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テトラクロロアルミン酸カドミウム(I)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テトラクロロアルミン酸カドミウム(I)
識別情報
CAS登録番号 103823-00-3 チェック
特性
化学式 Cd2[AlCl4]2
モル質量 562.4123 g/mol
外観 白色結晶
融点

227 ° (分解)

危険性
許容曝露限界 [1910.1027] TWA 0.005 mg/m3 (as Cd)[1]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

テトラクロロアルミン酸カドミウム(I)(Cadmium(I) tetrachloroaluminate)は、カドミウムテトラクロロアルミン酸塩で、化学式Cd2(AlCl4)2無機化合物である。+1の酸化状態のカドミウムを含み、カドミウム-カドミウム結合(Cd-Cd結合)を持つ最初の化合物として、1961年に報告された。

合成と特徴

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テトラクロロアルミン酸カドミウム(I)は、当初は、溶融した塩化カドミウムにカドミウム金属を溶解させ、その後、塩化アルミニウムを加えることで合成された[2]

CdCl2 + Cd → Cd2Cl2
Cd2Cl2 + 2 AlCl3 → Cd2(AlCl4)2

その後のラマン振動スペクトルの研究で、Cd-Cd結合の存在が示唆され[3]、その後、2度別々に行われた単結晶X線結晶構造解析により、確認された[4][5]。そのため、この化合物は、Hg22+を含む水銀(I)化合物(例えば、塩化水銀(I))と比較できる。Cd-Cd結合は、エタン様Cd2Cl6ユニットの一部であり、AlCl4ユニットと頂点を共有している。Cd-Cd結合長は、257.6 pm[4]または256.1 pm[5]と報告されている。

テトラクロロアルミン酸カドミウム(I)は、反磁性である。不対電子を持たず、水と容易に反応して不均化し、カドミウム金属とカドミウムイオン(Cd2+)を与える。

Cd2Cl6ユニットの熱振動楕円体

出典

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  1. ^ NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0087
  2. ^ Corbett, J. D.; Burkhard, W. J.; Druding, L. F. (January 1961). “Stabilization of the Cadmium(I) Oxidation State. The System Cd-Cd1
    2
    (AlCl
    4
    )
    2
    –Cd2
    (AlCl
    4
    )
    2
    ”. Journal of the American Chemical Society 83 (1): 76-80. doi:10.1021/ja01462a016.
     
  3. ^ Corbett, J. D. (Aug 1962). “The Cadmium(I) Ion Cd2+
    2
    . Raman Spectrum and Relationship to Hg2+
    2
    ”. Inorganic Chemistry 1 (3): 700-703. doi:10.1021/ic50003a051.
     
  4. ^ a b Faggiani, R.; Ronald J. Gillespie; John E. Vekris (1986). “The cadmium(I) ion, Cd2+
    2
    ; X-ray crystal structure of Cd2(AlCl4)2”. Journal of the Chemical Society, Chemical Communications 1986 (7): 517-518. doi:10.1039/C39860000517.
     
  5. ^ a b Staffel, T.; Dr. Gerd Meyer (1987). “Synthesis and crystal structures of Cd[AlCl4]2 and Cd2[AlCl4]2”. Zeitschrift fur anorganische und allgemeine Chemie 548 (5): 45-54. doi:10.1002/zaac.19875480505.