ハト回虫

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ハト回虫
ハト回虫
分類
: 動物界 Animalia
: 線形動物門 Nematoda
: 双腺綱 Secernentea
亜綱 : 旋尾線虫亜綱 Spiruria
: 回虫目 Ascaridida
上科 : 盲腸虫上科 Heterakoidea
: ニワトリ回虫科 Ascaridiidae
: Ascaridia
: ハト回虫 A. columbae
学名
Ascaridia columbae
(Gmelin, 1790)
Travassos, 1913[1]
和名
ハト回虫[1]

ハト回虫 (はとかいちゅう、Ascaridia columbae) は、カワラバトハト類キジ[2]、まれに食道嗉嚢腺胃砂嚢腹腔[3]に寄生する線虫の一種。

形態[編集]

虫体は黄色がかった[4]白色の半透明円筒形で両端に向かって狭小する[5]。体長は♂21-31mm、♀20-35mm ときに 50-70mmに達し[6]、直径はともに1mm前後[4]。卵は楕円形で厚い殻を有し、長径70-90µm,短径35-50µm[7]

生態[編集]

宿主(ハト類)の糞とともに排泄された卵の成熟には17日程かかり[8]、宿主の消化管内で孵化後約3週間で成虫となる[9]。虫卵の成熟には宿主の体外での環境(適正な温度と湿度[4])が必要となる[10]。 成熟した虫卵を含む宿主の糞に汚染された飼料、飲水により経口感染し、感染に中間宿主を必要としない[10]。宿主の体内で幼虫になって十二指腸にとりつき、三回脱皮を繰り返した後、幼虫は腸壁に侵入し、そこから血液内に入り込み、約16日後、再び腸に戻りそこで性的に成熟する[4]

寄生時症状[編集]

腸内に多数寄生された場合、食欲がなくなり粘液性の下痢を引き起こし[11]痩せる[12]。麻痺様症状を呈する場合があるが、これは欠乏状態によるものであり、回虫の排泄物に含まれる毒素によるものでもある[12]

治療と衛生[編集]

ピペラジン系の薬品[13](虫下し)を経口で与え虫体を麻痺させ排泄させる。 飼鳩の場合、鳩舎の清掃と消毒[14]を行なう。

写真[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 日本寄生虫学会 (2015年12月). “暫定新寄生虫和名表” (.xls). 2017年2月27日閲覧。
  2. ^ 杉本正篤 p.366 宿主
  3. ^ 杉本正篤 p.366 寄生部位
  4. ^ a b c d 遠藤芳春 [総論]
  5. ^ 杉本正篤 p.365
  6. ^ 杉本正篤 p.366 雄虫 雌虫
  7. ^ 杉本正篤 p.366 雌虫
  8. ^ 遠藤芳春 [総論]によると初期段階(10-15日)
  9. ^ 杉本正篤 p.367 生活史, Unterberger A. 著作(1863)の引用
  10. ^ a b 杉本正篤 p.367 生活史
  11. ^ 杉本正篤 p.367 症候
  12. ^ a b 遠藤芳春 [症状]
  13. ^ 遠藤芳春 [駆除]
  14. ^ 遠藤芳春 [その他]

出典[編集]

関連項目[編集]