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フィンブリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
PLS1
識別子
記号PLS1, Fimbrin, plastin 1, DFNA76
外部IDOMIM: 602734 MGI: 104809 HomoloGene: 68270 GeneCards: PLS1
遺伝子の位置 (ヒト)
3番染色体 (ヒト)
染色体3番染色体 (ヒト)[1]
3番染色体 (ヒト)
PLS1遺伝子の位置
PLS1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点142,596,393 bp[1]
終点142,713,664 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
9番染色体 (マウス)
染色体9番染色体 (マウス)[2]
9番染色体 (マウス)
PLS1遺伝子の位置
PLS1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点95,634,695 bp[2]
終点95,727,364 bp[2]
遺伝子オントロジー
分子機能 calcium ion binding
actin binding
structural constituent of cytoskeleton
金属イオン結合
actin filament binding
細胞の構成要素 terminal web
エキソソーム
刷子縁
細胞質
マイクロフィラメント
actin filament bundle
生物学的プロセス intestinal D-glucose absorption
regulation of microvillus length
terminal web assembly
positive regulation of multicellular organism growth
actin filament bundle assembly
actin filament network formation
actin crosslink formation
positive regulation of protein localization to plasma membrane
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_001145319
NM_001172312
NM_002670

NM_001033210

RefSeq
(タンパク質)

NP_001138791
NP_001165783
NP_002661

NP_001028382

場所
(UCSC)
Chr 3: 142.6 – 142.71 MbChr 3: 95.63 – 95.73 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス

フィンブリン(fimbrin)またはプラスチン1(plastin 1)とは、ヒトのPLS1遺伝子にコードされているタンパク質である[5] 。フィンブリンは、糸状仮足の形成において重要なアクチン架橋タンパク質である。

構造

[編集]

フィンブリンは、アクチン架橋タンパク質のカルポニン相同(calponin homology:CH)ドメインスーパーファミリーに属する。CHドメインスーパーファミリーはフィンブリンのほかにα-アクチニンβ-スペクトリンジストロフィンABP-120フィラミンなどを含み、高度保存されたアクチン結合ドメインを持つ。このドメインはカルポニンと相同な配列の縦列重複を含む。CHドメインはアクチンフィラメントを架橋して繊維束とネットワークにし、また、中間径フィラメントおよびいくつかのシグナル伝達タンパク質をアクチン細胞骨格に結合させる。フィンブリンによる架橋は他のアクチン結合タンパク質に対するアクチンフィラメントの親和性に影響し細胞骨格を調節する可能性がある[6]

ヒトにおいて、3つの高度なホモログ、厳密には組織特異的および局所特異的アイソフォームI-、T-およびL-フィンブリンが同定されている 。L-フィンブリンは、正常または形質転換した白血球にのみ見出され、インターロイキン-1のような他の因子に応答してリン酸化される。I-フィンブリンは腸および腎臓の上皮細胞で発現される[7]T-フィンブリン上皮細胞および間葉系細胞に見出される。T-フィンブリンはリン酸化されない。アイソフォーム間の発現、配列およびリン酸化の差異は、機能的差異に由来する可能性がある。

機能

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フィムブリンは、腸の微絨毛、毛細胞の不動毛および線維芽細胞糸状仮足を含む、異なる細胞型のいくつかの異なる構造に存在する 。膜ラフリング糸状仮足、不動毛、および接着板において極性アクチンフィラメントと通常、関連している。フィンブリンの配列および生化学的特性は酵母からヒトまで高度に保存されている。酵母のフィンブリン欠損変異体は形態形成およびエンドサイトーシスに欠陥を持つ。

タンデムアクチン結合ドメインが接近しているため、フィンブンリンは酵母のサイトカインおよび腸内細菌による宿主細胞浸潤などのプロセスに関与する密に束ねられたアクチンフィラメントを形成する。2004年にArabidopsis thalianaおよびSchizosaccharomyces pombeのフィンブリンのコアの結晶構造は、アクチン架橋タンパク質で初めて明らかになった[8]

脚注

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  1. ^ a b c GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000120756 - Ensembl, May 2017
  2. ^ a b c GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000049493 - Ensembl, May 2017
  3. ^ Human PubMed Reference:
  4. ^ Mouse PubMed Reference:
  5. ^ Entrez Gene: Plastin 1”. 2018年9月17日閲覧。
  6. ^ “Fimbrin is a homologue of the cytoplasmic phosphoprotein plastin and has domains homologous with calmodulin and actin gelation proteins”. J. Cell Biol. 111 (3): 1069–79. (September 1990). doi:10.1083/jcb.111.3.1069. PMC 2116281. PMID 2391360. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2116281/. 
  7. ^ “Sequential expression and differential localization of I-, L-, and T-fimbrin during differentiation of the mouse intestine and yolk sac”. Dev Dyn 203 (2): 141–51. (Jun 1995). doi:10.1002/aja.1002030203. PMID 7655078. 
  8. ^ “Structure of the actin crosslinking core of fimbrin”. Structure 12 (6): 999–1013. (June 2004). doi:10.1016/j.str.2004.04.010. PMID 15274920. http://www.jhu.edu/~cheme/wirtz/papers/SACCF.pdf.