「2進接頭辞」の版間の差分

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一般的に[[半導体メモリ]]の構造に起因する情報量では2進接頭辞が、それ以外でSI接頭辞が使用される。しかしメモリ関連であっても場面によっては[[十進記数法|十進法]]に基づくSI接頭辞の方が量の比較や計算が行いやすい利便性があるため、両者の使い分けが考えられる。そのため2進接頭辞はIEC規格での明確な表示が必要となる。
一般的に[[半導体メモリ]]の構造に起因する情報量では2進接頭辞が、それ以外でSI接頭辞が使用される。しかしメモリ関連であっても場面によっては[[十進記数法|十進法]]に基づくSI接頭辞の方が量の比較や計算が行いやすい利便性があるため、両者の使い分けが考えられる。そのため2進接頭辞はIEC規格での明確な表示が必要となる。


IEC規格でない旧来の2進接頭辞とSI接頭辞の使い分けは分野や場合によっては曖昧で混乱しており、キロがSI接頭辞の1,000であるか2進接頭辞の1,024であるかはそれだけではわからない事もある。キロでは双方の差は約2%だが、メガで約5%、ギガで約7%、テラで約10%と乗数が大きくなるにつれその差も大きくなる。
IEC規格でない旧来の2進接頭辞とSI接頭辞の使い分けは分野や場合によっては曖昧で混乱しており、キロがSI接頭辞の1,000であるか2進接頭辞の1,024であるかはそれだけではわからない事もある。キロでは双方の差は約2%だが、メガで約5%、ギガで約7%、テラで約10%と乗数が大きくなるにつれその差も大きくなる。俗に、1,024にはkではなくKを用い、「ケー」と称するという流儀もある。


一般に[[Random Access Memory|RAM]]や[[Read Only Memory|ROM]]など[[半導体メモリ]]の容量は2進接頭辞を使う。1キロバイト=1,024バイト、1メガバイト=1,024キロバイトである。
一般に[[Random Access Memory|RAM]]や[[Read Only Memory|ROM]]など[[半導体メモリ]]の容量は2進接頭辞を使う。1キロバイト=1,024バイト、1メガバイト=1,024キロバイトである。

2008年4月10日 (木) 04:05時点における版

バイトの単位一覧
SI接頭語 2進接頭辞
単位(記号) SI基準 慣用値 単位(記号) SIとの(概数)
キロバイト (kB) 103 210 キビバイト (KiB) 210 2.400000%
メガバイト (MB) 106 220 メビバイト (MiB) 220 4.857600%
ギガバイト (GB) 109 230 ギビバイト (GiB) 230 7.374182%
テラバイト (TB) 1012 240 テビバイト (TiB) 240 9.951163%
ペタバイト (PB) 1015 250 ペビバイト (PiB) 250 12.589991%
エクサバイト (EB) 1018 260 エクスビバイト (EiB) 260 15.292150%
ゼタバイト (ZB) 1021 270 ゼビバイト (ZiB) 270 18.059162%
ヨタバイト (YB) 1024 280 ヨビバイト (YiB) 280 20.892582%
ロナバイト (RB) 1027 290 ロビバイト (RiB) 290 23.794004%
クエタバイト (QB) 1030 2100 クエビバイト (QiB) 2100 26.765060%
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2進接頭辞(にしんせっとうじ)は情報工学で大きな情報量バイトビット)を示すのに使われる。キロ、メガ、ギガといったSI接頭辞に由来しているが意味は少し異なっている。

情報工学の分野では頻繁に二進法を使うため、2の冪乗が良く使用される。そこで大きな量を表す時には、1024(=210) を表す為にキロ、10242(=220) を表す為にメガ、同様にギガ、テラ、ペタなどがよく使われる。1000 と 1024 が近いのでこのように使われるが、これらの意味は SI 接頭辞とは異なる。

主にバイトやビットといった情報量の単位と組み合わせ、1キロバイトや2メガビットなどと表記する。記号を使用して1KB、2Mbitと書くこともできる。また略式では単位を省略して1キロ、2メガといった言い方もされる。

情報工学分野において必ず 2進接頭辞が使われるわけではなく、SI接頭辞も使用されるので、1 キロバイトが 1000 バイトなのか 1024 バイトなのかは不明確な場合がある。IEC(国際電気標準会議)は 1998 年に SI 接頭辞と区別できる新たな 2進接頭辞を承認した。従来のキロ、メガ、ギガなどはIEC規格ではキビ、メビ、ギビなどとなり、1キロバイトは1キビバイト、2メガビットは2メビビットとなる。

従来の用法

従来の2進数の接頭辞
名前 記号 乗数 SI接頭辞の乗数
キロ(kilo) K 210 = 1 024 103 = 1 000
メガ(mega) M 220 = 1 048 576 106 = 1 000 000
ギガ(giga) G 230 = 1 073 741 824 109 = 1 000 000 000
テラ(tera) T 240 = 1 099 511 627 776 1012 = 1 000 000 000 000
ペタ(peta) P 250 = 1 125 899 906 842 624 1015 = 1 000 000 000 000 000
エクサ(exa) E 260 = 1 152 921 504 606 846 976 1018 = 1 000 000 000 000 000 000
ゼタ(zetta) Z 270 = 1 180 591 620 717 411 303 424 1021 = 1 000 000 000 000 000 000 000
ヨタ(yotta) Y 280 = 1 208 925 819 614 629 174 706 176 1024 = 1 000 000 000 000 000 000 000 000

キロの記号は SI 接頭辞の k と区別して K が使用される。それ以外の記号は SI 接頭辞と同じで区別できない。

IEC 規格の接頭辞

新しいIEC規格の接頭辞
名前 記号 乗数
キビ(kibi) Ki 210 = 1 024
メビ(mebi) Mi 220 = 1 048 576
ギビ(gibi) Gi 230 = 1 073 741 824
テビ(tebi) Ti 240 = 1 099 511 627 776
ペビ(pebi) Pi 250 = 1 125 899 906 842 624
エクスビ(exbi) Ei 260 = 1 152 921 504 606 846 976
ゼビ(zebi) Zi 270 = 1 180 591 620 717 411 303 424
ヨビ(yobi) Yi 280 = 1 208 925 819 614 629 174 706 176

語源は近い値の SI 接頭辞の先頭部分に 2 進を表す bi を付けたもので、記号では SI 接頭辞の記号に i が付く。ただしキビについては k が大文字になって Ki となる。

2007年時点ではこの表現方法はまだ広く使われていない。2005年までは、SI接頭辞のエクサに対応するエクスビまでしか定められておらず、ゼタ(1021)、ヨタ(1024)に対応する2進接頭辞はなかった。2005年8月、IECは、エクスビ以上の接頭辞としてゼビ (zebi)、ヨビ (yobi)を正式に導入した。

2進接頭辞とSI接頭辞

一般的に半導体メモリの構造に起因する情報量では2進接頭辞が、それ以外でSI接頭辞が使用される。しかしメモリ関連であっても場面によっては十進法に基づくSI接頭辞の方が量の比較や計算が行いやすい利便性があるため、両者の使い分けが考えられる。そのため2進接頭辞はIEC規格での明確な表示が必要となる。

IEC規格でない旧来の2進接頭辞とSI接頭辞の使い分けは分野や場合によっては曖昧で混乱しており、キロがSI接頭辞の1,000であるか2進接頭辞の1,024であるかはそれだけではわからない事もある。キロでは双方の差は約2%だが、メガで約5%、ギガで約7%、テラで約10%と乗数が大きくなるにつれその差も大きくなる。俗に、1,024にはkではなくKを用い、「ケー」と称するという流儀もある。

一般にRAMROMなど半導体メモリの容量は2進接頭辞を使う。1キロバイト=1,024バイト、1メガバイト=1,024キロバイトである。

CPU等のクロック周波数サンプリング周波数など周波数にはSI接頭辞が使用される。2.4ギガヘルツは2,400,000,000ヘルツである。

通信速度、また音声や映像の圧縮ストリーミングでのビットレートではSI接頭辞が使用される。1メガビット/秒は1,000,000ビット/秒である。

フロッピーディスクの容量では2進接頭辞とSI接頭辞の混合した単位が使用される場合がある。多くの90mm(3.5インチ)2HDフロッピーディスクの容量はフォーマット時1.44メガバイトと表示されるが、正確には1.44×1,000×1,024バイト(1,440キビバイト)の容量を持っている。この場合の"メガ"は1,000×1,024であり、SI接頭辞でも2進接頭辞でもない。いずれかを使用するなら1.47メガバイトまたは1.41メビバイトとなる。

ハードディスクドライブの容量ではSI接頭辞が使用される。これは同じハードディスクでもSI接頭辞で表示したほうが見かけの数字がより大きくなるというマーケティング上の理由からであると考えられている。例えば100ギガバイトのハードディスクドライブはおよそ100×1,000×1,000×1,000バイト(100×109バイト)の容量を持っている。しかしOS等の表示は2進接頭辞を使用している場合が多く、100ギガバイトのハードディスクがOS上で93ギガバイト前後と表示されるなど、ハードディスクドライブの容量表示とOSでの容量表示は食い違う場合が多い。その為SI接頭辞で表した製品の箱(ケース)や説明書などに小さく「OSの表示により、容量が小さく表示されることがあります。」等と表記されていることが多い。

ファイルや電子ドキュメントの大きさは伝統的に2進接頭辞が使われる場合が多い。これはメモリへの格納の観点からは合理的だが、近年のメモリ制約の縮小や通信との親和性を考えるとSI接頭辞の方が良い事もある。

外部リンク