ムーファン・ループ
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代数的構造 |
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数学において、
定義
[編集]ムーファン・ループ はループ で、任意の , , に対して、以下の4つの同値な恒等式を満たすものである ( の二項演算は並置記法[訳語疑問点]で記述する):
- … (N2)
- … (N1)
- … (M1)
- … (M2)
以後の説明の便宜上、式の後ろにつけた番号は、参考文献 Kunen (1995) に倣った。
例
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性質
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結合性
[編集]ムーファンループは (群とは異なり) 必ずしも結合的ではない [注釈 1]。ムーファン恒等式は、結合法則の弱い形式と見なすことができる。 ムーファン恒等式に適当な値を代入することにより、以下の式が得られる:
- (式 (N2) において y := e を代入)
- (式 (N1) において z := e を代入)
- (式 (N2) において z := e を代入 or (N1) において y := e を代入 or (M1) において z := e を代入 or (M2) において y := e を代入)
ムーファンの定理は、ムーファン・ループにおける三つの元 x, y, z が結合法則 に従う場合、結合的な部分ループを生成すると述べている。この定理の系として、ムーファン・ループは、非結合的であると言える。すなわち、ムーファン・ループの任意の二つの元によって生成される部分ループは、結合的であり、従って群になる[訳語疑問点] [原文 2]。
左右の乗算
[編集]可逆性
[編集]ラグランジュ性
[編集]ムーファン準群
[編集]このセクションでは、ループではなく準群の場合にどうなるか考察する。 準群がムーファン恒等式の内の一つを満たす場合は、必ず単位元が存在することが示される[1]。 以下に、証明の一部 (Theorem 2.2) だけ述べる。Theorem 2.3 はより難しいので、参考文献を見よ。
を準群とする。ムーファンの恒等式の内 (M1) が成り立つと仮定する。 任意のを固定する。準群の定義によって、を満たすがただ一つ存在する。 この時、任意のに対して、が成り立つ[訳注 1]。よって、準群の定義 (消去律) によってが成り立つ。従って、は左単位元である。
次に、再び準群の定義により、を満たすがただ一つ存在する。この時、 が成り立つ[訳注 2]。再び準群の簡約律より、が成り立つ。従って、は右単位元である[訳注 3]。 さらに、 であるから、 は(両側)単位元である。
(M2) だけを仮定する場合も、(式を鏡のように反転させて) 同様に証明できる。 この場合はに対して、を満たすを取ると、、つまり は右単位元であることが言える。 先ほどと逆に を満たす を取って、同じことをすれば、 が左単位元になることも言えるので、両側単位元である。
Open problems
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脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ むしろ、結合的なムーファンループは、すなわち群である
訳注
[編集]- ^ 最初の等号は、ae = a を代入、二番目の等号は (M1): において として適用した
- ^ 最初の等号は が左単位元だから、二番目の等号は仮定した (M1) において として適用、最後の等号は左単位元であることと、による
- ^ 参考文献 Kunen, K. (1995) の証明を和訳、記載したが、右単位元であることの証明は、Wikipedida 英語版 en:Moufang_loop#Moufang_quasigroups にある証明の方が簡潔である
- ^ Smooth Moufang loops have an associated algebra, the Malcev algebra, similar in some ways to how a Lie group has an associated Lie algebra.
- ^ A corollary of this is that all Moufang loops are di-associative (i.e. the subloop generated by any two elements of a Moufang loop is associative and therefore a group).
出典
[編集]- ^ Kunen, K. (1995) https://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/summary?doi=10.1.1.52.5356, p2, Theorem 2.2 および 2.3
関連項目
[編集]参考文献
[編集]- V. D. Belousov (2001), “Moufang loop”, in Hazewinkel, Michiel, Encyclopedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4
- Goodaire, Edgar G.; May, Sean; Raman, Maitreyi (1999). The Moufang loops of order less than 64. Nova Science Publishers. ISBN 0-444-82438-3
- Gagola III, Stephen (2011). “How and why Moufang loops behave like groups”. Quasigroups and Related Systems 19: 1–22.
- Grishkov, Alexander; Zavarnitsine, Andrei (2005). “Lagrange's theorem for Moufang loops”. Mathematical Proceedings of the Cambridge Philosophical Society 139: 41–57. doi:10.1017/S0305004105008388.
- Kunen, K. (1996). “Moufang quasigroups”. Journal of Algebra 183 (1): 231–4. doi:10.1006/jabr.1996.0216. https://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/summary?doi=10.1.1.52.5356
- Moufang, R. (1935), “Zur Struktur von Alternativkörpern”, Math. Ann. 110: 416–430, doi:10.1007/bf01448037
- Romanowska, Anna B.; Smith, Jonathan D. H. (1999). Post-Modern Algebra. Wiley-Interscience. ISBN 0-471-12738-8
外部リンク
[編集]- LOOPS package for GAP This package has a library containing all nonassociative Moufang loops of orders up to and including 81.
- Moufang loop - PlanetMath.org