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トラフグ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トラフグ属
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: フグ目 Tetraodontiformes
: フグ科 Tetraodontidae
: トラフグ属 Takifugu
学名
Takifugu
Abe, 1949
本文参照

トラフグ属Takifugu)は、フグ科の一つ。属のタイプTetrodon oblongus Bloch, 1786(=タキフグ Takifugu oblongus)(monotypy)で、属名もタキフグに因む。トラフグマフグなど約25種が知られており、生息区域は北緯45度から南緯45度の間である。ほとんどのものが海水に住むが、淡水汽水域に住むものもいる。主なエサは藻類軟体動物無脊椎動物などで、甲殻類を食べることもある。他のフグ科の魚と同様、捕食者から身を守るため、体を元の何倍にも膨らますことが可能であり、体、特に肝臓卵巣に致死量を越える毒性物質テトロドトキシンが含まれている。

特徴

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トラフグ属は25種が知られている。トラフグ属の学名はTakifuguであるが、昔はFuguとされていた。日本の阿部宗明による分類である。トラフグ属はごく短期間に多数の種に分化したため雑種が多い[1]

トラフグ属は北緯45度から南緯45度の間に分布し、塩水とりわけサンゴ礁や海岸付近に住むことが多い。淡水汽水域に住む種もいる。鋭い歯を持つものが多く、怒らせると噛み付くこともある。

まだよく研究されていない種も多いが、トラフグTakifugu rubripesは食用とされるためよく研究されており、生物学では研究用のモデル生物とされることも多い[2]

形態と行動

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トラフグ属の魚は他のフグ科と同様に、主にむなびれだけで泳ぐものが多く、あまり速く泳がない。その代わり、体向きを変えずに進む方向を変えられる。そのため、広い水域よりも複雑な地形、とりわけ海底を好む。

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トラフグ属 Takifugu の魚
学名 命名者 名称 主な分布 最大体長 備考*2
Takifugu alboplumbeus Richardson1845 コモンダマシ 太平洋東部 23cm 有毒
Takifugu basilevskianus Basilewsky コウライフグ, Darkgreen Puffer ? ? 有毒
Takifugu bimaculatus Richardson1845 フタツボシフグ 太平洋北東部 30cm 有毒
Takifugu chinensis* Abe1949 カラス, Eyespot Puffer 太平洋北東部 55cm 有毒
Takifugu coronoidus Ni & Li, 1992 暈環多紀魨 (中国) 太平洋北東部 ?
Takifugu chrysops* Hilgendorf, 1879 アカメフグ, Red-eyed Puffer 太平洋北東部 20cm 有毒
Takifugu exascurus Jordan & Snyder, 1901 ムシフグ 太平洋北東部 15cm 有毒
Takifugu flavidus* Li, Wang & Wang, 1975 サンサイフグ, Towny Puffer, Hwang-jom-pok (Korea), Jú húng dong fang tún (China) 太平洋北東部 35cm 有毒
Takifugu niphobles* Jordan & Snyder, 1901 クサフグ, Grass Puffer, Starry puffer, Cá Nóc sao (Viet Nam) 太平洋北東部 15cm 有毒
Takifugu oblongus Bloch1786 タキフグ, Oblong blow fish, Lattice blaasop (India), Bebo (India) Buntal (Malaysia), Pita-pita (Indonesia), Ruitjies-blaasop (South Africa) 太平洋東部 40cm 有毒
Takifugu obscurus* Abe1949 メフグ, Obscure Puffer 太平洋西部 40cm 有毒
Takifugu ocellatus Linnaeus1758 メガネフグ, Ocellated Puffer アジア 15cm 有毒
Fugu orbimaculatus Kuang, Li & Liang, 1984 圓斑多紀魨 (China) アジア ?
Takifugu pardalis* Temminck&Schlegel, 1850 ヒガンフグ, Panther puffer, Chol-pok (Korea), Bào wén dong fang tún (China) 太平洋北東部 30cm 有毒
Takifugu poecilonotus* Temminck & Schlegel, 1850 コモンフグ, Fine Patterned Puffer, Huin-jom-pok (Korea), Ban dian dong fang tún (China) 太平洋北東部 20cm 有毒
Takifugu porphyreus* Temminck & Schlegel, 1850 マフグ, ナメラフグ, Purple Puffer, Kom-pok (Korea), Zi sè dong fang tún) (China) 太平洋北東部 52cm 有毒
Takifugu pseudommus Chu, 1935 ナメラダマシ 太平洋北東部 35cm 有毒
Takifugu radiatus* Abe1947 ナシフグ 太平洋北東部 20cm 有毒
Takifugu reticularis Tien, Chen & Wang, 1975 アミメフグ, Reticulate Puffer 太平洋北東部 29cm 有毒
Takifugu rubripes* Temminck & Schlegel, 1850 トラフグ, Tiger Puffer, Hóng qí dong fang tún (China), Cha-ju-pok (Korea) 太平洋北東部 70cm 有毒
Takifugu snyderi* Abe1988 ショウサイフグ 太平洋西部 30cm 有毒
Takifugu stictonotus* Temminck & Schlegel, 1850 ゴマフグ, Spotback, Spottyback Puffer 太平洋北東部 35cm 有毒
Takifugu vermicularis Temminck&Schlegel, 1850 ナシフグ, Pear Puffer, Kuk-mae-ri-bok (Korea), Chóng wén dong fang tún (China) 太平洋北東部 30cm Takifugu radiatusの旧学名、有毒
Takifugu xanthopterus* Temminck & Schlegel, 1850 シマフグ, Yellowfin puffer, Kka-ch'i-pok (Korea), Tiáo wén dong fang tún (China) 太平洋北東部 50cm 有毒
* 日本の厚生労働省から「食用の部位がある」とされている魚。ただし調理前に適切な処理等が必要である[3]
*2 フグ毒の強さは季節で変わり、交雑魚もいるため、安易な素人判断は危険である[4]。たとえば東北地方や茨城県太平洋側では近年、元からいるショウサイフグと、日本海から流入したとみられるゴマフグの交雑種が増えており、こうした雑種は有毒部位についての漁師や水産業者の経験則が通用しない可能性があるとして、調査した水産大学校が注意を呼び掛けている[5]

注釈

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関連項目

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外部リンク

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