ベルベット
ベルベット(英: velvet)は、タテ糸パイルの比較的毛足の長いパイル織物の一種[1]。平織または綾織の2枚の織物をたて糸によってパイル糸とともに織り込み、それを2枚に切り分けて製造される[2]。高密度に繊維が揃い繊維の末端周辺に特有の肌触りを持つ[2]。
英語でベルベット、ポルトガル語でビロード(ポルトガル語: veludo、スペイン語: velludo)、フランス語でベロア、和名で
特徴
[編集]13世紀にイタリアのベルッティが編み出した生地[1]でベルットと呼ばれた。柔らかで上品な手触りと深い光沢感が特長で、フォーマル・ドレスやカーテンに用いられる。レーヨンや絹が一般的。縫いずれし易く、きれいに縫製するには高度な技術が必要である。
ベッチン(別珍、英語名:ベルベッティーン)と見た目では区別がつきづらく混同され易い[1]。どちらも製品としては見た目はよく似ているが、製法に違いがある。ベルベットがタテ糸パイルの比較的毛足の長いパイル織物であるのに対し、ベッチンは比較的毛足の短いパイル織物である[1]。
日本にはポルトガルからもたらされ、16世紀の戦国武将の帽子や外套にベルベット製のものがある[1]。ポルトガル語のveludoの日本語読みでビロードと称された[1]。また、和名は天鵞絨で天鵞は白鳥の意味である[1]。伝来した当初は絹製の白い生地を指していたため、ビロードは特にシルク製のベルベットのことをいうこともある[1]。
生地としての利用の他、レコード拭きに利用された。特に日本では、皇室の馬車、国会の椅子などはすべて和歌山県橋本市で作られたシルク製のジャカードベルベットが用いられている。これはベルベットのパイルがない部分に模様を織り出している紋ベルベットの一種で、金糸と銀糸を使っている場合特に金華山織りと称して区別する。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i “ベルベットと別珍(べっちん)とは違うもの・・・”. 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター. 2023年7月18日閲覧。
- ^ a b 「今村朋洋、西海豊彦、青木幸一「ベルベット織物を用いた炭素電極研磨」」福井大学大学院工学研究科 2021年2月24日閲覧
関連項目
[編集]- ベッチン
- コーデュロイ
- ビロード革命 - チェコスロバキアで、滑らかなビロードのようにスムーズに革命が成功した。
- ブラック・ベルベット - シャンパンと黒ビールのカクテル。のどごしの滑らかさから名付けられた。
- レッド・ヴェルヴェット・ケーキ - 赤色のレイヤーケーキ。
- Red Velvet - ベルベットが名前の由来となった、韓国の女性アイドルグループ。
- 小野伸二 - 小野の出すパスが正確無比にコントロールされることからベルベット・パス(織物のように柔らかいパス)と名付けられていた。
- 面ファスナー - 商標の一つであるベルクロ(Velcro)はvelour(ビロード)+crochet(鉤)の合成語。