「シャシ (自動車)」の版間の差分
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2008年10月2日 (木) 11:59時点における版
自動車におけるシャシ(Chassis)は、自動車の車体(ボディ)を除くすべての機構を指す。シャーシ、シャシーとも表記される。
概要
「車の基本構成部分」をさす場合と、「車の足回り部分」をさす場合がある。
車の基本構成部分
シャシ(chassis)はフランス語で「フレーム」(枠)のことであり、自動車の骨格となるフレーム自体を指す。自動車初期に英語でも使われるようになり、シャシという用語は、フレームにエンジン、トランスミッション、ドライブシャフト、ディファレンシャル、ステアリングギア、サスペンションなど、一連の走り装置を組み込んだ『車の基本構成部分』となる「ローリングシャーシ」を指すようになった。この意味でのシャシは漢字で車台(しゃだい)と表記される。これに対する用語はボディ(ボディー、ボデー)であり漢字では車体である。
セパレートフレームやマルチチューブラーフレーム方式では、ボディは構造の点からはまったく必要のないもので、単にシャシ上に乗っているだけのものである。トラックなどの商用車を製造する業者は、シャシのみ、運転席とシャシのみ(キャブシャーシ)といった車両を出荷している。これにより、別途特別仕様のボディが架装できる。この例として、キャンピングカー、消防自動車、救急車などがあげられる。
構成
- 動力発生装置(パワーユニット)……ガソリンエンジン・ディーゼルエンジンなど
- 伝動装置(ドライブトレイン)……エンジンが発生させた動力を車輪に伝える
- 走行装置(ランニング・システム)
- フレーム
- タイヤ
- ホイール
- かじ取り装置(ステアリング・システム)
- 制動装置(ブレーキ・システム)
- その他
など
車の足回り部分
フレームをもたないモノコック構造の車両では、フレームの役割はボディが担うようになり独立したフレームはなくなった。モノコックボディにおいてのシャシとは、ボディ、エンジン、パワートレインを除いたアクスル、サスペンション、ステアリング、などの『足回り部分』をさすようになっている。この場合、従来の『車の基本構成部分』を指すためにはプラットフォームという用語が用いられることも多い。
プラットフォーム、シャシ、車台
自動車開発の基本構成部品の意味でのシャシはボディを乗せかえれば別の車種となった。1970年代にフォードが、異なる種類の車種を開発するベースとなる『基本構成部分』をまとめて、プラットフォームと呼びはじめた。その後、『基本構成部分』を指すシャシに代わる言葉として「プラットフォーム」を用いる自動車メーカーも増えてきた。プラットフォームはボディ以外の走行にかかわる『基本構成部分』を指す概念的な用語であり、具体的なパーツを指すものではない。概念的といわれる大きな要素がボディである。モノコック構造のボディは車を構成する大きな一つの構造体である。従来フレームが担っていた骨格相当の役割はボディの機能の一つであり、これはプラットフォームの一部で車の基本構造である。しかし、おなじボディだが外見的な見栄えにかかわる部分などは具体的な個別の車種で変更される部分であり、これはプラットフォームには含まれない。
モノコック構造の場合、具体的な『基本構成部分』を意味するシャシはなく、概念的な『基本構成部分』としてのプラットフォームとして、具体的なボディ、エンジン、トランスミッション、パワートレイン、そして『足回り部分』としてのシャシが位置づけられる。また、フレーム構造では、概念的な『基本構成部分』をプラットフォーム、具体的な『基本構成部分』をシャシと表現することがあるがほぼ同義となる。
漢字表記の「車台」は具体的な『基本構成部分』を意味するシャシの日本語訳として作られたが、プラットフォームの説明のために、特に学術系で、概念的な『基本構成部分』を意味するプラットフォームを指して「車台」と紹介される場合がある。通常、具体的なボディを意味する用語である「車体」も、プラットフォームの「車台」と対比される場合には、概念的な意味での「車体」となる。
自動車での使用状況
現在の乗用車の多くはモノコック構造を使用しており、フレームを使用している乗用車は数少なくなってきている。
ただし、トラックなどの重量物を扱う自動車ではフレーム構造が主流であり、ピックアップトラックやそれをベースとしたSUVでは現在でも使用されている。 フレーム構造ではないSUV、つまり、モノコック構造の乗用車をベースに作られたSUVはクロスオーバー車、CUV、XUVなどとよばれるようになっている。