ゼンツァーノの花祭り

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Hans BeckとValborg Borchsenius、1900年

ゼンツァーノの花祭り: Blomsterfesten i Genzano、ジェンツァーノの花祭りとも)は、1858年デンマークで初演された全1幕のバレエ作品である[1]。現在では、この作品の中のパ・ド・ドゥがよく知られている。

概要[編集]

初演は1858年12月19日に、コペンハーゲンデンマーク王立劇場で、エドヴァルド・ヘルステッドホルガー・シモン・パウリなどの音楽、オーギュスト・ブルノンヴィル台本振付により上演された。ヒロイン、ローザはJulie Price、彼女の恋人、パオロはハラルド・シャーフ(en: Harald Scharff1836年 - 1912年) が踊った[2]

作品全体の上演は1929年までで、その後デンマーク王立バレエ団のレパートリーから外れていたが、1949年にハラルド・ランダー(en:Harald Lander1905年 - 1971年)が再上演した。

この作品のパ・ド・ドゥは、ブルノンヴィル・スタイルの好例として、バレエコンクールの課題曲に取り上げられたり、バレエコンサートなどで頻繁に上演されたりしている。

あらすじ[編集]

舞台は19世紀初頭のイタリアゼンツァーノの街。この地で催される花祭りを舞台に、パオロとローザという一組の若い恋人に一人の盗賊が絡み、恋と試練の話が繰り広げられる[3]

音楽[編集]

パ・ド・ドゥ部分を作曲したのはデンマーク作曲家エドヴァルド・ヘルステッド(Edvard Mads Ebbe Helsted1816年12月8日 - 1900年3月1日)というのが定説だったが、実際の作曲者は、オーストリアの作曲家 マティアス・シュトレビンガードイツ語版(Matthias Strebinger、1807年 - 1874年)である。1856年ウィーンケルントナートーア劇場でブルノンヴィルが『ナポリ』を上演した際、3幕にこの曲を使ったパ・ド・ドゥを取り入れたという[4]

ブルノンヴィルはその後、この曲を『ゼンツァーノの花祭り』全幕に加え、パウリに編曲を任せた。

パ・ド・ドゥ[編集]

パ・ド・ドゥの導入部は、ヴァイオリン独奏で始まり、ポルカ風の部分が続く。アダージョの後は男性の躍動的なヴァリアシオンで、この曲はジョゼフ・マジリエ振付、アドルフ・アダン作曲のバレエ『Le Diable à Quatre』(1845年)からのワルツである。次に女性のヴァリアシオンが続き、もう一度男性がヴァリアシオンを踊り、二人揃ってのコーダで終結する。 グラン・パ・ド・ドゥである。

DVD[編集]

  • パ・ド・ドゥの花束 アメリカン・バレエ・ガラ(1984年):デンマーク王立バレエ団に所属していたリンダ・ヒンドバーグ(Linda Hindberg) とアーネ・ヴィラムセン(Arne Villumsen)が踊るこの作品が収録されている。

脚注[編集]

  1. ^ ゼンツァーノは、ローマの東南に実在する町である。
  2. ^ FLOWER FESTIVAL IN GENZANO(pas de deux) 2011年5月5日閲覧。(英語)
  3. ^ この台本は、デュマの著作『Impressions de Voyage』に載っていた、実在の恋人パオロとローザの物語に想を得たものである。
  4. ^ 英語版ウィキペディアでは「1842年」と記述されているが、ここでは外部リンクの記述に従った。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]