岸本宏子
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岸本 宏子(きしもと ひろこ、1943年[1] - 2020年10月9日)は、日本の西洋音楽史学者、昭和音楽大学名誉教授[2]。特に、イタリア・ルネサンスのマドリガーレ、音楽図書館学を専門とし、歌声に関する科学的研究にも取り組んだ[1]。
経歴
[編集]東京藝術大学音楽学部楽理科を卒業して、同大学院修士課程を修了した後、フルブライト奨学金を得て1969年にアメリカ合衆国のブリンマー・カレッジ(後のブリンマー大学)大学院博士課程に進んだ[1][2]。1972年から1974年にかけては帰国していたが、1975年にPh.D.(音楽学)を取得した[1][2]。再度の帰国後、1978年から1981年にかけて再び渡米してシモンズ・カレッジ(後のシモンズ大学)大学院修士課程でM.Sc.(図書館情報学)を取得して帰国した[1][2]。
この間、1972年以降は、非常勤講師として東京藝術大学などで教鞭を執った[1][2]。また、1976年の最初期から、音楽史関係史料の収集保全に取り組むRISMの日本における組織化に海老沢敏、金沢正剛、皆川達夫の下で、小俣純雄、住川鞆子とともに尽力し、1979年のIAML日本支部の立ち上げにも関わった[3]。
2002年に昭和音楽大学教授となり、後に名誉教授を贈られた[1][2]。
晩年は、編集者であった夫に先立たれ、自身も闘病する中で、執筆を続けた[2]。
おもな著書
[編集]単著
[編集]- 『ルネサンスの歌物語』音楽之友社、1989年
- 『Il fondo musicale Venturi nella Biblioteca comunale di Montecatini Terme : catalogo』Giunta regionale toscana, Editrice bibliografica, 1989
共著
[編集]- (佐藤みどりとの共著)『音楽の基礎資料:図書館における音楽書 楽譜 録音資料選定のために』アカデミア・ミュージック、1985年
- (酒巻和子、小畑恒夫、石川亮子、有田栄との共著)『つながりと流れがよくわかる 西洋音楽の歴史』アルテスパブリッシング、2020年
訳書
[編集]- (水野信男との共訳)ルードルフ・レティ 『名曲の旋律学:クラシック音楽の主題と組立て』音楽之友社、1995年
- (長岡英との共訳)リチャード・ミラー 『上手に歌うためのQ&A:歌い手と教師のための手引書』音楽之友社、2009年
- (八尋久仁代との共訳)リチャード・ミラー『歌唱の仕組み:その体系と学び方』音楽之友社、2014年
脚注
[編集]外部リンク
[編集]- 【特集】追悼・岸本宏子先生 - NEWSLETTER 国際音楽資料情報協会日本支部 No.70