「後宮小説」の版間の差分
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: 後宮攻撃に際して反乱の中止を主張し、幻影達との関係に亀裂が入る。銀河が後宮軍軍使として反乱軍側に接触した際に対応し、銀河と双槐樹の再会を手助けしているばかりか、その後の宮女脱出の策略を行うなどをしている。 |
: 後宮攻撃に際して反乱の中止を主張し、幻影達との関係に亀裂が入る。銀河が後宮軍軍使として反乱軍側に接触した際に対応し、銀河と双槐樹の再会を手助けしているばかりか、その後の宮女脱出の策略を行うなどをしている。 |
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: 末路に関しては幻影達の刺客に殺害された、若しくは地方蜂起軍の杜辺の軍師である喃威になったと描写されている。 |
: 末路に関しては幻影達の刺客に殺害された、若しくは地方蜂起軍の杜辺の軍師である喃威になったと描写されている。 |
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; 渾沌(こんとん) |
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: 原名は厄駘。幻影達の義兄弟として作品に描写される。韜晦した性格でありながら、自らの正義を貫く性格でもあり、当初は退屈しのぎに挙兵した反乱であるが、王斉美という将軍に出会ったことで、その敵討ちとしての反乱を指導して行く。 |
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; 王斉美(おうさいび) |
; 王斉美(おうさいび) |
2009年2月9日 (月) 05:45時点における版
『後宮小説』(こうきゅうしょうせつ)は、中国風の架空の国である素乾国を舞台とした、酒見賢一のファンタジー小説。1989年のファンタジーノベル大賞を受賞した。酒見のデビュー作でもある。
中国哲学や中国史に依拠した独特の記述法は、『素乾書』・『乾史』・『素乾通鑑』に依拠して歴史事実を記載した小説という体裁を採用し、ファンタジーノベル大賞選考会では井上ひさしにより「シンデレラと三国志と金瓶梅とラスト・エンペラーの魅力を併せ有す、奇想天外な小説」と高く評価された。
あらすじ
17世紀、素乾国で腹宗の崩御に伴い即位する新皇帝の後宮整備が行われることになった。宮女募集が行われた緒蛇県で、14歳の銀河がこれに応募し、後宮の教育機関である女大学に学ぶこととなった。銀河を含む一行は都城である北師への旅が始まる。その道中で義賊で平勝と厄駘と出会うこととなり、これが後に物語の重要な複線となる。
北師に到着し、宮女としての教育を受けることになるが、天真爛漫であり、儒学の思想にとらわれない銀河は、仲間や師となる瀬戸角人と出会い、その中で奇抜な後宮哲学を学んでいくこととなる。
その時期、宮廷では新皇帝に即位した双槐樹に対し、異母弟である平菊を即位させようとという琴皇太后一派による皇帝暗殺計画が進められる。そのような状況の中、銀河は正妃として立后される。
宮廷内の陰謀が渦巻く中、銀河が北師に向かう道中で出会った平勝と厄駘が、退屈しのぎという理由で挙兵を行った。この反乱軍を利用して、平菊擁立を目指す琴皇太后は瀬戸角人の弟子である菊凶と通じ、反乱軍を宮廷に導こうとする動きが発生する。
渾沌(厄駘より改名)はこの琴皇太后の陰謀を退け、幻達影(平勝より改名)は北師攻撃を実行する。反乱軍を過大に評価した宮廷内では、もはや武力で反乱軍に対抗する術なく、後宮もその略奪対象として攻撃を受けることになる。
後宮を守るべく、銀河は宮女や宦官と協力し、幻達影の軍勢に対抗していくことになる。
主な登場人物
- 銀河(ぎんが)
- 本作の主人公である人物。天真爛漫な性格であり、儒学の規範に捉われない自由な発想で後宮での教育を受け、正妃としての地位を確立する。
- 作品の中では後好奇心旺盛な女の子として描かれている。
- 幻達影の乱でも中心的な役割を果たし、後に双槐樹の間に黒耀樹を設けた。
- 瀬戸角人(せと・かくーと)
- 素乾国西域に存在した西都国の王家末裔。後宮教育である『後宮七典』を編纂した父である瀬戸隆寛を継ぎ、後宮学司に就任した学者。『後宮七典』の内容を要約した『女大学』なる書籍を著し、それを元に銀河達に後宮に関する教育を担当した。
- 銀河に対し好意的な態度を採り、その後宮哲学の証明として銀河に自らの思う真理の成就を托している。
- 双槐樹(こりゅーん)
- 1608年(槐暦元年)6月、素乾国の皇帝に即位した人物。継母である琴皇太后の実子である平菊擁立の陰謀により暗殺の危険性があるために、即位以前は後宮などに身を隠していた。銀河が北師の到着し宮廷内に入る垂戸(たると)と称すトンネルの中で始めて両者が対面している。
- 幻達影の乱では王朝を守るべく奮闘するが、風紀の弛緩しきった中で対抗する術なく、最終的には幻達影により毒殺された。
- 江葉(こうよう)
- 女大学の宿舎である娥舎で銀河と同室となった女性。茅南州出身。沈着冷静な態度であり、後に才人となる。後宮軍の結成に際しては指揮官となっている。素乾朝滅亡後は銀河と共に茅南集に戻り、そこで銀河と双槐樹の間の子である後の黒耀樹の養育を行った。
- 世沙明(セシャーミン)
- 娥舎での銀河の同室人。貴族出身で古典的な教養を有す人物として描写される。官職は嬪妃。素乾国滅亡後は沚水で世明妓館を設け娘児(女将)になった。
- 玉遥樹(タミューン)
- 娥舎での銀河の同室人。双槐樹の実姉であるが、双槐樹に対する恋慕の情より娥舎に入った。その恋慕は銀河への嫉妬して描写される場面もある。双槐樹が幻影達に投降した際に同行し、反乱軍により姦淫された後に殺害されている。
- 琴皇太后(きん-こうたいごう)
- 先帝である腹宗正妃。実子である平菊を皇帝に擁立すべく双槐樹の殺害を謀り、幻影達の反乱に際しては密通するが、陰謀は失敗し、服毒自殺をする。
- 菊凶(きっきょう)
- 瀬戸角人の助手。艶かしい容貌により多くの宮女候補生の人気を有す。宮廷内の政治にも深く容喙し、琴皇太后と私通し平菊の皇帝擁立を策動し、更に多くの宦官をも篭絡して皇帝廃立に動く野心家である。幻影達の反乱に際しては密使として交渉に当るが、渾沌により斬首されている。
- 幻影達(イリューダ)
- 原名は平勝。瓜祭山で無頼者の首領をしていたが改心し、自警団を結成、北師に向かう銀河の一行を警備している。後に丙濘で発生した農民反乱鎮圧に協力し、山北州都司である磁武の婿養子となり、山北州都司侍郎の地位を得ている。その後退屈しのぎに挙兵、いつした玉座を望むようになり、最終的に素乾朝を滅亡させ新周朝を開いた。しかし簒奪王朝であったこともあり、その後発生した国内の反乱に対応できず、王朝は2年で滅亡、瓜祭に逃亡したところを地方蜂起軍に捕らえられ、刑死した。
- 渾沌(こんとん)
- 原名は厄駘。幻影達の義兄弟として作品に描写される。韜晦した性格でありながら、自らの正義を貫く性格でもあり、当初は退屈しのぎに挙兵した反乱であるが、王斉美という将軍に出会ったことで、その敵討ちとしての反乱を指導して行く。
- 後宮攻撃に際して反乱の中止を主張し、幻影達との関係に亀裂が入る。銀河が後宮軍軍使として反乱軍側に接触した際に対応し、銀河と双槐樹の再会を手助けしているばかりか、その後の宮女脱出の策略を行うなどをしている。
- 末路に関しては幻影達の刺客に殺害された、若しくは地方蜂起軍の杜辺の軍師である喃威になったと描写されている。
- 王斉美(おうさいび)
- 双槐樹の忠臣であり、瀬戸角人の師弟。幻影達の乱に際しては幻賊撫に任命された。正義派官僚であったことより、琴皇太后派である栖斗野や真野といった宦官により煙たがれ、刺客が放たれた。しかし渾沌は王斉美と戦う以前に投降、戦闘中の殺害が不可能となった刺客は北磐関で殺害されてしまう。渾沌は人物を見込まれた王斉美が殺害されたことで、反乱の性格を王斉美の仇討ちという性格に変化させていく。
書籍
- 後宮小説 (新潮社、19894月発行、ISBN 410128111)
- 第1回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品
テレビアニメ
テレビアニメであるため、設定などが大きく変更されている箇所もある。
小説内での設定
架空の史料
小説中で挙げられる史料は下記の通り。
- 『後宮七典』
- 『女大学』
- 『素乾書』
- 『乾史』
- 『素乾通鑑』(天山遯)
- 『素乾城の思い出』(エリサレム・ジャコメル著)
- 『箕松先生随文』巻3
架空の皇帝
小説中で名前の現れる素乾国の皇帝は下記の通り。
- 衒宗 - 腹宗の6代前
- 狄宗 - 腹宗の4代前
- 腹宗 - 双槐樹の父
- 槐宗 - 双槐樹
- 黒燿樹 - 銀河の子、後に乾朝を建国
架空の紀年法
小説中で使用される素乾国の元号は下記の通り。
- 腹英:1573年 - 1607年
- 槐暦:1608年
日本ファンタジーノベル大賞 | ||
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-回 -
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第1回 1989年回 『後宮小説』
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第2回 1990年回 受賞作品無
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