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2017年6月22日 (木) 22:02時点における版

残響室(ざんきょうしつ)は、壁面などの音の吸収を抑え、長い残響が生じるように設計された室音響実験室[1]

残響室は、音場 (sound field) の拡散、ないし、ランダムな発生を生み出すように、すなわち、短時間のうちに画一的な音響エネルギーが与えられ、ランダムな方向への音の発生が生じるように、設計された部屋であり、比較的大きな部屋になりがちであるが、これによって音場は広がり音波の経路は長くなる。また、露出した壁面の表面は コンクリートや、タイル貼りなど[1]、大変硬くできている。硬い壁面によって生じる、音響インピーダンスの空気に対しての変化が大きいため、壁面に達する音響エネルギーのほとんど全てが室内に跳ね返される。室内の壁面を天井も含めて調整し平行な面を作らないようにすることで、定常波が生じないよう工夫されており、さらに、より反響を生じやす壁面を生み出すために、音響を拡散させる仕掛け (diffusers) が施されたり、さらに特定の音場が強調されることもある。

残響室はおもに、建築物の内装用素材などの吸収係数や、スピーカーの音の放射効率の計測といった音響学的実験に用いられる[1]。また、自動車などの遮音性能を調べたり[2]、二つの残響室を開口部でつないでそこに遮音物を設置してその遮音特性を計測することもある[1]

また、音響に用いられるだけでなく、電気力学でも用いられ、例えば、マイクのキャリブレーション英語版、音源の音響出力英語版の計測などに使われる。こうした様々な技術的試験において、残響室の音場は拡散的なものであることが想定されており、通常は広帯域の音源であるホワイトノイズピンクノイズが用いられ、可聴域の全体にわたって音響エネルギーが存在する音場が得られる。

脚注

  1. ^ a b c d 世界大百科事典 第2版『残響室』 - コトバンク
  2. ^ デジタル大辞泉『残響室』 - コトバンク

関連項目

参考文献

外部リンク