「助詞」の版間の差分

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[[名詞]]および準体助詞「[[の]]」に付き、事物を並列および列挙する意を表す。
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====やら====
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体言や活用語の連体形に付き、決定しがたい二つ以上の事柄を並列および列挙する意を表したり、事物を単に列挙する意を表す。
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[[体言]]または、体言に準ずる語、一部の[[副詞]]、[[助詞]]などに付き、[[不確実]]であるという意を表したり(ただし[[疑問文]]または、[[否定文]]の場合)、はっきり言わずに、ぼかして言うときや下に打ち消しの語を伴って、いずれとも不定である意を表すときに使用する。語源は、断定の[[助動詞]]「なり」の連用形「に」、係助詞「[[助詞#や|や]]」、[[動詞]]「あり」の[[未然形]]「あら」、[[推量]]の[[助動詞]]「む」の複合した「にやあらむ」が変化した語、「やらん」から。

===係助詞===
===係助詞===
:ついた語に意味を添えて[[強調]]するもの。述語と呼応することもある(古典語では[[係り結び]]があり、現代語では「しか」が否定形に呼応)。(副助詞に含める説もある)
:ついた語に意味を添えて[[強調]]するもの。述語と呼応することもある(古典語では[[係り結び]]があり、現代語では「しか」が否定形に呼応)。(副助詞に含める説もある)

2007年5月30日 (水) 08:15時点における版

助詞(じょし)とは、品詞のひとつである。


日本語の助詞

日本語においては、単語に付加し自立語同士の関係を表したり、対象を表したりする語句の総称。付属語活用しない。てにをは言葉。

以下のように分類される。

格助詞

体言につき、文の中での意味関係()を表す。

最も基本的な格助詞で、動作状態主体要求願望対象を示す。

連用修飾語の動作や状態の主体を表したり、連体格となる。

名詞および名詞に準じる語、動詞の連用形または、連体形などに付く。物体の存在する場所移動目標点および到達点相手に視点を置いたときの相手の動作、対象に対する指向性が感じられるときの動作および状態の対象、主体から相手に対し動作や関係が一方的に及ぶ時の相手、動作や作用の行われるときや終わるとき(ただしを示す名詞が必要)、動詞の連用形の場合の目的、状態の主体(副助詞を後に伴う事が多い)と用法の広い格助詞。上代から用いられており、本来の用法は動作や作用が行われる、あるいは存在する、時間的および空間的な位置範囲

動作の対象や移動時の経路を示す。また、移動の起点経由点も示すが、この場合には到着点を想定していない場合となる。

用法が狭く、移動の目標や到達点を表す。「」と区別が曖昧だが、それが物であるときは使いにくい。

動作や関係の及ぶ相手を示す。

から

動作の主体が経由点としての性格を持つ場合の主体や、物事の移動に視点を置いた場合の動作の起点である相手、移動の起点や経由点(到着点が想定されている場合のみ、「」と共に使用される。)、因果関係を問題とした場合の原因、更には材料から完成品への変化の著しい時の材料原料、状態が始まるときなど、経由および経過に関する意味を持つ。

より

比較の基準に用いるほか、起点を表す用法も備えるが現在後者は、主に文章語となり、「から」と意味の重なっている。

団体も含めた複数時の動作の主体や、動作の起こる場所、動作や作用の行われる時や場所、動作の手段仲介物由来、更には材料から完成品への変化の少ない時の材料原料、動作や状態の継続する期間、継続していた動作の終わるとき、基準境界と用法の広い助詞。

並立助詞

2つのものを並立させる。(格助詞に含める説もある)

並列列挙を示したり、程度がはなはだしい意を表す。

格助詞から転じた用法名詞または、準体助詞「の」に付いて、並列や列挙、添加取り合わせを示す。

体言またはそれに準ずる語に付いて、いくつかの事柄を列挙する。

名詞および準体助詞「」に付き、事物を並列および列挙する意を表す。

やら

体言や活用語の連体形に付き、決定しがたい二つ以上の事柄を並列および列挙する意を表したり、事物を単に列挙する意を表す。

なり

だの

終助詞

文や句の末尾について疑問禁止感動などの意味を付け加えるもの。

かしら

とも

形容詞および形容詞型活用の助動詞や助動詞「う、よう」の終止形、または動詞および動詞型活用の助動詞の命令形に付き、同輩および、目下の者などに対して軽く促し、話し手がその事態の実現を望むという気持ちを表したり、軽く言い放つような気持ち、なげやりな気持ちを表すのに用いられる。また、疑問や反語の意を表すこともある。

間投助詞

文節末尾について語調を整えたり感動などの意味を付け加えるもの。(終助詞に含める説もある)

副助詞

体言や副詞につき全体として副詞的に働く。

ばかり

体言または副詞活用語連体形などにつき、だけと同じく物事や程度原因を該当する範囲に限定したり、くらいと同じく物事のおおよその程度、分量時刻距離を表す。また、動作が完了して、まだ間もないことを表したり、すぐに実行される段階にあることを表す時にも使用される。また、繰り返しが暗示される用法もある。語源は、動詞はかる」の連用形から転成した名詞「はかり」。話し言葉では、「ばっかり」「ばかし」「ばっかし」などを用いることがある。 漢字表記は、「許り」。

まで

だけ

ほど

くらい

など

なり

やら

体言または、体言に準ずる語、一部の副詞助詞などに付き、不確実であるという意を表したり(ただし疑問文または、否定文の場合)、はっきり言わずに、ぼかして言うときや下に打ち消しの語を伴って、いずれとも不定である意を表すときに使用する。語源は、断定の助動詞「なり」の連用形「に」、係助詞「」、動詞「あり」の未然形「あら」、推量助動詞「む」の複合した「にやあらむ」が変化した語、「やらん」から。

係助詞

ついた語に意味を添えて強調するもの。述語と呼応することもある(古典語では係り結びがあり、現代語では「しか」が否定形に呼応)。(副助詞に含める説もある)

文節活用語連用形などに接続し、多くの事柄の中から、一つのものを取り出して提示したり、題目を提示して、叙述の範囲をきめたり、叙述内容の成り立つ条件に限定を加える事を示す。また、格助詞副詞などに付いて意味語勢を強めるなど、二つ以上の判断を対照的に示すこともある。現在では「わ」と発音する。

こそ

でも

しか

さえ

接続助詞

文と文の意味関係を表して接続するもの。

動詞や助動詞「れる・られる」「せる・させる」といった動詞形活用語の終止形に付き、動作および作用が行われると同時に、他の動作や作用が行われることを示す。

準体助詞

「彼に聞くのがいい」「あちらに着いてからが大事だ」というときの「の」「から」は、用言の後について体言相当の意味を表す。この機能は形式名詞(「こと」「もの」「ところ」など)と似ているので準体助詞(準体言助詞)と呼ばれる。

俗に「てにをは」(弖爾乎波)と呼ばれるが、これは漢文の読み下しの補助として漢字の四隅につけられたヲコト点を左下から右回りに読むと「てにをは」になることに因るものである。

「~けれども(けれど/けど)」、「~から」、「~のに」、「~(だ)し」などは接続助詞なのに終助詞的に使うこともある。

例:「本当は明日なんだけど。」 「もう終わったから。」 「さっき言ったのに。」 「終わるの早いし。」

どの助詞が入るのが正しいのか迷うこともある。

例:「海行く」⇔「海行く」 「見たことない町」⇔「見たことない町」 「日本一つだけの化石」⇔「日本一つだけの化石」

他の言語

助詞に相当するものが他の言語にもある。これらは後置詞と呼ばれることが多い。朝鮮語には日本語のとよく似た機能(格助詞・副助詞・係助詞に相当)を持つ助詞がある。そのほかトルコ語ハンガリー語など多くの言語で後置詞が用いられる(格変化語尾に近いものもあり、普通はそれ以外のものを後置詞と呼んでいる)。

英語などでは前置詞が助詞に相当する機能を果たすが、"ago"のように後置詞的に用いられる副詞もある。

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