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2013年3月13日 (水) 23:15時点における版

カレイ
プレイス Pleuronectes platessa
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱 : 魚上綱 Pisciformes
: 硬骨魚綱 Osteichthyes
: カレイ目 Pleuronectiformes
: カレイ科 Pleuronectidae
英名
Righteye flounder
属・種

(本文参照)

砂底に隠れるイシガレイ

カレイ(鰈)は、カレイ目 カレイ科に分類される魚類の総称である。

概要

平たい体をしており、目が体の右側の面に2つともある特徴的な形態をしている。北極海太平洋インド洋大西洋の沿岸の浅い海から水深 1000 m の深海までに生息する海水魚。世界で100種ほどが知られる。汽水に生息する種もいる。日本近海で獲れるものでは、マガレイ、マコガレイ、ババガレイ(ナメタガレイ)、ホシガレイ、メイタガレイ、アカガレイ、イシガレイ、オヒョウなど数十種が含まれる。

カレイは仏語ではリマンド (limande)。英語では、カレイ、ヒラメシタビラメなどカレイ目の魚を "flatfish" と総称する。そのうち、カレイ、ヒラメは "flounder" と呼び、体の右側に目が寄っているカレイ科などの魚を、"righteye flounder"、ヒラメ科、ダルマガレイ科などの目が左側に寄っているものを "lefteye flounder" と呼ぶ。カレイ科のうち、オヒョウ類を特に "halibut" と呼ぶが、その区別はあいまいである。

砂や泥の海底に生息する。体は平たく、両目は、ヌマガレイなどの一部の例外を除き、原則として体の右側の面に集まっている。ヒラメ類では、目は体の左側側面に集まる。両目のある側を上にして海底に横向きになり、砂や泥に潜るなどして潜む。体の目のある側は黒褐色~褐色。特有の斑点を持つものもある。この体色は体表にたくさん散らばっている色素細胞である黒色素胞(メラノフォア)の大きさを変えることにより、周囲の環境に合わせて変えることができ、保護色となる。両目のない側は白色。背ビレと尻ビレが長く、背ビレは頭部からはじまり尾ビレの根元まで、尻ビレは、頭部のそばにある小さな腹ビレから尾ビレの根元まで続く。
主に肉食性で、小魚や海底の無脊椎動物を食べるが、同じような容姿でフィッシュイーターであるヒラメとは異なり捕食行動はやや大雑把である。そのため、ヒラメ釣りでは生き餌の小魚や俊敏な動きのルアーを用いるのに対し、カレイ釣りではゴカイ・イソメのほか鈍重な動きのワームを用いる。

幼生は目が普通の魚と同様に左右に分かれて付いており、体も平たくない。成長とともに変態し、目がだんだんと右側に移動していき、体が平たくなり、また浮き袋がなくなり底生の成体となる。カレイは概して長寿命で、ヨーロッパ産の1種 プレイス (European plaice) で50年、オヒョウで40年などの記録がある。

カレイは寿命が長い分、成長が遅く、大きく育てるには長い年月が必要であるため、養殖に適しているとは言いがたい。そのため出荷サイズまでの養殖は行われていないが、親魚から採取した卵を孵化させ、稚魚になるまで育ててから放流する試みが行われ、種類によっては一定の成果を得ている。

  • マツカワなどは近年養殖が行われている。[1]

食材

白身が美味で、食用にする。日本では、刺身寿司煮付け焼き物揚げ物などさまざまな料理に用いられる。また冬のカレイ、特に産卵前の時期のメスは大きな卵巣をもっており、子持ちガレイと呼ばれ、甘辛く煮付けたものが日本の冬の味覚として好まれる。干物、特に一夜干しもよく行われる。多くの魚が頭を左に配膳するのに対し、頭を右に配膳する珍しい魚でもある。

  • 京都では福井県若狭地方で水揚げされて一夜干しにされた笹かれいが、京都を代表する食材の一つとなっている。
  • ヨーロッパではツノガレイの一種プレイス "plaice" が、北アメリカではアメリカンプレイスと呼ばれるアカガレイの一種が、よく食べられる。

陸揚げ漁港

  • 2002年度
第1位 - 浜田漁港島根県
第2位 - 松川浦漁港福島県
第3位 - 香住漁港兵庫県
第4位 - 八戸漁港青森県
第5位 - 境漁港鳥取県

カレイは、浜田市(島根県)の市の魚に指定され、「どんちっちかれいカレー」というレトルトカレーが発売された。

おもな種類

カレイ科に属する主な種は下記の通りである(属、種ともに一部)。

カレイ目には、カレイ科以外でも「~カレイ」の名で呼ばれる種は多い。ヒラメ科のアラメガレイ、テンジクガレイ、メガレイ、ダルマガレイ科のダルマガレイ、トゲダルマガレイ、コウベダルマガレイ、ヤリガレイなど。これらはヒラメを参照。

ツノガレイ属

学名 Pleuronectes

マガレイ*1
真鰈。学名 Psudopleuronectes herzensteini、英名 Littlemouth flounder
最大 50 cm ほどになる。他種より口が小さくとがっている。太平洋北西部。千島列島、樺太、沿海州から、黄海、渤海、朝鮮半島沿岸、日本沿岸、東シナ海中部まで分布。日本では北海道、本州沿岸、瀬戸内海など。水揚げ量が多い。
マコガレイ*1
真子鰈。学名 Pleuronectes yokohamae、英名 Marbled flounder
最大 45 cm 程度。太平洋北西部。北海道南岸以南の日本沿岸、瀬戸内海、朝鮮半島沿岸、黄海、渤海、東シナ海北部まで。水揚げ量が多い。
城下かれい」(しろしたかれい)はマコガレイの地方での呼び名で、大分県日出町沿岸で獲れるもののこと。特においしいとされ、高値で取引されるブランド魚である。
クロガレイ*1
黒鰈。学名 Pleuronectes obscurus
40 cm ほどになる。太平洋北西部。オホーツク海(千島列島、樺太、北海道オホーツク海沿岸)、日本海(沿海州から朝鮮半島東岸)、黄海まで。日本では北海道で獲れる。クロガシラガレイとよく似ており、区別せずに扱われることが多い。
クロガシラガレイ*1
黒頭鰈。学名 Pleuronectes schrenki、英名 Cresthead flounder
最大 50 cm ほどになる。太平洋北西部。千島列島、オホーツク海南部から、日本の北部の沿岸、日本海の朝鮮半島東岸まで。クロガシラとも呼ばれる。クロガレイとよく似ており、クロガレイと呼ばれることも多い。
アサバガレイ*2
浅羽鰈。学名 Pleuronectes mochigarei、英名 Dusky sole
40 cm ほど。太平洋北西部。オホーツク海南部から朝鮮半島、日本では本州北部の沿岸にかけて。マガレイ、マコガレイに似ている。
シュムシュガレイ*2
占守鰈。学名 Pleuronectes bilineatus、英名 Rock sole
最大 60 cmほど。北太平洋に広く分布する。日本海北部、朝鮮半島、オホーツク海、ベーリング海から、北アメリカのカリフォルニア沿岸まで。カナダなど北アメリカで漁獲量が多い。和名は千島列島の占守島から。
プレイス
ヨーロッパプレイスとも。学名 Pleuronectes platessa、英名 Plaice, European Plaice
最大 1 m になる。大西洋北東部。グリーンランド、ノルウェー南部から北アフリカのモロッコ沿岸まで。地中海のスペイン、フランス沿岸など。ヨーロッパで最も漁獲が多い種で、生あるいは冷凍で広く取り扱われている。内陸湖のアラル海に放流され、漁獲がある。
スナガレイ
砂鰈。学名 Pleuronectes punctatissimus、英名 Sand flounder
30 cm ほど。千島列島、オホーツク海南部から日本海北部(朝鮮半島、日本沿岸)にかけて分布。北海道、東北北部に水揚げされる。身が薄く、脂があまり乗らない。口が細長くとがっている。体高は高く体形が菱形。目のある側に砂粒のような細かい斑点がある。目のない側には背ビレ、尻ビレに沿って幅の広い黄色い帯がある。

*1 の種は、Pleuronectes とは別属の Pseudopleuronectes 属とする説が提唱されている。 *2 の種は、Pleuronectes とは別属の Lepidopsetta 属とする説が提唱されている。

アカガレイ属

学名 Hippoglossoides
体高が低く、片方の目が頭部の上端に寄っている。口が大きい。

アカガレイ
赤鰈。学名 Hippoglossoides dubius、英名 Flathead flounder
45 cmになる。太平洋北西部。オホーツク海、日本海などに分布。カムチャツカ半島から朝鮮半島、日本沿岸など。目のない側の体色が血がにじんだように赤みがかる。
ソウハチ
宗八。学名 Hippoglossoides pinetorum、英名 Pointhead flounder
太平洋北西部。日本北部の近海。

オヒョウ属

学名 Hippoglossus

オヒョウ
大鮃。学名 Hippoglossus stenolepis、英名 Pacific halibut
最大 2.5 m、350 kgに達する。北太平洋に広く分布する。北海道以北、オホーツク海、ベーリング海、チュクチ海の南部、カリフォルニア半島からメキシコ沿岸まで。カレイ科では最大の種類。またハリバッドという名前でも呼ばれておりゲームフィッシングのターゲットとされているらしい。

マツカワ属

学名 Verasper

マツカワ
松川、松皮。学名 Verasper moseri、英名 Barfin flounder
メスは、体長 80 cm、体重 6 kg になるものもある。太平洋北西部。日本の北部沿岸(太平洋側、日本海側)からオホーツク海南部、樺太、千島列島まで。目のある側の鱗が大きくざらざらしており、松の樹皮のようであることから。背ビレと尻ビレに黒い縞状の紋が入る。水揚げ量が減少している。北海道では、えりも以西海域マツカワ資源回復計画を策定し種苗放流等に取り組んでいる。これに関連し、えりも以西栽培漁業振興推進協議会では、この海域で水揚げされる本種を「王鰈」と名付けた。[1]また近年養殖も試みられている。[2]
ホシガレイ
星鰈。学名 Verasper variegatus、英名 Spotted halibut
60 cm。太平洋北西部。日本中部、朝鮮半島沿岸、東シナ海まで。比較的暖かい海のカレイ。背ビレと尻ビレに黒い縞状の紋が入る。目のない側の表面、尾ビレの根元などに黒い斑点がある。水揚げ量が減少しており、珍重される。

ババガレイ属

学名 Microstomus

ババガレイ(ナメタガレイ)
婆鰈。学名 Microstomus achne、英名 Slime flounder
60 cm になる。中部日本沿岸以北、千島列島南部、樺太、日本海、黄海、渤海、東シナ海に分布。体表が、粘液を多く分泌するためぬるぬるしており、滑多鰈の呼び名がある。煮付など。東北、北陸の一部などでは、年越しにババガレイを食べるため、年末に市場価格が数倍に跳ね上がる。

ヌマガレイ属

ヌマガレイ
30 cm。カレイ科に属する数少ない眼が左側にある種。汽水域や淡水にも入ることがあるのでこの和名がついている。

イシガレイ属

学名 Kareius

イシガレイ
石鰈。学名 Kareius bicoloratus、英名 Stone flounder
50 cm ほど。太平洋北西部。日本、千島列島、樺太、朝鮮半島、中国、台湾。沿岸の海域。河川や湖沼などの汽水、淡水域まで侵入する。目のある側の背ビレ、尻ビレの根元に沿うように、骨片の突起が並ぶ。分類は、ヌマガレイ属 (Platichthys) に含めることがある。

メイタガレイ属

学名 Pleuronichthys

メイタガレイ
学名 Pleuronichthys cornutus、英名 Ridged-eye flounder
30 cm。北海道以南の日本沿岸、朝鮮半島沿岸、黄海、渤海、東シナ海。目の間に棘があり、「目痛」が語源とされる。関西では「本メイタ」と呼ばれ特に人気がある。
ナガレメイタ
メイタガレイに非常に似た外見を持つが、味はかなり落ちる。関西では「化けメイタ」と呼ばれる。

ムシガレイ属

ムシガレイ
学名 Eopsetta grigorjewi、英名 Shotted halibut
40 cm。日本の太平洋岸、日本海、朝鮮半島、黄海、渤海、東シナ海。主に干物などに利用される。

ヤナギムシガレイ属

ヤナギムシガレイ
学名 Tanakius kitaharai、英名 Willowy flounder
30 cm。北海道以南の日本沿岸、朝鮮半島沿岸、黄海、渤海、東シナ海。干物に利用する。「若狭がれい」は若狭湾で獲れるヤナギムシガレイ。分類では、ヒレグロ属 (Glyptocephalus) に入れることがある。


語源

「かれい」は「唐鱏」または「涸れ鱏」の転訛とされる[3]。「鰈」の「枼」は葉に由来し薄いものの意[4]。王が魚を半分食べたところを水に放すと泳ぎだしたとの中国の故事から「王余魚」とも書く[5]。このほか「鰕魿」の漢字表記もある[5]

脚注

  1. ^ 日高の水産 まるごと情報館
  2. ^ 週刊水産新聞2007年02月26日付「マツカワ陸上養殖、1年で出荷」
  3. ^ フリーランス雑学ライダーズ編『あて字のおもしろ雑学』 p.51 1988年 永岡書店
  4. ^ フリーランス雑学ライダーズ編『あて字のおもしろ雑学』 p.51-52 1988年 永岡書店
  5. ^ a b フリーランス雑学ライダーズ編『あて字のおもしろ雑学』 p.52 1988年 永岡書店

関連項目