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2009年1月9日 (金) 10:58時点における版
ビデオCD(VCD)は、CD-ROMに動画や音声などを記録し、対応機器で再生するための規格。
概要
DVDがまだ登場していない1993年に、カラオケ業界や映画販売業界などからの「動画をCDに記録したい」という需要に答えるため、ビクターやソニーなどによって策定された。
ビデオCDの映像画質は「VHS(ノーマルVHS)の3倍モードと同程度」とされるが、VHSのアナログ形式と異なりデジタル形式で格納されているため、画像の劣化がVHSよりも極端に少ない、という特徴を持つ。特に、ジッターと呼ばれる映像の横揺れはほとんどなく、アナログビデオ特有の色むらなども少ない。プレーヤーとテレビをS端子やD端子などで接続すれば、スッキリとした映像で再生可能という特徴があるが、ビットレートが低いため、映像によっては、ブロックノイズが多発する場合もある。
DVDが普及する以前から、安価に製造できる点が香港やフィリピン、台湾などのアジア地域で重宝され、「レーザーディスク(現在ではDVD)より安くVHSより高品質なメディア」として普及した。しかし、手軽に製造できる為に海賊版の存在がハリウッド等から問題視される事もある。
日本ではアニメやドラマなどの全話を収録したLD-BOXが数万円で販売されていた頃、香港や台湾では同じく日本のアニメやドラマを全話収録したビデオCDが数千円程度で売られていた。ネットオークションにおいても、日本のアニメファンを対象に、そういったビデオCDが売りに出されていた。
DVDが普及した現在ではDVDの海賊版も増えたが、現在もビデオCDにはコピーガードおよびリージョンコードは導入されていないため、海賊版においてよく用いられる規格となっている。香港や台湾への日本人旅行者が、DVDにはリージョンコードの問題があるため、ビデオCDを購入して持ち帰る事も多い。
旧来の一般的なDVDプレーヤーには、ビデオCDの再生に対応しているものが多かったが、2000年半ば以降は記録型DVDや、MPEG-4フォーマットの普及に伴い対応機器の数は減っている。2008年現在で広く普及しているDVDレコーダーやBDレコーダーなど、録画機能付き機器でその傾向にある。
規格
ビデオCDに収録される形式は標準化されている。映像の解像度はNTSCでは352×240ピクセル、PALでは352×288ピクセルとなっており、通常のテレビ画面(SD画質)と比較した場合、約4分の1の画素数である。再生の際に少ない画素を演算処理で補完する事により、テレビ画面ではNTSCの場合では720×480ピクセル、PALでは720×576ピクセルで出力される。また、SECAMでも画素が補完される。映像の圧縮形式はMPEG-1で、1秒当たり1150kbit(キロビット)、オーディオの圧縮形式はMPEG-1 Layer 2で、1秒当たり224kbitが割り当てられている。
ビデオCDではシステムストリームがCD-ROMフォーマットに準拠して記録されるが、セクタ長が2048byteであるモード1ではなく、誤り訂正能力が落ちる反面ビットレートや容量を大きく確保できるモード2フォーム1(CD-ROM XAフォーマット)が採用されており、ビットレートはオーディオCDとほぼ等しい。そのため、容量が650MB(メガバイト)のコンパクトディスクには、オーディオCDと同じ長さである74分の映像が収録できる計算となる。
Version 2.0では簡易メニュー機能(プレイバックコントロール)を持たせ、高精細な静止画の再生もできるようになっている。
同様の形式
本規格を改良し、映像をMPEG-2に対応させ、より圧縮率の高めた「スーパービデオCD(SVCD)」も存在するほか、「KVCD」と呼ばれるものも存在する。これらは通常のビデオCDの録画時間を上回る120分以上もの映像を、DVDに近い品質でCDに収録する技術であり、NTSC・PALいずれにも対応している。また、圧縮率を高めることにより、ビデオCDと同程度の画質であれば6時間以上の映像を収録することもできる。これらの形式は正式に標準化はされていないものの、パソコンのCD-ROMドライブでの再生に対応しており、いくつかのDVDプレイヤーでの再生にも対応している。
そのほかにも中国だけで普及している形式として、DVCDやダブルビデオCDも存在する。