コンテンツにスキップ

クマガイソウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クマガイソウ
クマガイソウ
保全状況評価
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
: アツモリソウ属 Cypripedium
: クマガイソウ C. japonicum
学名
Cypripedium japonicum Thunb.[1]
和名
クマガイソウ(熊谷草)

クマガイソウ(熊谷草、学名Cypripedium japonicum Thunb.[1])は、ラン科アツモリソウ属分類される多年草の1。大きなをつけ、扇型の特徴的なをつける。

和名の由来は、アツモリソウともに、膨らんだ形の唇弁を昔の武士が背中に背負った母衣に見立て、源平合戦熊谷直実(くまがい なおざね)と、一ノ谷の戦いで彼に討たれた平敦盛(たいら の あつもり)にあてたものである[2]

特徴

[編集]

クマガイソウは、北海道南部から九州にかけて分布する。低山の森林内、特に林、林などに生育し、大きな集団を作る。草丈は40cmくらいまで、葉は対生するように二枚つき、それぞれ扇型の特徴的な形をしている。
花はその間から伸びたの先につき、横を向く。花弁は5枚の細い楕円形で緑色を帯び、唇弁は10cmに大きく膨らんだ袋状で、白く、紫褐色の模様がある。唇弁の口は左右から膨らんで狭まっている。

栽培

[編集]

クマガイソウの地下茎は節間が長く、全長はしばしば1m以上になる。 適地であれば地植え栽培が可能ではある。

種の保全状況評価と保護活動

[編集]

日本では環境省により、レッドリストの絶滅危惧II類(VU)の指定を受けていて[3][4]、多くの都道府県で、レッドリストの指定を受けている[5]

絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト

[3]

樹林下に自生するクマガイソウの群落

群落がある地域では、住民による保護団体が、開花する5月に観光地として開放しつつ、盗掘を防ぐ活動をしている例がある[6]

熊谷直実の故地である埼玉県熊谷市では、有志が1979年に「くまがい草保存会」を結成。庭園の星溪園などに植栽したが根付かず、鉢植えなどを除いて絶え、保存会は2014年に解散した[7]

近縁種

[編集]

台湾産のタイワンクマガイソウ Cypripedium formosanum は地下茎が短く、鉢植えが可能である。

脚注

[編集]
  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “クマガイソウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2014年9月5日閲覧。
  2. ^ 「クマガイソウ」『日本大百科全書(ニッポニカ)小学館
  3. ^ a b 第4次レッドリスト「植物I(維管束植物)」”. 環境省. 2014年11月5日閲覧。
  4. ^ 絶滅危惧情報検索「クマガイソウ」”. 環境省. 2014年11月5日閲覧。
  5. ^ 日本のレッドデータ検索システム「クマガイソウ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2014年11月5日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
  6. ^ 絶滅危惧種のクマガイソウ 福島の山中で5万株満開 限界集落の住民らが保護」『日本経済新聞』夕刊2024年5月10日(社会面)2024年6月3日閲覧
  7. ^ 「熊谷草」の歌碑建立へ寄付募る 有志「保存活動後世に」『朝日新聞』朝刊2018年12月2日(埼玉面)

参考文献

[編集]
  • 『自然と野生ラン』343号(2007年7月号)pp.64-69

外部リンク

[編集]