「ランダムウォーク」の版間の差分

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== 基本的性質 ==
== 基本的性質 ==
# 再帰性<div>1 または 2 次元の単純ランダムウォークは再帰的であり、3 次元以上のランダムウォークは過渡的である。</div>
# 再帰性<div>1 または 2 次元の単純ランダムウォークは再帰的であり、3 次元以上のランダムウォークは非再帰的である。<ref>[http://user.numazu-ct.ac.jp/~hmatsu/resume14.pdf ランダムウォーク]</ref><ref>[http://www7b.biglobe.ne.jp/~fukagawa/documents/randomwalk.pdf 電気回路とランダム・ウォーク]2002年3月17日 確率統計委員会・深川久(豊中高校)</ref></div>
# Donsker の定理の系<div>''X''<sub>''n''</sub> (''n'' = 0, 1, ...) を平均 0 かつ分散 1 の独立かつ同分布な 1 次元ランダムウォークとし、<div style="text-indent:1em"><math>S_t = S_n \mbox{ if } t = n , \mbox{ linear } \mbox{ if } n < t < n + 1 </math></div>で定義すると、各 ''t'' ≧ 0 に対して次が成立する。<div style="text-indent:1em"><math>P ( | \frac{S_{nt}}{\sqrt{n}} - B_t | < \varepsilon ) \rightarrow 0 \mbox{ for all } \varepsilon > 0 </math></div></div>
# Donsker の定理の系<div>''X''<sub>''n''</sub> (''n'' = 0, 1, ...) を平均 0 かつ分散 1 の独立かつ同分布な 1 次元ランダムウォークとし、<div style="text-indent:1em"><math>S_t = S_n \mbox{ if } t = n , \mbox{ linear } \mbox{ if } n < t < n + 1 </math></div>で定義すると、各 ''t'' ≧ 0 に対して次が成立する。<div style="text-indent:1em"><math>P ( | \frac{S_{nt}}{\sqrt{n}} - B_t | < \varepsilon ) \rightarrow 0 \mbox{ for all } \varepsilon > 0 </math></div></div>



2011年10月9日 (日) 05:15時点における版

2次元ランダムウォークの軌跡。

ランダムウォーク英語: random walk)は、次に現れる位置が確率的に無作為(ランダム)に決定される運動である。乱歩(らんぽ)、酔歩(すいほ)とも。グラフなどで視覚的に測定することで観測可能な現象で、このとき運動の様子は一見して不規則なものになる。

ブラウン運動と共に、統計力学量子力学数理ファイナンス等の具体的モデル化に盛んに応用される。

数学的定義

Xn (n = 1, 2, ...) を独立かつ同分布Rd確率変数族とする。この時、

を(d 次元)ランダムウォーク (d dimensional random walk, RW) という。

特に、XnZd 値であり、かつ、

は、第 j 成分が 1 の単位ベクトル)である時、Sn を(d 次元)単純ランダムウォーク (d dimensional simple random walk) という。

コイントスにおいて、コインを投げて「裏と表が出る確率」は、共に二分の一である。

数直線上の点について、コインを投げて表が出た場合に点を右(正の方向)に進め、裏が出た場合に点を左(負の方向)に進める試行(1次元のランダムウォーク)を無限回繰り返した場合に、点がある位置に存在する確率は正規分布で示される。

しかし、点が正の領域にいる時間の割合の分布は、の確率密度を持つ(負の領域にいる時間の割合は)。これはおよびで無限大に発散するグラフである。

すなわち、正・負のそれぞれの領域に半々ずつ点がいる確率よりも、どちらかの領域に多くいる確率の方がはるかに高い結果となる[1][2]

基本的性質

  1. 再帰性
    1 または 2 次元の単純ランダムウォークは再帰的であり、3 次元以上のランダムウォークは非再帰的である。[3][4]
  2. Donsker の定理の系
    Xn (n = 0, 1, ...) を平均 0 かつ分散 1 の独立かつ同分布な 1 次元ランダムウォークとし、
    で定義すると、各 t ≧ 0 に対して次が成立する。

応用

レビのダスト
宇宙空間の星の分布のモデルとして考えられた点の分布。点の進む方向をランダム、進行距離の分布が冪級数で与えられるようなランダムウォーク。
自己回避ランダムウォーク
軌跡が交差しないランダムウォーク。理論的な解析は困難。高分子の幾何学的構造、海岸線などのモデルとして利用されている。

脚注

  1. ^ ランダムウォークに関する話題から ―逆正弦法則について―小杉のぶ子(東京海洋大学 海洋工学部)
  2. ^ ”つき”の数理-逆正弦法則について大阪大学基礎工学研究科会田研究室
  3. ^ ランダムウォーク
  4. ^ 電気回路とランダム・ウォーク2002年3月17日 確率統計委員会・深川久(豊中高校)

関連項目