塩化バナジウム(IV)
塩化バナジウム(IV) | |
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vanadium(IV) chloride | |
別称 四塩化バナジウム | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 7632-51-1 |
PubChem | 24273 |
ChemSpider | 19956660 |
RTECS番号 | YW2625000 |
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特性 | |
化学式 | VCl4 |
モル質量 | 192.75 g/mol |
外観 | 湿気に敏感な明赤色液体 |
密度 | 1.816 g/cm3, 液体 |
融点 |
−28 °C |
沸点 |
154 °C |
水への溶解度 | 分解 |
他の溶媒への溶解度 | クロロカーボン |
蒸気圧 | 7.9 Pa |
構造 | |
配位構造 | 四面体形 |
双極子モーメント | 0 D |
危険性 | |
EU Index | Not listed |
主な危険性 | 酸化剤 (O) 加水分解して塩化水素を発生 |
NFPA 704 | |
関連する物質 | |
その他の陰イオン | フッ化バナジウム(IV) 硫化バナジウム(IV) 臭化バナジウム(IV) |
その他の陽イオン | 塩化チタン(IV) 塩化クロム(IV) 塩化ニオブ(IV) 塩化タンタル(IV) |
関連物質 | 塩化バナジウム(III) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
塩化バナジウム(IV)(えんかバナジウム よん、英: vanadium tetrachloride)は、化学式が VCl4 と表されるバナジウムの塩化物である。四塩化バナジウムとも呼ばれる。明赤色の液体で、他のバナジウム化合物の合成に有用な試薬である。
合成と結合と基本的な性質
[編集]VCl4 は反磁性の塩化チタン(IV)に1電子付加した常磁性の液体である。常温で常磁性の液体はごくわずかしか存在しない。
VCl4 は金属バナジウムを塩素化することによって合成される。VCl5 は塩素の酸化力が不十分なため、通常の状況下では合成することができない。これとは対照的に、より重いアナログ NbCl5 や TaCl5 は安定で、それほど酸化力はない。フッ素は塩素よりも酸化力があるため VF5 は安定に存在する。その酸化力を示すように、VCl4 は標準圧力下で沸点に達すると Cl2 を放出して塩化バナジウム(III)となる。
反応
[編集]その高い酸化力を反映し、VCl4 は-50 °Cで HBr と反応して VBr3 を与える。この反応は VBr4 を経由して進行する。VBr4 は不安定なため、室温で Br2 を放出する[1]。
VCl4 は、多くのドナー配位子と VCl4(THF)2 のような錯体を形成する。また、二塩化バナドセンの前駆体でもある。
利用
[編集]VCl4 はアルケン類をポリマー化する、特にゴム産業で有用な触媒である。基本的なメカニズムはバナジウムアルキルを媒介するチーグラー・ナッタ触媒作用に関連している。
有機化学
[編集]この反応は、Cl2 による酸化が起こらないほどの VCl4 の酸化力を強調している。
安全性
[編集]VCl4 は揮発性で強力な酸化剤であり、容易に加水分解され HCl を発生する。
脚注
[編集]- ^ Calderazzo, F.; Maichle-Mossmer, C.; Pampaloni, G. and Strähle, J., "Low-temperature Syntheses of Vanadium(III) and Molybdenum(IV) Bromides by Halide Exchange", Journal of the Chemical Society, Dalton Transactions, 1993, pages 655-8.
- ^ M. K. O’Brien, B. Vanasse, “Vanadium(IV) Chloride” in Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis (Ed: L. Paquette) 2004, J. Wiley & Sons, New York.